#2 自然経営の3つの特徴 / JINENコトハジメ
・ Podcast「JINENコトハジメ」の文字起こしを中心としたpostです
・【文字起こし】の部分は無料でお読みいただけます
・【解説】【参考文献】を追記した後は有料公開にする予定です
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(どなたでもお気軽にご参加ください)
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【Podcast #2】
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【文字起こし #2】
山田:
皆さんこんにちは、JINENコトハジメ第2回始めたいと思います。このPodcastは、自然経営って何なんだということを、自然経営研究会の発起人の1人である山田の立場から語っていこうというシリーズです。
今日の聞き手は、前回に続き可奈さんに来ていただいてます、よろしくお願いいたします。
可奈:
よろしくお願いします。
長谷部可奈さん(かなさん)
創業56年、従業員数約1,000名のシステムインテグレーター(SIer)に勤務。社員の人柄と温和な社風にひかれ新卒で入社、現在15年目。SE、プロジェクトマネージャー職を経て、現在はサービスデザインやデジタルトランスフォーメーション(DX)案件の支援を担当。サービスデザイナー。
学生の時のアルバイトでチームで成し遂げる楽しさを味わって以来、組織のマネジメントに関心を持っており、ティール組織きっかけに自然経営研究会と出会う。幼少のころから動物が好きで自然とのつながりを感じながら育ったため、自然経営研究会の生態系をイメージさせる「自然(じねん)な在り方」に共感している。
社外ではアクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)主催のほか、女子大学生を社会変革の担い手にすることを目指すNPOハナラボでの活動など、自分の問題意識やワクワクに忠実に活動。「好奇心に突き動かされて学ぶ楽しさ」を感じる学びの場づくりを行っている(ワークショップデザイン、ファシリテーター)。
山田:
今回からは、1本15分から20分ぐらいを目安に、前半は何かのテーマについて僕から「こんなふうに見えているよ」とか「こんなことが大事だと思ってるよ」という説明をさせてもらって、後半は「わかりづらかったな」「この辺もうちょっと聞きたい」と思ったところとか、逆に「湧き上がってきてこれを喋りたい」とかでもいいので、可奈さんと一緒に喋ることで多角的に見えてくる、そんな時間にできればと思います。
山田:
説明の一回目を始めてみたいんですけど、「そもそも自然経営って何なんですか?」っていう質問、当たり前だけどよく聞かれるんです。笑
すごくいつも説明に困ってきたんですが、僕なりにいろいろ整理していた中で、大きく三つの特徴に集約すると説明がしやすいんじゃないかと思っています。
三つっていうのが、一つ目が「あるがままに委ねる」こと、二つ目が「今を起点にする」こと、三つ目が、「全ては変わり続ける」ということ。
順を追ってちょっとずつ説明をすると、一つ目の「あるがままに委ねる」って、自然経営に「自然(じねん)」という言葉を使っている通り、「自ずから然る」、それ自体が持っている生命エネルギーというか、生命力というかがそのまま発露されることによって物事が作られていく。
そういうことが「自然(じねん)」という言葉にすごく合ってるなと思うし、それがより自分の中、組織の中だけじゃなくて、その外の世界も含めて捉える。
人間と分かれている自然(しぜん)やNatureとして捉えるよりも、自分もその一部であり、全てが一緒である世界である自然(じねん)的な中にいて、自分や組織だけじゃなく、他のことも含めたいろんな流れの中にいる。
そこで「あるがままに委ねる」ことで作られていくことがすごく自然(じねん)ぽいなあと思っています。これってともすると「計画できない」とか「戦略的にやりづらい」とかっていう、いわゆる機械的に組織を作るときにやりたいこととは逆行するんだけど、だからこそ、思ってもみなかった新しいことに出会ったりとか、誰も予想していなかった展開が作られていくようなことができる。
色んな面を通じて、あるがままに委ねていく、というのががすごく大事だと思っているのか、一つ目の特徴です。
二つ目、「今を起点にする」っていう言葉を使っているけれども、これは明確に機械的な組織の作り方と違うところだと思っています。
