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ウルトラマラソン完走記:サロマ湖ウルトラマラソン(2017年6月)(3)

サロマ湖100㎞ウルトラマラソン完走記(3)55㎞~ゴール
エイドでいったん止んでいた雨が、また降ってきた。60キロポストを約6時間半で通過。もうフルマラソンの距離もないよ! それに最大6時間半使える! いや、一刻も早くゴールしたいよ。やや朦朧としつつ、60キロ過ぎで国道から左折して、キムアネップ岬方向へ進む。細かい道をいくつか曲がったりしているうちに岬にはいかずにやや内陸方面に折れ、大きめのテントが見えてきた。63.5㎞の、2つ目のスペシャルドリンクのエイド。ここには経口補水液のペットボトルにパワージェルをマステで留めておいたのを置いておいた。ここのエイドの人は30キロの人よりは番号発見にもたついていた(ゼッケンが見にくかったと思われ)。テントの下にパイプ椅子があり(結構雨ひどかった)座って、経口補水液とジェルを摂取し、どうにも気になる右足いったん靴紐ゆるめてみたが、気休め程度にしかならず(この先も結構痛かった)左のふくらはぎも揉んでみる。しかし止まっていると一気に体が冷えるのでいやいや走り出す。6月末なのに、サロマ湖にはまだ夏は来ていないのね(年によるようです)。テントの下に金髪碧眼の女の子たちが並んでいる私設エイド、飲み物置いてあったけど、今日は飲み物の私設エイドは商売あがったりだね。ランナーが通るとみんなでキャー!、と奇声をあげて応援してくれるのがよかったよ。湖沿いをしばらく走り、ゆるく斜面を登ったところで左折して、国道に戻る。この辺から、68㎞の表示の下に18㎞という表示が出る。50キロレースの人(佐呂間町の山の中腹から10時にスタート、18㎞時点で2時間半弱、という、そんなに速くもない人たちとの合流、100㎞の人の方がペースの速い人たちだ)と一緒になり、歩道が結構きつきつ。そして、名物私設エイドの齋藤商店。まず、暖かい濡れタオルをくれて、それで頭とか顔とか肩とか拭く(暑い年は冷やしたタオルらしい)。ブルーベリーとかミニトマトとか、ウルトラらしいエイド(公式エイドにはなぜ出ないのだ)。温かいお茶も。深く深く感謝。ここから1キロ位で公式エイド。ここでリボンナポリンという、オレンジ色の炭酸飲料(北海道名物らしい)をいただく。ネイパル北見の看板の出ている曲がり角で左折、手前にホタテの貝殻の集積場があり、晴れていると結構臭いらしいが、雨がひどすぎてにおいもしない。曲がってすぐに70㎞ポスト。この前後はとにかく、歩道の水たまりがひどすぎて、コース取りに難儀した記憶しかない。歩道全部が水没しているところ、最初は車道側にコーン立てて通り道作ったりしていたが、たぶんそういう誘導を作った後更に雨が降ったので対応しきれていなかったのだろう、全く通れない場所もあり、歩道と車道の間の高くなっている分離帯(草が生えていて、踏み込むとずぶずぶになる、でもコンクリブロックの上を通ると幅狭くて平均台状態で走れない)の上を通ったり、車がいないときには車道まで行ったり。この辺でかなり気力を消耗。脚も痛い。よく、スポーツショップに売っているTシャツとか、沿道の応援ボードとかに「足が痛いのは気のせいだ」って書いてあるじゃないですか、気のせい気のせい、と念じながら走る。別に歩きたくはならないが、一歩進めば一歩ゴールに近づく、と、思いながら走るのは野辺山と同じ。公式エイドはどこも似ていてどこで何食べたかさだかでなくなっているが、あんパンとかスイカとかバナナとか梅干しとか少しずつ食べる。苦しくもなく、気持ち悪くもならない。今日も胃袋が一番強靭なレースでした。
後になって、ネイパル北見の前を通った記憶がないな、と思ったが、それはつまり、74キロの鶴賀リゾートの私設エイドの前、湖沿いの駐車場の入り口で、K太郎が二度目の応援にやってきてくれたから、道の右側のネイパルに気付かなかった模様。駐車場の脇をK太郎に傘差しかけてもらいながらエイドまで走り、まず温かいだしをかけたそうめんを食べ、続けてお汁粉を食べる(白玉でなくお餅だった!)。そして、K太郎が持ってきてくれたバスタオルで身体中を拭き(気休めにはなった)、ホームセンターで買ってきてくれたレインコートに着替える! もう全身びしょぬれなんだけど、新しいレインコートが嬉しい! 深く深く感謝。しかし身体が冷えるので長居は出来ず。また水たまり攻撃の歩道をよろよろ走っていると、K太郎の車が先へ。78㎞あたりの緩い上り坂、カウベル鳴らしている人がいるな、と思いながら、それがバニーさんであることに気付かず、通り過ぎてから、「NEOさん!」と声かけられる。やばい。意識大丈夫か。そして、80km手前、ワッカ原生花園に左折して入る入り口でK太郎最後の応援。写真も撮ってくれた。一日がかりで応援してもらって本当に感謝である。
