フェルメールと17世紀オランダ絵画展(東京都美術館)
蔓延防止等重点措置が実施されたため、展覧会の開始が遅れていた東京都美術館の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」、2月10日からようやく始まったので、早速見に行ってきた。日時指定チケットを事前購入する(QRコードになっていて紙チケットなし)ので、混雑はなし(たぶん外出を控えている人がまだ多いというのもあるだろう)。目玉のフェルメールの前でもそんなに滞留はひどくなく、前列でしっかり見られた。
日本人があまりにフェルメール好きすぎるので、抱き合わせで17世紀オランダ絵画を見る機会が多い気がする。フェルメールを、海外旅行等で収蔵館で見る場合、オランダ絵画以外にも沢山見るべきものがある巨大美術館である場合が多く(ニューヨークのメトロポリタン美術館にしても、ロンドンのナショナル・ギャラリーにしても、オランダの国立博物館でさえも)、フェルメールを見た後は、周囲のオランダ絵画はさーっと流して他の目玉作品を見に回る場合が多いが、日本にフェルメールを呼ぶ場合は、大体同時代のオランダ絵画を一緒に持ってくる。そして、肖像画あり、静物画あり、風景画あり、でそれぞれにオランダ独自のスタイルを持っているので、あーオランダ絵画を見たね、と言う気分になれて、展覧会としての統一感を感じられる。
ということで、毎年のようにどこかからフェルメールが来てくれて、一緒にフランス・ハルスとか、ハブリエル・メツーとか、ヤーコブ・ファン・ライスダールとかが来る。
ドレスデン国立古典絵画館、オランダでもないのに、単館でこれだけオランダ絵画があるのはすごいなー、と思う。東京都美術館の展覧会は地下1階~2階の3フロア使うので、そんなに見せるものあるのかな、と思ったら、結構あった。でも、結果として、本当に一点豪華主義展覧会。今回は、修復したフェルメールの絵から、天使(キューピッドか)が出てきた、という話題性もあって、フェルメールだけで押しちゃえ、っていう印象はあった。でも、シャワー浴びるようにオランダ絵画を見るのは結構楽しい。とはいえ、フェルメールだけのため(というと言いすぎ)2900円の図録は買えないなー、と思ってしまう(オランダ絵画研究をしている訳ではないので)。
勿論、17世紀オランダ絵画にはレンブラントもいる。今回も「若きサスキアの肖像」という、レンブラントの妻の結婚前の肖像画があった。でも、入り口入ってすぐの「レンブラントとオランダの肖像画」というセクションで、さらっと流してしまった印象。レンブラントはまぁ国内でも見られるので(MOA美術館とかDIC川村美術館とか)、逆にありがたがられ度が低くて申し訳ないような気持ちにもなるが。
さて、フェルメール「窓辺で手紙を読む女」。1階の大きなセクションを使い、修復の経緯(1970年代には既に、壁の下に、キューピッドの絵が隠れていることがX線撮影によりわかっていたが、フェルメール自身が塗りつぶしたのかと思ったら、科学的な解析で、フェルメールの死後何者かが塗りつぶしたらしいということがわかってきたので、慎重に慎重に表面の画材を取り除いた)というのが、パネルと映像で説明され(今回の展覧会のいい点は、幾つかあった映像資料がどれもそんなに長くなくて、全部見てもいいな、と言う気持ちになりやすかったことである)、修復前の絵の複製画を隣の壁に置いたうえでの展示。修復前とは、壁の色も違った。きれいにきれいに修復したので、すごくピカピカになって、17世紀の絵には見えない風合いだな、とも思った。壁に天使(というかキューピッド)の絵がかけられている絵は、恋愛を暗示している、と言われ、この女性が読んでいる手紙は恋文であろう、という解釈になるようだが、後世キューピッドの絵を塗りつぶした人はその解釈をなしにしたかったのか?
他の絵については、静物画がやはり面白かった。描かれているものの光沢とか、食べものの取り合わせとか、花の絵の中に何故かかたつむりがいることとか。風俗画で部屋にあるものを見るのも面白い。足温器とか、足元を歩いている犬とか。猫はあまりよくないイメージの暗示があり、好まれないとか。肖像画の人の衣装も、光沢が印象的。フェルメールの絵の人物と似た服とかもあって、まじまじと見る。
オランダつながりで、ミュージアムでミッフィー(ナインチェ)グッズを売っていることが結構多い。これまでにフェルメールモチーフのミッフィー買ったことあったが、今回の手紙を読むミッフィーは4400円の大サイズしかなく、流石にやめた。オレンジの服で、手紙を手に持っているだけのミッフィーはやや小ぶりだったが、それでも2200円。
色々言ってはみたが、展覧会、楽しめた。オランダ絵画を見るなら日本に限る。
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