機械的に組織を作ろうとしたときって、基本的には、「ある時までに何かを達成したい」という未来の目標を先に決めて、そこに一番早く、効率よく行けるのはどうするんだろう?を考えようとする。基本的には時間軸が未来からの逆算なんですよね。
何年後に何を達成するから、そこから逆に紐解いていくと次はこれをやるべきだっていうふうに考えていくのは、すごく機械的な組織の作り方で、それ自体はすごく良いこと、というか、それはそれですごく良いやり方の一つだと思っています。
沢山の人に沢山のものをなるべく多く届けたい、とか、同じ品質のものを沢山作りたい、とかのときには、そうやって先からちゃんと考えるてやるのはすごくいい組織の作り方。
一方で、自然経営的に、あるがままに委ねるときって、あくまで今を起点にする。「今この瞬間に何があるんだろう?」と、今ここに焦点を当てて、ただただ「次に何が起こるんだろう?」「何が起きると良い、何が起きて欲しいんだろう?」と、時間軸を今から前に向けて作っていくのが、あらゆる面で大事だなと思ってます。
さっきの「あるがままに委ねる」ことに繋がってるんですが、全てが動いていて、全てを委ねているっていうときに、「3年後にこれは絶対に達成する」とか言えないじゃないですか。
あくまでスタート地点が「今」から「未来」に行く、という時間のベクトルを持つことを大事にしたいというのが、二つ目の特徴ですね。
最後三つ目、「全ては変わり続ける」って、言ってしまえば「それはそうじゃないか」という感じなんですが、機械的な組織、さっきの逆算したい組織の作り方をしたいときは、基本的には何かが変わらない前提じゃなきゃ計画なんて作れない。
状況が何も変わらない前提だから逆算をできる、というのからすると、今を起点に、全てが変わり続けるもの、という捉え方を世界の全てにすることがすごく大事だと思っていて。
特に、その対象は特にその組織の作り方とか組織の中のルールとか、ともすると、組織って「1回作られたものってもう変わらない」だとか、「あらかじめそこにあるものを変えちゃいけない」とかってすごく思いたくなるんだけど、そこにあるものって何であっても、それまでに作ってきたものによって成り立っている。
「変えてはならない」ものなんて何もないし、「変わらない」ものもない、全てが流動的に変わり続けるんだよね、という前提を持ちながら、未来に向けて活動することもそうだし、今はそこにある活動とか、今そこにあるものとか自分も組織も、変わり続けるものとして関わり続ける、ということがすごく大事なところだと思います。
全部ひっくるめて、今の三つ、あるがままに委ねるし、今を起点にするし、全ては変わり続ける、というのをすっごくシンプルに言い直すんであれば、全ては動的に動いてるんだから、動的なものとしてちゃんと組織とか、その組織の活動とかに向き合おうね、ということを、一番根っこの思想としてちゃんと持ってるのが自然経営という、この捉えどころのない、説明のしづらいものの、すごい根底に流れている考え方だと思います。
そこの部分が、「一緒に活動してれば段々わかってくるよね」だけではなく、「なんとなくこんなことかな?」っていう感覚がつかめてくると、あれやこれや言っているいろんなことの根底にある価値感が伝わってくるかなと思っています。
可奈:
もうちょっと聞いてみたいなって思ったのは、今の三つって合わせると、ともすると「流れに身を任せてそのままにしといてください」みたいにも聞こえかねないように聞こえた。そういうふうに捉える形もあるなと思って。
あるがままに委ねて今に集中しつつ、変わっていく流れの中にいるときの、何かその自分のあり方、どういうあり方だといいのかなと思って、そこんところをちょっと聞きたいなと思いました。
山田:
なるほど。自然経営って、後の方の目次で出てくるんですけど、姿勢として何が一番大事かというと、熱量をちゃんと大事に扱おうね、ということだと思ってます。個人のあり方でいくと、一番大事なのは「自分の熱量」だと思うんですよね。
そのあるがままに委ねるって、「なすがままに受動的にやろうね」って言いたいよりも、そこに「私はこれをやりたい」っていう熱量があるんだとしたら、それが組織という生命体の活動の源泉なので、それを大切にしながら組織に関わるのがとても大事だと思っている。
逆に言うと、「それ組織で決まってることだから自分の熱量はごまかさなきゃ駄目なんだ」とかじゃなくって、状況にはすごくしなやかに向き合いながら、大事にするのは、今ここにある状態で、自分の熱量がどこに向いてるのかなっていうことにきちんと素直になりながら、そのベクトルの持っている熱量に身を委ねる。
可奈:
なるほど。今お話聞いててイメージしたのは、コントロールできるっていう概念を手放すっていうことがきっと大事なんだろうなと思いました。
