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能登半島すずウルトラマラソン(3)
2018年10月21日(日)の記録(承前)。
静かな道を進む。20キロ過ぎで、60㎞(ほんとは62㎞)と100㎞(ほんとは102㎞の分岐。100㎞は左にそれる感じで進む。その辺でゼッケン番号1番違いの女性と会う。この大会は、ゼッケン番号が年齢順なので(確か萩往還もそうだった?)自分より若い番号の人は人生の先輩、番号が近ければ同世代、とわかりやすい。100㎞女子は92人エントリー、実際に出走したのは84人。プログラムには年齢まで明記されているが(!!)さすがに走りながら年齢まではわからない。でもこの人は年上、この人は年下、ときっぱりわかりつつ抜いたり抜かれたり。
田園地帯を進んでいくと、前方右手の山に風車がいっぱい立っているのが見えてくる。風車好きなのでテンション上がる。少しずつ上り坂。少しずつ峠に近づいて行ったら、風車は道の左側になっていた。道がカーブしていたのね。近づいてきて、写真ぱちぱち撮るが、経験的に、風車って小さくしか映らなくて写真だとわかりにくいんだよね...。ダム。水が落ちる側が草の生えた斜面になっているダムがあるな、と思ったら、橋でそのダムの縁を渡る。能登半島は大きな山がないのでそんなに大きな高低差はないのだが、コース中最高峰の八太郎峠に向かって、どんどん登っていく。きつい。でも、昨日の説明会で、地元ランナーの方はラケット道路と狼煙の灯台の道だけは歩く、と言っていたから、じゃあそれ以外の道は全部走るってことだ、と、わたしも、ラケット道路までは歩かない、という目標を立てる。もともとわたしは下りが弱い。そして今日は膝が痛いから殊更に下りが辛い。とにかく、登りはどんなにのろくても走ろう、と決めて進む。登りで何人か抜いて、その人たちには下りでぐいぐい抜かれる、を繰り返す。八太郎峠のエイドでオロナミンCが出ていたのを飲む。そして下り。せっかく登ったのに勿体ない、と思いながら、ひたすら下る。下った先に集落が見えてくる。町野に近づいてきた。標高は10mを切るまでに。嗚呼、200m以上も下ってしまったよ。町野のエイドでは切ったオレンジが出ていて、そこに輪島の塩を塗って塩オレンジにしたものをエイドの人が出してくれた(別に塩のついていないオレンジでもいい)。意外と美味しい(笑)。町野のエイドには使い捨てドロップバッグ(食品など、消費するものを入れておく。あとで返却はない。どうしても食べたいものがあれば入れておくといいが、経験的に、自分で持って行った食品をエイドで食べたことはないので、わたしは預けず)が来ていた。ここは36㎞と、折り返してきて54㎞で通過するのだが、予想通り、置かなくてもお腹がすいて困った、というようなことはなかった。しかし、ここからの往復路は18㎞もあるのか。ふう。
町野から、日本海に出るまでは、また山道である。木が密集している山道は結構暗く、道幅も狭く、今日は大会で人がいっぱい走ってるから怖くはないが、もし単独走だったら、日中でも反射体が欲しかったところだね、と思う。町野を出てすぐ位で、折り返してきた先頭ランナーとすれ違う。断トツ。先導車と先頭ランナーが行った後、ずっと2位の人は来なかった。山道の途中で40㎞地点。右膝は痛いし、左はふくらはぎが痛いし、なかなか距離が進まず、もどかしい思いだったが、これで40㎞、その先すぐに50㎞ポストがあった。千枚田の折り返しから戻ってくるのに10㎞か...。少しずつ対向ランナー。女性も来た。斜面を下っている途中で遠くに青いものが見えた。海! 珠洲は富山湾側の内海だが、今度は日本海側の外海だ! 天気がよくて美しい。ありがたい。
