そこに光が降りてくる　青木野枝/三嶋りつ恵(東京都庭園美術館)

東京都庭園美術館で開催中の「そこに光が降りてくる　青木野枝/三嶋りつ恵」展に、行ってきた。2024/11/30-2025/2/16
いつもながら、旧朝香宮邸の美しい建物と、展示作品の美しいコラボレーションを成し遂げた、素敵な展覧会だった。

2022年の瀬戸内国際芸術祭の際に小豆島で見た「空の玉」にノックアウトされた青木野枝の作品が見たくてやってきたのだが、今回初めて見た三嶋りつ恵のガラス作品も素晴らしい。ヴェネツィアのムラーノ島で制作を続けてきた作家だが、ヴェネツィアングラスによくある、カラフルな作品ではなく、無色のガラスで造形している。会場では、それぞれの作家が撮影した写真をスライドショーで紹介する映像や、作家が自分の制作活動について語る映像なども紹介され、作家の制作活動を、様々な角度から体感できるようになっている。

屋外の看板は、写真に撮ったら木の影でわかりにくくなっていた。

美術館入り口の左手の部屋。館内からは見られないようになっているので、エントランスで建物の美しい内装に溶け込む三嶋作品、青木作品を味わっておくのが吉。

背後のとがったコーンは、この部屋以外では1作品しか紹介されていなかった（青木野枝）。

入館してすぐの洗面台スペースに置かれた香水瓶のような三嶋作品。

作品群「光の海」。透明なガラスを自在に造形している強さに心打たれる。

一つ一つの作品に名前が付いている。

宇宙の雫。ガラスに銀を溶け込ませ、他の作品とは違った質感があった。

天から地までつながるガラスの鎖。青木野枝もこういう天から地までつながる作品を製作しているが、今回はそういう作品はなかった。

青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーI」

鉄板から切り出した円環を、溶接でつなげている。赤いガラスがはめられたパーツはボルト留めされていた。

青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーII」

鉄の輪による球体は、「空の玉」を思い起こさせる。

階段を登っていくと、階段ホールに三嶋りつ恵の「光の場」2万個以上のガラスビーズをつなげて作られている。

青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーIII」

青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーIV」四角い台の上に積まれているのは石炭

青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーV」積まれているのはさまざまな石鹸。部屋は石鹸のいい匂いに包まれていた。

台の上に積まれた石鹸が6セットあった。天井の照明と色合いが似ていて、可憐で美しい。

三嶋りつ恵「SPIN」

サンルームに置かれた作品が、外の明るい光を浴びて、きらめいている。天気のいい日に訪問出来てラッキーだった。

三嶋りつ恵「MONDO」書斎の半円形のデスクの真ん中に。

三嶋りつ恵「CASCATA」滝、という作品が滝をイメージした内装の部屋に飾られている。

三嶋りつ恵「MEDUSA」照明を落とした書斎の真ん中のメドゥーサ。

三嶋りつ恵「RULLO」「MILLELUCI」千の光

青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーVII」狭い金庫室の、金庫の上のインスタレーション。

ウィンターガーデン（3階のサンルーム）の三嶋りつ恵「HELIOS」

ウィンターガーデンの青木野枝「ふりそそぐもの/朝香邸ーVIII」

新館ギャラリーの青木野枝「ふりそそぐものー赤」

各オブジェをつなぐ鎖は壁に接着されているので、このスペースで作成されたのか。

縦長の籠状のオブジェが8つ、それを円環を抜いた中身の円で作った鎖でつないでいる。

不思議な調和

屋外展示は三嶋りつ恵「RUGIADA」　露、らしいが、ぱっと見ミノムシのようでもあった。

外から見た青木野枝。

私のガラスは無色透明です。
そして周りの光や色をとらえて解き放つのです。

三嶋りつ恵、展覧会マップより

鉄は透明な金属。
そしていつも内部に透明な光をもっている。

青木野枝、展覧会マップより

私の作品の本当のコンセプトはガラスではなく、光なのです。

三嶋りつ恵、展覧会マップより

すべては流れていて、変わり続けている。
一瞬一瞬の流れのなかで、つくり続けること、それが私の光だと思います。

青木野枝、展覧会マップより

2人のアーティストの力を感じられる作品群。休日でも大きな混雑はなく、観覧しやすかったが、もっともっと沢山の人に見てもらいたい展覧会だった。

図録は、展覧会終盤に刊行予定で、現在は予約販売中。

ポストカードや雑貨は、この展覧会のものではなく、作家のコレクション作品を紹介するものだった。青木野枝は、昨年1月に市原湖畔美術館で見た展覧会でも、図録やポストカード購入したので、今回は様子見。図録は美術館サイトで購入可能なので、またあとで考えるよ。

昨年見た青木野枝展

瀬戸内国際芸術祭の青木野枝

流れのなかにひかりのかたまり

青木野枝　ＡＯＫＩ　Ｎｏｅ　“Protoplasm”

炎の果実―三嶋りつ惠作品集 Glass Works Venice

【予約注文専用】『そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠』 展覧会公式記録集-東京都庭園美術館オンラインショップ東京都庭園美術館ミュージアムショップ

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