#006 容量拠出金とは
みなさん、こんにちは。
ENECHANGE株式会社、新規事業開発室の中村です。
今回は、容量市場に供給力を提供することで得られる報酬「容量確保契約金」の原資となる、容量供出金についてご説明します。
容量市場の登場人物
「#005 容量市場のスケジュールと応札条件とは」でご紹介したとおり、容量市場は、全国な必要な供給力を一括して確保するために、実需給期間の4年前に開催されます。
容量市場の主な登場人物は「広域機関」「容量提供事業者(供給力を提供する事業者)」「小売電気事業者」となります。
引用:電力広域的運用推進機関「容量市場の概要について」
登場人物の役割
それぞれの役割をご紹介します。
広域機関
容量市場の主催者であり、落札者です。
供給力提供希望事業者のなかから、落札電源と約定価格を決定し、容量提供事業者を選定します。実需給期間前には、供給力提供事業者と実効性のテストなどを実施、実需給機関中は、リクワイアメントに基づき供給力が提供されているかどうか、履行状況を確認し(アセスメント)、容量提供事業者に容量確保金を支払います。リクワイアメントが達成されない場合はペナルティの対応もします。
容量提供事業者
容量市場に応札をし、落札された場合はリクワイアメントに基づき供給力を提供します。落札されなかった場合には、容量確保金は支払われません。
小売電気事業者
容量確保金の原資である、容量供出金を広域期間に支払います。
なぜ、小売電気事業者が容量拠出金を支払うのか
電気事業法に下記の記載があります。
(供給能力の確保)
第二条の十二 小売電気事業者は、正当な理由がある場合を除き、その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保しなければならない。
2 経済産業大臣は、小売電気事業者がその小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保していないため、電気の使用者の利権を阻害し、又は阻害するおそれがあると認めるときは、小売電気事業者に対し、当該電気の需要に応じるために必要な供給能力の確保その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
引用:電気事業法
つまり、小売電気事業者は必要な供給力の確保しなければならず、容量市場は将来の供給力を確保する場であるために、小売電気事業者が供給力の対価である容量確保金の原資となる、容量拠出金を負担する仕組みになっているのです(一般送配電事業者も容量供出金を負担します)。
まとめ
容量市場は電気の安定供給のための取り組みであり、広域機関を中心に発電事業者や容量提供事業者、一般送配電事業者、小売電気事業者がそれぞれの役割を担っています。
次回は、需給調整市場についてご説明します!