レンマ学(講談社)
この本は、書評のような表現をすることをとても躊躇する。その「書けなかった理由」をあえて表現するならば、
・内容からものすごく示唆を得ていて、
・それでも理解しきれている感じがしない、
というのが両立するから。
この本は、「レンマ学」という学問の確立を「提唱する」ために書かれている。なので、決して盤石に体系化されているわけではない。
人の知性は、「ロゴス」という論理的、要素分解的なものと、「レンマ」という直観的、統合的なものに大別できる。現在の捉え方で言えば、ロゴスはより西洋的、レンマはより東洋的な文化的背景と相性が良い。
これからの新しい組織の形を見出そうとするときに、ここでいう「レンマ的知性」が非常に大きな要因になるだろう、という直感がある。一方で、レンマ的知性においては、ロゴス的知性の持つ「複製しやすさ」、言い換えれば「均質的な情報の伝達」が欠落している。
少なくとも、今の人類が発明している情報伝達の手段や道具においては。
ここを乗り越えるのに、30年か50年くらいは掛かりそう。その一歩目として、向こう12年で何を成し遂げるのか?と考えてみるのは良い問いの立て方かもしれない。