国道の一本内側の道を進んでいくと、海の中に神社があり、その脇、43㎞地点に名舟エイド。ここはカレーライスが出るのだが、千枚田に行って折り返して来たらまた通るので、行きはりんごと水ようかんを食べてすぐ出る。国道に出て、海側に渡り、しばらく走っていくと上り坂。海沿いなのに登りがあるんだよ。そして、遠くに千枚田の道の駅が見えてきたが、斜面の途中にICチップを読むリーダーが敷いてあり、道の駅より手前の歩道にぐいっとUターンの矢印が描かれている。え、千枚田ポケットパークの道の駅までいかないんだ...(道の駅でトイレを借りようと思っていた)。あとで聞いたら、ランナーがどしゃどしゃ来ると道の駅の営業妨害になっちゃうので、道の駅からお断りされたので、手前で折り返すコース設定になっているらしい。というわけで斜面の一番上まではいかず、途中で、千枚田を眺める。せっかくなのでぱちぱち写真を撮って結構時間を費やす。空も海も青く、そこに千枚田が映え、まだコースの半分も来ていないが、ここまで来られてよかった!、と幸福度アップ。と、時間を無駄遣いの後、下り坂を降りて行ったらすぐみやもとすれ違う。まだ近くにいるな、やばいな。後半は結構エイドで長く休憩するから、途中で追いつかれちゃうかも。
坂を下りて、海沿いの道をしばらく走って、名舟エイドに戻る。道の駅で使えなかったのでトイレを借りる。その後カレー。スポンサーが大塚食品なのでボンカレーです。今日も胃袋は元気だ。
そのまま、町野まで来た道を戻る。沢山のランナーとすれ違う。上り坂は帰りの方が長くてきつい。そして、すれ違う人がまばらになってきて、50キロポストに来たところで、往路の回収車が通る。要するに、40㎞地点と50㎞地点の間に人がギューッと集まっているって言うことね...。回収車の後ろにも何人か人がいて、あれ、と思ったら、数キロ先でもう何人か歩いている人がいて、その後ろに最終の車両がいた。お腹がすいてきたが、山中のエイドにはお菓子しかなく、チーズおかきと甘納豆食べてしのぎ、次の町野のエイドは2キロしか離れていなかったが、ここもそんなに腹持ちするものはないのであった。パスタが出るのはその次のエイドだ! 町野ではまた塩オレンジなど食べて通過。
名舟からずっと海沿いを行くのでなく、一旦また山越えをさせられるのは、名舟~曽々木間の海沿いの道が細くて危険だからだそうだ。で、コースマップをざっと見ただけで高低差をきちんと確認していなかったので、ぐっと内陸の町野から海沿いの曽々木も、また峠越えがあると、勝手に思い込んでいたのだが、町野のエイドから海の方を見たら、あれ、山がない! 田畑の中の広い道にほほえみロードという幅の広い歩道がついていて、そこを進む。町野エイドを一人で出て、前も後ろもランナーが走っておらず、ちょっぴり不安だったが、平地で視界が効くので、前のランナーと同じ道路を走っていることを時々確認しながら進む。ほほえみロードが結構長くて、途中でちょっと萎える。町野町のはずれで国道に突き当たり、右折すると、また海が見えてきた。もうしばらく走って曽々木エイド。ここでは、協賛スポンサー日本製粉のオーマイスパゲティを茹でてトマトソースをかけたものを供される。かなり本格的に冷めていて、これって冷製パスタだっけ?、と思いながら食べる。
この先はしばらくずっと海沿い。高低差も比較的少なめ。海の中の岩が面白い形をしていて、眺めながら走る。海沿いに出てすぐ窓岩という、岩の真ん中に穴があいた岩を見る。そしでトンネル。わざわざ誘導員を置いて、車は片側通行にして、左側の車線をランナーが走るが、トンネル内には歩道もある。わざわざ交通封鎖をするほどランナーがひっきりなしに通るわけではなく申し訳ない(でも、レース許可を警察に取りに行ったら、トンネル内交通整理して片側通行にするなら許可する、と言われたそうで)。