
能登半島すずウルトラマラソン(4)
2018年10月21日(日)承前。
73㎞の自然休養村エイドを出て、まだしばらく海岸を走る。スタートからポケットに入れてあったイオンウォーター、エイドのドロップバッグに入れて送還したので少し持ち物が軽くなった。そして結局ラケット道路ってどこなの?、とランニングベストに入れておいたコースマップを出そうとしたら、4つ折りのまま汗でびっしょり濡れていて、まともに開かず。次のエイドまで海沿いで、その先がラケット道路なのか。76㎞エイドでは地元のお菓子屋さんの自信菓子が色々出ていて(虹色のバウムクーヘンとか)目移りしながらいくつか食べる。そして、道路が少しずつ上り坂に。最初は走っていたが、なるほど、これは微妙に走りたくない傾斜だ。野辺山の馬越峠を思い出す。あそこも早足で歩いたよね。それと同じ要領で早足で歩けばいいのかな? でも傾斜的に馬越峠の方がやっぱりきつかったかなー。ゆるゆる走ったり歩いたりしながら進んだが、馬越峠よりはずっと楽だったよ(比較するものなのか?)。そして、頂点の椿峠エイドにたどり着いたら79㎞地点でした。野辺山の馬越峠エイドも79㎞地点だよ! 能登半島すずって、野辺トリビュートコースなのか??? もともとのコース案内に出ていたように、このエイドではオロナミンCが出る。元気はつらつ、と飲む。ここからの下りは野辺山ほどはきつくない...。別に比較しなくたっていいんだけどさ。標高がぐっと下って、やや内陸に入ったところでかかしーン。手持ちの服とか着せたかかしが沢山立っている。えちごくびき野マラソンにもかかしがいっぱい出ている地域があったが、それにちょっと似ている。道路沿いに林立していて、これは鳥を追うというより、道を通る人に見せている感じ? 脚は痛いけれど、これ以上ひどくならなかったらゴールは出来るよね。しかし、13時間以内はきつい? そして、禄剛埼の距離表示が近づいてきた。ここのマラソンに来た人誰もが必ず言及する狼煙の灯台が近い! テンション上がる。道の右側に、エイドのテントが見えてきたところで誘導の人に、左折するように指示される。エイドの前に灯台に行くのか。そして、誰の完走記でも必ず写真が出てくる、禄剛埼灯台へ上る急斜面。写真では実感できなかった急傾斜を身をもって体験。そして登りよりも下りが怖いようだ! 道についていた手すりにすがるようにしてよろよろ下ってくる人多数。
急傾斜の上まで登り、平たくなった公園の中の道をしばらく進むと灯台が見えてきた。灯台に向けて階段を少し下るので、スタッフの人が注意喚起、階段の手前にICチップリーダーがあり、灯台の周りをぐるっと回ってくる。灯台は巨大パイロンかーい。青い海に白い灯台が映えている。階段を上ったところでオールスポーツの写真撮影。灯台付近でポケモンを起動したら、ジムにポケモンが置けそうだったので、ポケモンを置いてまた携帯を機内モードに戻す。灯台からの下りはやはりよれよれ、対向して登ってくる人たちを激励しながら、よれよれと下る。膝の痛みも殊更。86㎞エイドでは、名舟に続きボンカレー、そして、能登丼という、各種キノコを合わせどろっとした汁にしたものをご飯にかけた丼を食べる。ここのエイドで、朝見附島のエイドに置いてきたヘッドランプを返却される。灯台の出口で反射体のたすきもまた渡されている。灯台の手前でゼッケン見て、エイドにはやってくる選手のゼッケン番号が伝わっている。ランプを発掘して、渡せるようにあたふたしているスタッフの中にあこたちゃんが。完走経験のあるあこたちゃんに、この先の上り下りも結構きついですよ、と予告されてエイド出る。まだ空は明るいが、明るいうちにゴールするのは無理だな...。。
そして、エイドを出るなりえんえんと上り坂。これは結構きつい。一応走ってはいるが、スピードは全然出ていない、さっきの禄剛埼灯台が能登半島の先端なので、もう内海に入っているが、山の中を走っていると実感出来ない。日本三大パワースポットがあるらしく、沿道にはずっと立て看板やのぼりが。うさんくさい。次のエイドが遠い。禄剛埼が87㎞地点で、次のエイドは92㎞だった。海沿いに出て、エイドにたどり着く手前で西日が正面からびかーっとさし、一瞬サングラスをかける。まぶしくてよく見えないところでエイド到着。まずトイレ。そしてエイドに来たら豚汁が! そして、豚汁出してくれる窓口のところに、首に「豚汁あります」と札を下げた柴犬が。背中に着た服は、昨年の能登すずマラソンのスタッフに配布されたあこたちゃんデザインのタオルを縫って作ったもので可愛い! エイドの表示は「約90キロ地点」となっていて、違うやろ!、と思ったが、これは、大会発足当初、実際102㎞あるコースを無理矢理100㎞と言いつのっていた時代に、ここのエイドを約90㎞ということにしていた名残らしい。今はもう、レースは102㎞あると開き直っているので、ここだけ約90㎞と言われても困るんですが。そして、ここからあと10㎞。まだ明るいが、しばらく走っていくと、右側に見えてきた丘陵の稜線が、夕陽で赤くくっきりしており、そのあと一気に日が沈んで真っ暗になった。
