CBDを語るうえで切り離せないCoAの話【その2:CoAの見方】
Twitter上で@GixTanvという名前でADHDあるあるを適当につぶやいたり、CBN/CBGリキッドをメルカリやECサイトで販売している株式会社ENFRIARTEのがっちゃんというものです。
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本記事はCBD部のまさきさんに研究員として弊社にjoinしていただき、初めて執筆していただいた記事になります。
あれもこれもと詰め込んでいったら、とても長くなってしまったので3分割してます。
流れ
気になるところだけでもかいつまんで読んでいただきたく、以下に流れをまとめました!!
その1では、CoAについてまとめてみたいと考えるに至った背景や、CoAの定義、歴史についてまとめています。
その2では、アメリカのラボ(検査機関)が実際にサンプルとして公表しているCoAを例として実際のCoAの見方、我々の考える消費者が注目すべき点/事業者が注目すべき点についてまとめています。(CoAを見る際の参考になるので、ぜひ読んでいただきたいです)
その3では、アメリカにおけるCoAにかかわる制度やこれまでに起こった問題についてまとめています。
※参考文献はその3にまとめて記載しています。
3.CoAの見方
3-(1)それぞれが何を表しているのか
この記事の一番重要な部分である「CoAの見方」について調べました。
1年半ほど前にtokyo moonさんが「CoAとは?」という記事を作成しており、非常に分かりやすく簡潔にまとめられておりましたので、僭越ながら紹介させていただきます。
当記事と重なる部分も多々ありますが、本記事でも筆者自身が調べた内容を基に、CoAの見方を解説します。
まずは、CoAがどんなものかを画像で紹介します。
これはSCLabs[5]というアメリカのラボ(検査機関)がサンプルとして公表しているCoAです。ScLabsは、アメリカの大手大麻メディアであるLeaflyと契約しています。これはTHCが含有されているアメリカ基準製品のCoAですが、サンプルとして十分な情報が記載されているので採用しました。
それでは、見方について画像を用いて解説します。
①CoAの基本情報
CoAの基本的な情報が掲載されています。ラボにもよりますが、CoAは数枚でまとめられており、1枚目は各検査の要点がまとめられています。
(a)ラボのロゴ
(b)検査が完了し、CoAが発行された日付
(c)原料/製品の検査結果
②サンプルと試験に関する情報
(a)サンプルの製品名と製品タイプ
今回は、製品名「Brand-XYZ Pre roll」、製品タイプ「Pre roll」(ジョイント)
(b)製造業者と販売業者の名前や連絡先
(c)バッチナンバーと情報、サンプルの受取日と受領日
(d)サンプル写真
(e)QRコード
このQRコードを読み取ると、ラボのページなどから検査結果の詳細を確認できます。
③カンナビノイドの総量
CBDの合計量とTHCの合計量が掲載されています。
(a)製品によっては、mg/gやmg/ml表記
④安全性に関する検査結果
重金属や農薬、水質問題といった安全性に関する検査結果が掲載されています。
⑤テルペンの検査結果
⑥CoAの基準やルール
それぞれの用語をどういった定義で使用しているのかが掲載されています。
(例)LOD= limit of detection(測定対象物の検出可能な最低の量)
LOQ= limit of quantification(測定対象物の検出可能な最低の濃度)
ND= not detected(非検出)
NT= not tested(未検査)
(a)CoAを作成、承認した科学者の名前とサインした日付
⑦より詳細なデータ
2枚目以降にはより詳細なデータが掲載されています。
全てのカンナビノイドの検査結果、農薬や重金属の種類別検査結果など。
3-(2)ユーザーと事業者がそれぞれ注目すべきポイント
さて、CoAの見方を説明しましたが、ここで一つ問題点があります。それは、ラボによってCoAの検査項目が違ったり、表示方法が異なるということです。それでは、私たちはCoAのどこに注目するべきなのでしょうか?
ユーザーと事業者それぞれの観点から注目すべきポイントをいくつか挙げていきますので、参考にしてみてください。
3-2-(a)ユーザーが注目すべきポイント
・そのCoAがその製品のものであるか?
さきほどの画像でいうと②の箇所に該当します。つい、②を飛ばして気になるカンナビノイド含有量などを見てしまうことがあるかもしれません。しかし、そもそも「このCoAがその製品と紐づいているか?」ということを考えることがCoAの最重要事項だと考えます。製造者の名前や製品の名前と画像、バッチナンバーなどを確認することで、初めてそのCoAの中身に目を通し始めるべきでしょう。
・THCなどの規制物質が含有されていないか?