トンネルは結構長いのだが、涼しくて走りやすかった! この一つ目の八世洞門トンネルを出たところに垂水の滝というのがあり、岩の斜面から海に滝が流れ落ちていて、なんだか知床みたいだった。振り返らないとわからない角度の滝だったので、後続のランナーにも「ここに滝が!」と教えてあげてしまった。二つ目の逢坂トンネルも片側交通規制。そして、この辺の海中の石は青い。前の週に清澄庭園に行ったら全国の立派な石が芝生の中とか池の縁とかに梅来られていたのだが、その中に能登の青石もあった記憶が。こんなところで野生の能登石を見られるとは(笑)。
そしてこの辺から、塩田地帯に入る。海沿いの平たい土地をならし、そこに海水をかけ、塩をとるらしい(揚げ浜塩田というらしい)。塩田もあったし、それを人に啓蒙する施設やお土産物屋さんも何か所かあった。この辺はまだ輪島市なので輪島の塩。輪島市内のエイドでは輪島の塩、珠洲市内のエイドでは珠洲の塩をエイドで出していた。本当に製塩が盛んで、実際に美味しい。63キロの塩田村エイドでは、塩を焚く釜の中に、商売にならない小粒のジャガイモをふかしたのを投入し塩味をつけたものを出していて、これがめっちゃ美味しい。ついつい2個も食べてしまった(そうしたらその後のエイドでもあと3か所位塩ポテトが出たよ)。次のエイドではまだお腹いっぱいでじゃがいもは食べられず。ここではオロナミンCが出ていたが、30キロ過ぎの山の上で飲んできたし、またラケット道路の上でも出る予定なので(そこは毎年出る)ここでは割愛。3つ目のトンネル(新鞍崎トンネル)をくぐり(ここも片側車線規制)進んでいくと、70㎞の表示が出ていて、そこに60㎞コース30km地点、と併記されている。あ、山中から降りてきた道は60㎞の人たちが走ってきた道なのか。この時間はもう制限時間を過ぎていて60㎞の人はいないんだけどね(そこがサロマ湖の50㎞との合流とちょっと違う)。そして、海の中にゴジラ岩。脚は痛いがまだラケット道路に来ない。あれ、ラケット道路って何キロ地点よ(コースを精査していないので忘れている)、ドロップバッグのある73㎞の自然休養村の方が手前か...。これもなかなか近づいてこず、近くを走っていた完走経験のあるランナー(過去に100㎞完走している人のゼッケンには★印が付いている)に次のエイドどの辺でしょう、と尋ねたら海岸線のずっと先に見える大きい建物のところ、と言われ、がっくり。
そしてよろよろと自然休養村に入る。大学生のお手伝いの子たちが、休養村に入る手前でゼッケンを見て、エイドに番号を連絡しておき、エイドに入るとすぐドロップバッグを手渡してくれる。お味噌汁(ジャガイモとわかめ)とおにぎりがあったので、おにぎりを味噌汁のなかに投入して、とりあえずパイプ椅子に座る。子どもたちが派手な着物を着て、よさこいソーランみたいな踊りをしている。ここのエイドにはバニーさんがいるはず、ときょろきょろしていたら、リタイアする人の収容の手配をしていた。さっきエイドの場所を教えてくれた、完走経験ありのランナーの人も、これ以上1mも走れない、とここでリタイア。膝をかばっているので右はふくらはぎが痛くなってきて、ふくらはぎが痛い左脚はそこをかばってアキレス腱が痛くなってきた。痛いところを座りながら揉む。あと29キロ、もう3分の1ない! 3分の1もあるのか、3分の1しかないのか? うーん。タイム的にはまだ余裕だが、立ち上がっても、さぁ走るぞ!、という勢いがない、ゆっくり足を踏み出す感じ。エイドを出たところで、子どもたちとハイタッチ。そしてスピードwあげようとしたら足が攣りそうに。え、これまでマラソン中に攣ったことなんてないのに! さっきふくらはぎやアキレス腱を揉んだのが変な刺激になっちゃったのかな? そろそろと進んでなんとか攣りは回避。
という73キロ地点でまた一旦中断。次回こそゴールまで!