曲がってすぐに、最後のスペシャルドリンク。カロリーメイトのジェル、バナナ味で超甘かった。エイド過ぎてすぐ魔女の森の入り口(昨日ここの入り口は車で見に来たがこの先は車両通行禁止)、ちょっと急斜面。ここに3人の魔女がいたらしいが、かなり朦朧としていたようで全く記憶なし、残念。森の中の道に、80キロのICチップリーダー。ここで9時間。みほちんもうゴールしてるかなーいいなー。あと20キロを4時間。いや、勝ったも同然でなく、今度は、自分が記録をどこまで詰められるかの挑戦だろ。といっても、森を抜けて原生花園に出た後の気温と風速次第だよな。昨日の時点では気温が13度まで下がり、最大風速7mという萎える予報が出ていたので、今の、ウェアの上にレインコートだけの防寒でしのげるかがわからない。54キロでポケットに入れてきたウィンブレは着たくもない位ずぶ濡れだし(着ませんでした、結果的にポケットの錘になっただけ)。
森の中のアップダウンのある道をゆるゆる走り。突然木がとぎれる。坂の上に立つと、右側に海。とうとうオホーツク海の姿を見た! 81キロポストを過ぎたところで、対面方向のポストの後ろ姿が見えたので、過ぎてから振り返ったら「あと4㎞」と書いてあった。何しろコース地図をそんなに深く読んでないので、ワッカ原生花園を何キロ走るのかわかってなかったのだが、81㎞~96㎞ということはここから15㎞往復、折り返しは88.5㎞あたりということだね。咲いているのはエゾスカシユリ、そして尾山さん命名の「メロンパンの花」(オオハナウドのようです)、それからエンドウっぽい紫の豆系の花。そしてハマナス。原生花園の中も結構アップダウンあり、低いところはものすごい水たまり。真ん中にちょっと高くなっているところがあり、対抗ランナーがなければできるだけ真ん中をそろそろ進むが、そんな心配も不要なほど深い水たまりも何か所かあり、あー、足首まで冷やせて気持ちいいね、と思わないでは通れない位の水没。雨は相変わらず降っている。85㎞のエイドは、竜宮街道という、オホーツクに続く道の脇。ここはワッカネイチャーセンターから徒歩や自転車の人が来る道の突き当たり(翌日通った)で、応援の人が沢山、傘をさして見守っていてくれた。2度目のリボンナポリンエイド。バナナも食べる。原生花園の中にも仮設トイレ結構設置してあり、運営も大変だよね、と思うが、この寒さで、どのトイレも列をなしている人多数。花は可憐だが、景色は単調。折り返しの人の姿を見ると、自分と同じあたりを走っていた人がずいぶん先行していたり。知り合いの姿はあまり認識できず(一緒に来た人は速い人が多く、どの辺を走っているか見当つかず、結局全然わからなかった)。雨があまりにひどいので、仮装の人も少なかった。折り返した後90キロポストになる地点でいったんICチップリーダーを踏み(道いっぱいにリーダーが広がっていたので)目の前に、やけに立派な橋が見えてきた。えーと、あの橋渡るんですかね? 折り返しまであと1000mという表示が出る。サロマ湖は2か所で海とつながっていて、その片方、下を船を通すために、橋は結構高くなっている、この橋を渡る必然性がないよな、と思いながら(数年前まではこんな橋はなかったそうです)急斜面を登り、海と湖の間を吹く強風にあおられる。橋を渡ってすぐに折り返し(勿論ICチップリーダーあり)。しかし、ここまで向かい風(幸い7mには遠く及ばない風で、あまりに強風なら荒天でも使わなくてはとポケットに入れてきたサングラスは使わずに済んだ)だったのが、帰りは追い風だよ! 山場は過ぎた。帰りは、ほんの5分もたってないのに、湖と海の間の風も弱く、戻ってきてすぐのエイドで軽く補給し、追い風って体感は出来ないけど、絶対往路より楽になっているよな、と感謝しながら元来た道を進む。ラップを見ても、確かにスピード上がっている。90㎞で10時間15分。これは、11時間半の攻防、気力さえもてば、最後でちょっと上げて、30分は切れそうだ、と思いながら進む。対抗ランナーもまだ多数。ヨッシーにも声かけられた。