日本国内において重要なポイントの一つです。画像の③の箇所に該当します。このCoAはアメリカ基準であるためTHCが含有されていますが、日本国内の製品では「Total THC」や「Δ9-THC」「Δ8-THC」がND(非検出)である必要があります。THCが検出されている製品は厚生労働省や税関の審査にそもそも通過できない筈ですが、ユーザーの方々もチェックすることをおすすめします。
・CBDなどのカンナビノイドがしっかり含まれているか?
海外ではCBD含有量の過大表示が問題になることがあります。詳細は「4.海外におけるCoA」で後述しますが、私たちも必ずチェックするべき必要があります。「CBN含有製品にCBNが入っているか」や「CBD含有量が過大に表示されていないか」を確認しましょう。「CBD含有量が1000mgと表示している製品の検出結果がCBD995mgだった」といった多少の誤差はあるかもしれませんが、明らかに検出結果が少ない製品は過大表示していると言えます。THCと違って、CBDやCBNの含有量の検出結果は輸入をする際には関係がない項目なので、ユーザーの方々が注意深く見る必要があります。
・安全性検査に納得ができるか?
重金属や農薬、水質問題といった検査に合格しているかも注目すべきポイントの一つです。画像の④の箇所に該当します。基本的にPassやNDと表示されていれば問題はありませんが、安全性検査も義務付けられているものではありません。画像のCoAでも水質検査はNT(未検査)となっています。また、以前に筆者が確認したCoAを見ると、重金属検査でカドミウムが0.01㎍/g検出されていました。気になり調べると、日本のお米のカドミウム基準値は0.4㎍/g(0.4ppm)以下に設定されていることが分かりました。[6] つまり、0.01㎍/g検出されていても製品の安全性には問題ないことが分かります。このことから、必ずしもPassやNDである必要はなく、微量の重金属や農薬が検出されていても、自分で調べて納得ができれば問題はないでしょう。
・検査ラボ
そのラボが信頼できるかも重要なポイントの一つです。これは情報が少ない現時点で判断をすることは難しいですが、第三者機関であるか、過去に検査が不十分で政府に警告されていないかなどが判断のポイントです。少なくとも、画像の①⑦に該当する受領日や検査日の記載、責任者のサインがあるかをしっかり確認しましょう。
3-2-(b)事業者が注目すべきポイント
・検査ラボ選び
事業者の方々が信頼性の高いCoAを作成する上で、ラボ選びは非常に重要になってきます。第三者機関であるか、過去に政府から警告されていないかなどを調査し、どのようなCoAを作っているかも確認しましょう。どれだけ業者の方々が信頼性の高いCoAを作成しようと努力しても、信頼性に欠けるラボを選んでしまっては意味がありません。ラボがこれまでに作成したCoAに目を通し、気になるところがないかをチェックしましょう。
・安全性検査の判断基準の設定
事業者の方々は消費者の安全性を考えているかと思います。できる限りの検査を実施して、より厳しい検査基準を通過した安全性の高い製品を提供することが理想ですが、検査費用や検査にかかる時間を鑑みると難しいと思います。業者の方々は安全性検査の取捨選択と結果をどう判断するかが必要になってくるのではないでしょうか。
サンプルとして使用したCoAの水質検査がNT(未検査)であったり、筆者が見たCoAではカドミウムが0.01㎍/g検出されていました。これらのCoAは安全性があると判断されて市場に流通しているわけですが、消費者の方々は「水質検査しなくて安全なのか?」「カドミウムが検出されているけど大丈夫なのか?」といった疑問をもつかもしれません。業者の方々は「どのような判断基準で水質検査をしなかったか」「なぜカドミウムが0.01㎍/g検出されても大丈夫か」という理由を明確に答えられるようにする必要があります。安全性の判断基準をしっかりと設定することで、ラボ選びや検査結果の確認がスムーズになるだけでなく、消費者の方々から信頼を得ることができるでしょう。
・カンナビノイドの含有量が過大表示になっていないか
原料/製品にカンナビノイドがしっかりと含まれているかも注目すべきポイントです。品質を維持することは難しく、多少の誤差は生まれてしまうかもしれませんが、あまりにも差があると過大表示になってしまいます。含有量の過大表示は消費者からの信頼を損なってしまうので注意しましょう。
・CoAの有効期限
ラボによってはCoAの有効期限を設けている場合があります。サンプルのCoAにはありませんが、画像の②(C)の箇所にExpiration Dateと書かれている場合は、有効期限が設定されていることになります。有効期限が過ぎると改めて検査をする必要があるのでしっかり確認しましょう。