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短編小説

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#ショートショート

年齢を気にする亜里沙と、気にしない小百合

年齢を気にする亜里沙と、気にしない小百合

 ガールズバーで働いている「亜里沙」は年齢を気にしていた。「亜里沙」は今年で19歳になるのだが「小百合」という18歳のニューフェイスが現れたからだ。
 一方の「小百合」は、「ああ、亜里沙さんって、私よりひとつババアなんですね。なんだか安心しましたぁ」と毒づいて、亜里沙の心を侵食した。
 その後「亜里沙」は小百合とは一切の口を聞くことなくガールズバーに務めた。
 だが誕生日が来るたびに「小百合」より

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「山賊」に就職したという友人

「山賊」に就職したという友人

「……それは猟師とかじゃなくて、本当に山賊?」
「そうとも、山賊さ」
「半ぐれとか、反社会の方々ではなく……山賊?」
「だから『山賊』だって言ってるだろう」

 神奈川県足柄のパーキングエリアで10年ぶりに再開した友人の松本。足湯のあるレストランで再開を喜びあうと、おのずと家族や就職の話となった。しかし、私は「山賊に就職した」という松本の話に首を傾げていた。

「……何してんだよ、お前。いや、俺は

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