今朝、サロマ湖に来ていることを知ったうさみんが、大体制限時間ぎりぎりで走っていることが想定されたので(ぎりぎりでも決して関門アウトにならない強い人なので)、ずっと対向ランナーをガン見しながら走っていたら、あ、やはり来た! ふだんは仮装デフォルトだけど、今日はさすがに無理だ、でも目立つ水玉のバンダナを頭に巻いていて、うさみんはやはり可愛い! 会えてとても嬉しかった。竜宮街道入り口のエイドでもう一度リボンナポリン。原生花園の中には「待避所」という場所が10か所位設けてあり、リタイアした人がここで、収容車を待っているのだが、とにかく止まっている方が大変では? 災害救助用の銀色の保温シートを全身に巻き付け、うずくまっているランナーを待避所毎に見かけるようになり、止まっている方が寒そう、と思う。
脚はかなり弱っている、というか、レースの前半から、突然腰の下で脱力して、よろめきそうになることが何回かあり、これは油断していると転倒して捻挫とかするパターンなので、かなり緊張して脱力に対抗(こういう脱力は野辺山ではなかった)。水たまりの中で転倒して捻挫したりするのも怖い。一歩一歩、着地先を見つめつつ走る。最後までケガしないぞ。上り坂より下り坂が怖い、スピード上げられない。そして、行きに見たあと4㎞の看板のところ、かなりの急な上り坂でした。ここも歩かずに上る(距離は大したことない)。最後にまたオホーツク海を見て、森に入る。森に入ったあたりで対抗ランナーがいなくなった。関門か...。ここに来て、身体が妙に暑くなってきた。吹きっさらしの原生花園を抜けてきたのに暑いって何? まさかわたし発熱していたりして? 変だなぁ変だなぁ、別に走れなくなるだるさはない。まぁ寒くないのはありがたい。ちょっとトイレに行きたい感じもあるが、何しろあと4キロを切っている。ここで止まっているわけにはいかない。サブ11.5が待っている。とうとう森を抜け、最後の下り坂を降り(捻挫注意!)、さっきスペシャルをとったエイドはもう通過、車道に戻って、そこであと3kmのポスト。しばらく走るとオホーツク国道に戻り、またすぐスポーツセンターへの三叉路を左(というかほぼ直進)、あ、ここが交通封鎖になっているので、車の心配なく、道路の右側のゴールに曲がって入れる訳か! 月見浜とかゴールとか、まるでサロマ湖ウルトラマラソンのために脇道を付けてある感じだね。ビクトリーロード。テンション上がってスピードもアップ。ゴールをレインコート着て通過するのはいやだな、と思って(幸い雨もやんでいた)レインコートを脱いで丸めて手に持つ。結構いっぱいランナーを追い抜く。前日の項に書いたように、ゴール500m前位にICチップリーダーがあり、ここでゼッケン番号を確認し、その人がゴールする際に、前日自分で書いたメッセージを読み上げて貰えるのだが、リーダー過ぎたあとも、もう何人か抜く。ゴールに右折する角で、50㎞は右、100㎞は左に誘導される。曲がってしまえばあとは100m位。前後にランナーもなく、自分が書いたメッセージが読み上げられるのもちゃんと聞き、片手にレインコートを持った間抜けな姿ではあるが、両手を挙げてゴール。11時間24分05秒。ネット11時間23分33秒。陸連女子順位65人中29位。メダルを首にかけていただき、タオルを貰い、スポドリを貰う。そのまま進んでドロップバッグ引き取り。カーリングセンターの中で、カーリングの同心円が描いてあるところの上に荷物が並んでいた。出てすぐに男子の屋外シャワー(よほど最初の人でない限り水シャワーになってしまうらしい。今日は無理!)、それから女子更衣室(中にシャワーあって、お湯のにおいしたが、たぶんわたしが行った時間にはもう誰も使ってなかった)。椅子があいておらず立って着替え。靴の脱ぎ履きやタイツ脱いでジャージに履き替えるのは、壁にすがって。途中のドロップバッグは雨にさらされた時間もあったようで荷物が全体に湿っている。しかしまぁ自分が着ていたもの、ポケットに入れていたものほどではない。結局一度も使わずポケットに入れていた手袋は絞れる位濡れているし、小銭入れも水に浸してあったのかと思うくらいびしょ濡れ。スタート地点に着いてから、あ、貴重品はバニーさんに預ければよかったんじゃん、と気づき、その時点では、手持ちの現金全部、小銭入れに詰め込んできていて(免許証と保険証は携行するので、それ以外の財布は置いてきてしまっていて、むき出しのお札をバニーさんに託すことも出来ずお金持ったまま100㎞走ってしまった)、その後何日も湿ったお札を持って旅行することになった。着替えて外に出たら体育館の入り口。