#008 需給調整市場で扱われる調整力について
こんにちは。
ENECHANGE株式会社、新規事業開発室の中村です。
今回は需給調整市場で扱われる調整力について、ご説明します!
調整力とは
「(参考資料)需給調整市場について」というドキュメントの中に、調整力の定義を説明しているページがあります。
電気は貯められないという性質があり、電力の安定供給のためには需要と供給のバランスをとる(同時同量)必要があり、一般送配電事業者は常に需要と供給を一致させるべく取り組んでいます。そのバランスを取る際に用いられる供給力が調整力なのです。
よって、需給調整市場の商品は調整力、売り手は短時間で調整力を提供できる事業者(発電事業者やアグリゲーターなど)、買い手は一般送配電事業者となります。
需給調整市場で取り扱われる商品とは
「需給調整市場について」では、下記のようにまとめられています。
いろいろと説明が書かれているのですが、主には応答時間で区分されていてる点に着目をします。一次調整力は応答時間が10秒ですが、三次調整力②は応答時間が45分となっています。一次調整力は即座に応答をしなければならず、提供難易度が高い調整力と言えます。
需給調整市場は2021年度から開設され、初年度である2021年度は商品のなかでは難易度が低い三次調整力②の取引が開始されます(2022年度には三次調整力②、2024年度には一次調整力、二次調整力①と②が運用開始予定となっています)。
調整力公募とは
調整力を調達することを目的に2016年4月から行われている調整力公募は、需給調整市場の前身とも言えます。需給調整市場はエリアを越えて調整力を取引できますが、調整力公募はエリア内でのみという点に違いがあります。
調整力公募の電源区分
「2020年度調整力の確保に関する計画の取りまとめについて(報告)」では、下記のように整理されています。
2020年度向け調整力公募概要(要件討)の表組をご覧いただくと、6つの区分がされており、表の下にはそれぞれがどのような用途の調整力であるかが記載されています。
[a]は需給調整において周波数制御で用いられるため応答時間が短く、[b]や[ダッシュ]は需給のバランス調整のために用いられるため、[a]に比べると発動までの時間が長いという特徴があります。
[電源Ⅰ']は厳気象対応調整力と記載があり、夏や冬の電力ひっ迫時などに需給バランスを整えために用いられるもので、下げDR(節電などにより通常の電気使用量よりも抑えるよう、需要家が電気の使い方を工夫するデマンドレスポンス)の活用はここにあたります。
なお、電源Ⅰは一般送配電事業者が周波数や需給バランスの調整のためにあらかじめ確保しているもの、電源Ⅱは一般送配電事業者が小売電気事業者などから調達するものを意味します。
需給調整市場で扱われる調整力について
需給調整市場で扱われる取引の区分、調整力公募で用いられている調整力の区分についてご紹介しました。
次回はアグリゲーターについてご紹介します!