自分の意思を発揮することはすごく求められるし歓迎される。計画を立ててもいいし、向こう3年でこういうところに行きたいなって思うことはいいけれども、それを自分が全てコントロールできる前提でやることがよくないのであって、その流れの中で何かと遭遇したときに、「いやそれはあり得ない」みたいなことではなくて、「じゃあ、次はどうしたらいいんだろう?」みたいな、そういう柔らかさを持っていくところが大事なのかなあと、思いました。
山田:
今のとこですごい大事なので改めて言葉にしたいなと思ったんですが、「計画をしちゃいけない」わけでもないし「未来にゴールを決めちゃいけない」わけでもなくて、それをやりたいときがあったならやればいい。
自然的な活動をするにしても、そう決めた方が動きやすい、より自分たちの実現したいことがやりやすいんだとしたら、みんなで期限決めて、ガントチャート引いてプロジェクトマネジメントすればいいし、それが駄目とか言いたいわけじゃない。それをやる選択肢もあっていいし、そうじゃなくって、もうただただ身を委ねてそのまんまに、なすがままにしよう、という振る舞い方をすることもあってもいい。
そこを自分たちのやり方を選んでいく一つに、ちゃんと計画する、ゴールを決めるとかいうやり方も選べばいい。そんな距離感があるといいなっていう気がしています。
その延長でいくと、ともするとありがちなのは、自然経営って「目標を決めちゃ駄目なんですよね」とか、してはいけない規範がそこにあるという振る舞いにどんどんなりやすくなっていくので、それすら「選択肢として変わってもいいものなんだよ」と言って、色んなものに向き合っていくっていう姿勢が、個人のあり方としては大事なところな気がしますね。
可奈:
そこにいるみんなが計画を立てて、バリバリ頑張りたいだったらそれでもいいし、手放したい、なすがままになりたいって思ってるんだったら、必ずしも計画を立てなきゃいけないわけじゃないよっていうところですよね。そうですね。
山田:
後でもうちょっと出てくるのが、目標っていうのも、「いつまでに何かを達成したい」って目標の立て方もあるし、「今ここのこの状態をずっと持続したい」っていう目標の立て方もあって、どっちでもいいよねって思いながら目標自体と向き合ってほしい。
どちらかというと、目標は「状態」だよね、という方が自然経営的な振る舞い方をしやすいなっていう気はするんだけど、可奈さんがまさに言ってくれたみたいに、「いやでも僕らが見たい未来はちゃんとゴール決めて、そこに向けてみんなで頑張るっていう方がいいよね」って、そこにいるみんなで思えるのとしたら、それを決めてやればいい。自分たちに合った振る舞い方の中から、あるがままに委ねる、そこで決めたことの中に委ねていくっていうことが出来ていると良いなと。
可奈:
そうですね。耳を澄ますスキルが大事、「今何が聞こえてるかな?」みたいな、自分自身の心に対してもそうだし、自分がいる集合体・組織というか、その中でも何が今聞こえてるんだろうっていうところに耳を澄ますっていうのが必要だなって思いました。
山田:
ありがとうございます。ということで、語ってみるとさらに語りたいことが色々と出てくれなという気づきもありつつ、だいたいこんな感じで、一つずつ切り口を取りながら、僕なりにこう考えていますっていうことを踏まえて、可奈さんに聞いてもらったみたいに、「こういうことですか?」とか「こういうことの気がしました」みたいな会話をしながら、少しずつ立体的に見えてくるようになると、自然経営の初めの取説みたいな感じになるといいかなと思います。
今回、2回目をこんな感じでやって、次回以降はまたもう少し違った切り取り方をしてみたいなと思います。
ということで、可奈さん今日もありがとうございました。
可奈:
ありがとうございました。
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【解説①】「あるがままに委ねる」を内向き・外向きに整理して捉える
Podcastの中で語った内容を踏まえ、改めて、3つの特徴として何を言いたいのか?を整理してみます。
一つ目、「あるがままに委ねる」について。これは組織の内向きと外向きの両方向になめらかに通じます。
まず、「内向き」、すなわち組織を運営する姿勢、組織の中での一人一人の振る舞いについて。
自然経営では、組織を外から「変える」のではなく、組織そのものが「変わる」ように関わる、すなわち組織という「生き物」そのものが自ら育つことに「あるがままに委ねる」ことになります。
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