frunの皆さんはどこだろう、と体育館の入り口にへたり込んで携帯を取り出していたら、Bさんが通り、場所を教えてくれた(ちゃんとfrunてぬぐいまで壁に貼ってあったのに気づかなかったよ)。ゴールでくれた金券で何か食べられるのだが、買いに行く気力もなく、Bさんに一任。何しろまだまだ胃袋だけは元気なので、腹持ちのするものなんでもいいです、と頼んだら、揚げ餃子ののったカレーライスを取ってきてくださった。もちろん全部食べた。frun陣地で座り込んだらもう二度と立てないよ。膝に来ている。そして左くるぶしが捻挫したように痛い。frun関係者がふらっと立ち寄ったり話をしたりするのを聞いている。さっきは雨上がっていたが、ほんの30分位の間でまた雨が降り出したらしい。外の会場の食品出店からも、蓋を付けてもらってカレーを持ち帰ってくる人がいる。みんなのランナーズアップデートをチェック。Mちんは堂々の陸連女子7位入賞、9時間切っている。同行者もみんないい記録でゴールしている、雨でも、寒くても、酷暑よりはいいってこと? 最初に見たときはまだゴールしてなかったYしーも、12時間を切るタイムでゴール。一行の中で唯一ゴールしていなかったY田さん、90㎞の通過タイム見るとほんとに13時間ぎりぎりでゴールできるタイムかな、最後にへたれないといいけど、と思ったら、最後の10㎞はスピード上げて(まぁわたしもスピード上がったよ)余裕のタイムでゴール。参加者全員完走だ! 車が結構遠くに停めてあったのを、バニーさんSさんで打ち上げの買い出しに行ってくれたついでに近くに停めなおしてくださり(外はまだ雨)、全員揃った時点では交通規制も解除されたので、体育館の前まで車を入れてくれて、ほとんど濡れずに乗車、無事ネイパル北見に帰還。部屋は1階だが風呂が3階エレベーター無し。手すりにつかまってよろよろと往復していて、通りすがりの人に笑われる、ちぇっ(勿論その人だってサロマ帰り)。
20時からネイパル北見の研修室で打ち上げ。次の日から小学生の団体が泊まりに来るので、研修室外の飲酒い禁止、酒の匂いも残さないよう。そして撤収22時。研修室いっぱいに、幾つもの団体が気勢をあげていた。frunは全部で12人、そのうちSoさんとI奥様が今回サロマンブルーに! 涼しかったせいか、ダメージの大きかった人も少なく、こんなに飲めるのか、という位持ち込んでいたビールもかなり消費された。健啖な団体であった。
翌日はワッカ原生花園をネイチャーセンター側からアプローチし、竜宮街道エイドをばらしている様子など眺め、オホーツク海で記念写真。ああ、最後まで青い湖もオホーツク海も見られず。サロマ湖に沈む夕陽って何それ美味しいの? また来なくては...いつ? 道の駅サロマ湖に行ってお土産を見て(サロマ湖ランナーには記念の割り箸をくれる)、それから北見に戻って浜焼き。一個50円のホタテとか超美味しいんですけど!
皆さんにお世話になりっぱなしのサロマ湖終了。雨がつらかったことは笑い話にして、今は楽しかったことすてきなことばかり思い出す。というか、100㎞ずっと雨でも走れるなら、もうわたしには怖いもんなしかも? 皆さん本当にありがとうございました。
【タイム】
10キロ毎はランナーズアップデート、5キロ単位のラップはGPSの記録から転写。
Start  00:00:32
05km 29:44  29:08
10km  57:27  56:55
15km 1:27:06 29:37
20km  1:56:01  58:34
25km  2:25:41 29:42
30km  2:56:53  1:00:52
35km 3:28:20 31:26
40km  4:00:24  1:03:31
42.195km  4:13:38 13:14
45km 4:31:08 30:45
50km 5:05:01  51:23
55km 5:57:49 52:50
60km  6:29:19  1:24:18
65km 7:07:35 38:17
70km  7:44:22  1:15:03
75km 8:23:56 36:04
80km  9:00:12 1:15:50
85km 9:36:16 36:04
90km  10:15:30 1:15:18
95km 10:51:01 35:32
Finish  11:24:05 1:08:35

写真はワッカ原生花園のメロンパンの花。

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