「STAND IBARAKI」中間報告で『縁・芸』プロジェクトについて話をして来ました。

『縁・芸』プロジェクトとは、障害者支援施設等にアーティスト(ジャンルは問わず)を派遣して、障害のある方と一緒に創作活動を行い、新しい”何か”を生み出すプロジェクトです。笠間市を中心に近隣の市町村で活動しています。
新しい何かを作ること自体が目的ではなく、『縁を作り出すこと』にフォーカスしていきたいと思っています。

現在、茨城移住計画と茨城県の共催事業「STAND IBARAK 2022」に参加しています。この事業は約6か月間、自ら設定したプロジェクトのプロトタイプをメンター陣に学びながら実践するプログラムです。
11月12日に茨城県庁で中間報告会が行われましたが、正直、全く内容を伝えきれなかったので、その際にメンター陣や一緒に参加しているプロジェクトオーナーの意見に注目しつつ、中間報告の内容をまとめてみました。3分間でプレゼンしなくてはいけないので、もう少しどこをピックアップするべきか、、、まずは要約はせず、自分のプロジェクトを伝える文章にしてみました。


①はじめに

活動を始めるきっかけとなったのは、コロナ禍という新しい社会様式の中で、施設の閉鎖的空間がより浮き彫りになったと感じたことが一番大きいと思います。生命を守るために、新型コロナウイルスを施設内に持ち込まないという大原則はあるのはわかります。しかし、新型コロナウイルスというものが少しずつ分かってきた中で、ただ排除するというだけでは何も変わることができない、むしろ誰とも関わらないようにした方が安全という認識が当たり前になることで、施設がより閉鎖的になってしまうのではと感じ、『縁・芸』プロジェクトを考案しました。

なぜ『縁・芸』プロジェクトなのかというと、普段から仕事で障害のある方と関わる中で、一人一人に可能性を感じつつも、支援者として何も活かせていないことに、日々悶々としていました。
彼らが何気なく描いている絵等を見て、あんなかっこいい器やこんな面白い服ができるのでは?と妄想は膨らむものの、私では彼らの才能を活かすことはできませんでした。しかし、地域にいる様々な人(アーティスト等の自分には持っていないスキルを持っている人)と協力ができれば、また違った結果が得られるのではないか、自分で提供できなくても提供できる人を呼び込めば、”何か”ができるのではないかいう想いに至りました。私は仕事柄、障害のある方と福祉サービスを円滑に結びつけるようなことをやっているため、人(アーティスト)と人(障害のある方)を結びつける、『縁』を創出するということはできる。むしろ得意だと思い、『縁・芸』プロジェクトといった形に至りました。
また『縁・芸』プロジェクトでは、陶芸からスタートしています。なぜ陶芸なのかというと、まずは活動拠点である笠間市は笠間焼の産地であること。さらに笠間市にある陶芸大学校からは毎年のように新しい陶芸家が生まれていることがあります。
また障害分野の視点で見ても、陶芸は完成までに様々な工程があります。最初から最後まで一人でできることは理想ですが、例え障害が重度の方でも一行程に関わることはできると思います。
そして、障害のある方が一期一会で仲良くなることは難しいことが多いです。陶芸は完成までに時間がかかり、一つ一つの途中の行程も大切にする必要があるため、何かを最後まで完成しようとすると必然的に関係性が深くなってきます。このようなことから、『縁・芸』プロジェクトでは、陶芸をピックアップして活動をスタートしています。


②活動で大切にすること

〇障害について知ってもらうこと
障害のある方の個性(特性)を活かしながら、一緒にモノを作るということは、素敵な響きではありますが、実際には注意しなくてはいけない点はいくつもあります。アーティストや関わる人達にも正しい知識(障害の特性等)を得てもらいながら、双方が楽しく活動できるように進めていきたいです。
〇関わる人(アーティスト等)にとっても、障害のある方にとってもWINWINの関係を構築すること
障害のある方や施設だけがプラスになるのではなく、アーティストにとっても、プラスになるような環境を構築したい。具体的には、『縁・芸』プロジェクトでしっかりとマネタイズを構築し、アーティストに謝金をpayできる仕組みを構築する等、関わり続けることのメリットも生み出していきます。
〇地域の人にも活動を通して施設を知ってもらうこと
地域の人が施設の存在を知っていても、どのような人が住んでいるのか、内情を知らないことは多いと思います。施設のことを知ってもらうことも大切にして、どうやったら地域を巻き込むことができるかという意識を常に持ちながら活動をしていきます。


③コンセプト

まず福祉施設等には資源が多いです。例えば、障害のある方が普段の作業で 利用している機材等は、一般的に仕事で使われている機材とほぼ変わらないレベルのものを活用していることは多く、地域の人がその資源をうまく活用できるようになれば、新たな展開が生まれる可能性があると感じています。しかし、施設側としても顔の見えない人に資源を無料(もしくは安価)で提供するということには抵抗があることが多いため、『縁・芸』プロジェクトを通して、うまく関係を取り持つことができれば、様々な事業展開が見えてくると考えています。
また、アーティスト、特にこれから活動を開始していく人は必要な資源をそろえることは難しいと思います。具体的に笠間市でいえば、県立陶芸大学校の卒業生です。陶芸に関するスキルや知識を持ち合わせていたとしても、卒業後にすぐに自分専用の陶芸用品を一式そろえるとなると、莫大な出費がかかります。実際に卒業後にすぐに独立できる方はあまり多くはないと聞きました。
アーティストが施設にスキルや知識の提供を行いつつ、施設の資源を無料(もしくは安価)で利用できる仕組みを作ることができれば、良い関係が築くことができると思っています。

縁・芸』プロジェクトは、そもそも施設とアーティストがWINWINの関係を簡単に築くことができるのであれば、正直なくてもよい事業だと思っています。実際にそういった施設もたくさんあります。しかし、実際には施設とアーティストが良い関係性を継続して構築するには多少の課題があり、この課題にこそ『縁・芸』プロジェクトの価値があるのではないかと考えています。『縁・芸』プロジェクトで、障害への見方が変わり、地域と施設の交流が活性化し、障害のある方やアーティスト、関わった人達の人生まで変わることができると思っています。


④理念


⑤これまでのアクション

・笠間市の陶芸大学校へアプローチ:特任教授佐藤雅之先生訪問(4月)
・陶芸の窯元や障害者施設(陶芸関係)への見学訪問(8月~10月)
・陶芸大学校生の施設見学会(10月)※実績は2名
・道の駅かさまのクラフト市「かさマルシェ」に参加(10月)
→コロナ禍で一緒に活動してモノを作ることができなかったため、それぞれ既存のものをコラボして販売を行った。

障害者施設で作成したキャンドルと陶芸家(重本千尋さんの燭台)のコラボ

⑥これからのアクション

・陶芸家が施設で活動開始(12月~)
・作品完成(1月~2月)
・作品完成展示会(2~3月頃)

⑦今後の展開(案)

・アーティスト以外の人とも関わりを持つ(手作業でモノを作っている職人や機織り機の使い方を知っている地域のお年寄り等)
・施設のコミュニティスペース等を活用した展開
→ワークショップやポップアップショップ等

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