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堀江敏幸『なずな』『めぐらし屋』(毎日読書メモ(324))
遅れてきた堀江敏幸ファン。どの本を読んでもびんびんに心に響く。続けて読んだ、2冊の堀江敏幸本をまとめて紹介。
『なずな』の中でレシピが出てきた大根サラダ、我が家の定番メニューに。
(1)千切りした大根を塩もみして絞る
(2)ワインビネガーをかける
(3)白ゴマを振って、その上からゴマ油をかけて、軽く混ぜる
これだけなんだけど、すごく美味しい。ありがとう堀江敏幸、って感じ。
『なずな』(集英社、その後集英社文庫):2人の信頼おける本読みの友人に絶賛され、図書館に行かずに書店に直行。本の分厚さに圧倒されつつ、伊都川という小さなまちの出来事を堪能。乳児育児小説であり、ハンドボール小説であり、料理小説であり、多くの人のふれあいの機微を巧みにすくい取った、堀江敏幸渾身の力作でした。四十男単身での乳児育て、って、どんなきっかけで思いついたのでしょう。ご本人のお子さんはもうかなり大きくなっているだろうに、これだけ緻密に育児の情景を描いていることにも感心。囲碁教室の取材のエピソードが好きでした。作中の大根サラダは作ってみた!(2011年6月の読書メモより)
『めぐらし屋』(新潮文庫):『なずな』より前の本だが、同様に、押しの弱そうな(実際に弱いかは不明)主人公が、周囲の人のさまざまなアプローチをきっかけに、自分のlifeについて色々考える本。主人公蕗子と両親の家族関係は途中まであえてぼかして書いてあるが、遠いように感じた家族と、もう二度と会えなくても自分から近づいていけるような感じがあることが、この小説をほの明るいものにしているような気がする。(2011年6月の読書メモより)