街灯が少ないので、日が沈んだ後の道はかなり怖い。ヘッドランプつけても、反射体のたすきつけても結構怖い。というか、このレース、明るいうちにゴール出来る人以外、ヘッドランプ忘れてきたらかなり怖い(でも、87㎞エイドに残されていたランプが結構あった。みんなどうやって走っていたんだろう?)。エイドは96㎞と99㎞にあったが、96㎞だけ寄って、最後のエイドは通り過ぎる。最後は計算しても13時間切りは無理、という判断になったが、とりあえず走るのみ。こんなに膝もふくらはぎもきつかったけれど、予定通り、ラケット道路と狼煙の灯台以外は全部走れて、自分なりに満足。頭の中で、「炎のランナー」が鳴り響く。これは、前日と当日朝、過去の大会のDVD見たときにずっとこの曲が流れていたからだよ。おそるべし刷り込み! ゴールの瞬間まで「炎のランナー」が脳内でわんわんいっていた。
しかし、ゴールに近づいても応援とか全然いない。野辺山とかなら、最後1キロ半くらいは沿道にずっと人がいて、道路ももっと照らされていて、ゴールが近づいている感があってテンション上がるのだが、曲がり角で誘導してくれる人以外、本当に誰もいない。人口も少ないし、応援に来ている人も少ないから仕方ないのだが。暗くてどこを走っているかわからないがもう珠洲の市街に入っていて、もうここの角を曲がったらゴールの体育館だよね、というところでも誰もいない。ゆるやかな登り坂を上がり、健民体育館の入り口のゴールゲート(朝はスタートゲートだった)まで来たらようやく人がいる、という状態。ゴールだ! 13時間05分ちょっと。ちぇー。100㎞だったら13時間切れたのにな<言っても仕方ない。ゴールテープ切りながらゴール。最後まで脚がもってくれて本当によかった。すぐに左に曲がって、と言われ、そこでボランティアの中学生が、珠洲焼のメダルをかけてくれて、靴のチップを取ってくれて、完走証もすぐ持ってきてくれる。13時間05分02秒。100㎞女子、エントリー92人中32位、総合465人中178位。大塚食品のボディメンテ(途中のエイドでも結構出た)のペットボトル1本貰う。エイドのテントでコーヒー飲む。身体に染み渡る旨さ。蕎麦もあった。椅子のあるところまでもっていって食べる。青ネギがのっているところが関西風だね。バナナも配っていたがこれは割愛。ステージの上で写真も撮ってもらうが、あまりによれよれで、あとで写真見たら笑えた...。
一旦体育館にはいり、荷物を回収して、長そでシャツに着替え。外に出て、制限時間の19時までにゴールしてくる人たちを見る。スイーパーやっていた尾山さんもちゃんと最後まで食いついてきた人をゴールさせていた。あこたちゃんは、ゼッケン番号1番(最年長)の80歳ランナーの方と最後の10㎞を走り、制限時間には6分間に合わなかったが、ちゃんと102㎞完走させていた。みんな凄いな。ウルトラのゴールにはいろいろな感情や歓び哀しみがぎゅーっと集まっている。
19時過ぎたので、少しずつ掲示物をはずしたり、撤収準備。金沢行きのバスを送り、動けなくなってへたり込んでいる人を車いすに乗せて送り出し、残っている荷物を片付け、あとは明朝実行委員会の方々が片づければいい、というところまでまとめ、20時過ぎに体育館を出る。ゴールしたらもっとまともに歩けなくなるかと思ったら、おそれていたほどの膝の痛みもなく、普通に歩ける。しかし、実行委員長のお宅にいって、3階まで階段で上がろうとして、まともに歩けず、あ、ここで疲労が来るのね、と実感。階段は流石にきつい。でも、前日まであんなに痛かった膝は割と平気。不思議。
珠洲ビーチホテルのお風呂に入る。脱衣場の体重計に乗ったら、昨日の風呂場で測った体重より4キロ位少なかったのだが、これは体重計がおかしいよね? 本当だったらすごくうれしいのだが(翌日以降、また4キロ増しの体重で推移していたのでやはり珠洲ビーチホテルの体重計がおかしかったようだ、ちぇっ)。宿に戻ってビールだの酎ハイだの飲んでいたら、一気に2日分の眠気が来て、最後は片付けもせず、ばったり布団に倒れこんで寝ました。走り終わると、幸せな記憶だけが胸に残る。海の青さとかエイドでの人の優しさとか、感謝の気持ちばかり。来るまでに6年もかかってしまったが、来られてよかった。関係者各位に深く感謝。