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【コンテンツレポート】河野桃子さんとぱちぱちのお話し会

演劇ネットワークぱちぱちサブマネージャー伊藤です。


1月23日に開催する、オンライン演劇イベント「『ひとり』を味わうWS/芸術文化観光職専門大学ってどんなところ?」+「このイベントのレポートを書くWS」に先立って、ライターの河野桃子さんとぱちぱちメンバーによるお話し会をしました。


↓オンラインイベント「『ひとり』を味わうWS/芸術文化観光職専門大学ってどんなところ?」についてはこちら!


今回のお話し会は、河野桃子さんとぱちぱちが出会い、良い化学反応を起こすための第一歩としてまずはお互いの理解を深めるためのまったりとした集まりです。会場はZoomで行いました。

ぱちぱちからの参加メンバーは、
はらぐー(大学2年)・まおすけ(大学1年)・竹内ミズキ(大学1年)・運営チーム(荻山恭規・中込遊里・伊藤優花)(敬称略)の6人です。

河野さんと初対面のメンバーとの自己紹介もそこそこに、ゆるやかに会話を始めていきます。

月刊アフタートークについて

ぱちぱちのYouTubeチャンネルでは、「月刊アフタートーク」という、ぱちぱちメンバーがその月に観た演劇などに関してお話しする番組を公開しています。

↓最新のアップロードはこちら!


河野さんもこれを見てくださっているとのことで(本当にありがとうございます!)、このコンテンツについての所感をお話してくださいました。

まず、「自分の感じたことを言語化すること」と「それを外部に伝えるための言語化」はそれぞれ異なるということが前提で、今のところ「月刊アフタートーク」は前者に近いことを目指そうとしているという印象を持った、とのことでした。

自分の思ったことを目の前の人に伝える言葉で話していて、「ぱちぱちという場に集まった色々な人たちの主観が見えることは外から見て面白い」と言ってくださいました。

メンバーの悩み

ここで、メンバーがここで共有したい「書くこと」や「伝えること」についてのお悩みが話題に。

伊藤「現状自分が書いているものは『観劇レポート』に留まっている。『劇評』のレベルに持っていきたい」

まおすけ「観劇の本数だけ重ねて感想が薄くなってしまう」

はらぐー「活動のレポートは主観に塗れていてもいいのか」

はらぐーの「活動のレポートは主観に塗れていてもいいのか」というお悩みに対して、話が広がります。

伊藤「私は主観もOKだと思ってる。私は自分というフィルターを通して作品をどう観たかということを伝えたいから」

中込「はらぐーの主観的な個性的な感性は面白いよね。それとは別に、人に何かを伝える時には最低限のマナーや技術が必要。そもそも、もともと人間って感性豊かなのに、それを人に伝えるための手段は学校では教えてくれないんだよね」

↓はらぐーの八王子ユースシアターにおけるぱちぱちの活動報告はこちら


河野「主観は必要だと思います。主観のレベルと、客観とのバランスの問題なんです。(はらぐーの活動報告を読んで)はらぐーの文章は意外と主観的ではないと思います。一人称で書かれているだけで、客観的なことが書かれているので」

主観と客観

中込「八王子学生演劇祭のときから、『発信していくこと』に悩んでる。細かいところまで羅列しすぎても伝わらないし……」

河野「劇評やレポートを書くときに、その記事の中の主役が何なのかを分かっていた方がいいですね。『それを観た自分』を主役にしすぎると、観た演劇を搾取することにもなりかねないし。何を伝えたいかということが外れてなければ主観でも客観でもいいと思います。でも主観ゼロだと面白くないんですよ。また、作品の説明をするのか、作品を再体験させるのかは別なんですよね。どちらにせよ、なぜ、どこを、どう思ったのかということを文章化する前に自分の中で言葉にする必要があります。そのときに、類語辞典はよく使いますね。自分の感覚に一番合う日本語は何なのかを調べていると、語彙もだんだん増えてきます。自分で喋ってみて、書いてみて、相手にどれほど伝わるのかを確認するのを繰り返すことで精度が高まっていくと思います。WSか勉強会みたいなものをやってみてもいいかもしれません。書くテーマに対して、文字数を決めて、短い言葉で表してみて、それの感想を他の人に聞いて、またブラッシュアップする、というのを繰り返してみる。本でも映画でも何でもいいので、あらすじを決められた文字数で書く練習もいいですね。また、同じ作品を観た人に見てもらうのと観ていない人に見てもらうのとでは全然違うでしょうし」

荻山「ぱちぱちはこういうことやりやすいかもしれないですね。近しい人と何往復もやりとりを交わすっていうのは。不足が無いように説明しようとすると、つい事細かに書きすぎて『狂気を帯びている』と言われてしまうんですよね。面白かったことを過不足なく伝えたくて……」

河野「自分で書く→みんなでブラッシュアップする→専門誌の劇評と照らし合わせてみるという順序を踏むといいと思います。プロの劇評を読んでみて、『この人は自分の考え方とは合わないな』とか『こういう作品のときはこの人の劇評を読んでみよう』とかだんだん分かってくるんですよね」

中込「明後日(竹内ミズキWS)のレポートはどういう形式にしよう?」

河野「自分の感じたことを伝えるということにフォーカスするなら、時間で区切ってどんなフォーマットでもいいから表現してみてもいいんじゃないかなと思います」

感想、どう伝える?

ミズキ「ちょっと相談なんですけど……明日友達の(演劇)作品を観に行くんですけど、過去に一度も同世代の友達の作品を観たことがないから、メタ的に見てしまうんじゃないかとか、感想をどういうテンションで伝えればいいのかとか分からなくて」

まおすけ「学生がやるものだとクオリティは担保されてないじゃないですか。どうだった?って聞かれることはあんまりないけど、観に行ったのに何も言わないのはちょっと……と思って一応感想を言うんですけど、気になった部分とかは言わない派です。敵を作るのが怖いっていうのもありますし、自分が作ってないのに言えないなって」

伊藤「否定的なことをいうと、傷つける可能性もあるし敵を作るしメリットがないんだよね。本気で意見して(その団体や個人に)良くなってほしいなら言うかな」

ミズキ「罵倒じゃなくて感想とか意見とか批評を言っても日本人は批評慣れしてないから意見として受け流す力は必要だと思います。(自分の学校の)学生の中で言い合える関係性を作るのは必要だと思いますけどね」

荻山「SNSだとその団体とかの価値を貶めるかもということには気を付けますね。不特定多数に発信せずに個人に伝えるという時は、相手がどんなものを目指してるかによるかな。自分が良いと思ってるものは一旦置いといて、相手の価値観に沿って意見するというか。仲間だと思ってるひとには(はっきり)言うかな」

中込「アーティストは自分がいいって思ってるものを創ってるんだから、自分が一番かっこいいって思ってるのにそれを隠そうとしてることがおかしいんだよ。堂々とすればいいのに。聞かれてないのに面白くないって言わなくていいし、そこに対してどぎまぎする必要ないよ!」

河野「『誰に向けて言うか』っていうのは大事ですね。その人に対して、アーティストとして言いたいのか、友達として言いたいのか。直接その人に言うのがしっくりこなければ、互いに意見を言い合える場作りをするのはいいかもしれません」

あっという間に1時間強が経ち、それぞれに考えを深めることができたように思います。自分一人では思い至らなかった考え方に触れて、視野を広げることで、結局は自分の考え方をもっと研ぎ澄ますことに繋がる。そしてそれをもっと伸ばしていけたらもっと自由になれそう、と思いました。

文責:伊藤優花(いとうゆうか)

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