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なぜenechainは、カルチャー浸透を重んじるのか

これまでenechainが取り組んできたこと

2022年6月4日- 5日、enechainは沖縄にて全社スリル合宿を開催し、5つ目の新バリューの発表、そして半年かけて取り組んできたカルチャー浸透の成果を分かち合いました。

enechainでは創業初期からミッション・バリューを掲げ、カルチャーへの投資を続けてきました。
簡単にこれまでの経緯をお話しすると、2019年7月、創業当時のミッション・バリューは創業メンバー5名で議論して掲げたものでした。

2020年10月、創業から1年強が経ち、事業領域が創業時に想定していた以上に広がってきたこともあり、その広がりを表現したいという想いでミッションをアップデート。同時に、組織の拡大に伴ってメンバーが日々の業務で判断に悩むポイントも多様化した背景から、「何をやって何をやらないのか」の意思決定基準を明確にするべくバリューも一新

社員はもちろんのこと、採用候補者や社外パートナーに対しても、enechainの目指す方向性や大切にしている価値観をよりクリアに伝えられるようになりました。

そして創業から3年が経とうとする今―。
もう一度カルチャーを見つめ直し、「enechainが何を大切にし、どんな組織を目指すのか」を明確にした上で、80名を超えた全社員で分かち合う機会をつくりました。

本noteでは、「なぜenechainはカルチャー浸透を重んじるのか」の、その背景を中心に実際の取り組みや成果をシェアしていきます。
お読みいただく中で、enechainがカルチャー投資に懸ける熱意を感じていただけると嬉しいです!

2年後、150人のグローバル組織を見越した先手を打つ

創業4年目に差し掛かる今このタイミングで、本腰を入れてカルチャー浸透に取り組んだ理由は、スケールした未来から逆算した投資観点で、組織拡大による課題に先んじて打ち手を講じよう、という経営の意思決定をしたからです。

一般的に、社員数が50人を超えると組織構造が複雑化し、経営と執行との間にも距離が生まれます。いわゆる “50人の壁” と言われる、構造的に一体感を醸成しづらいフェーズです。

enechainの場合は、前述のようにカルチャーづくりに力を入れ、定期的な見直しも行ってきたため、なんとかこの “50人の壁” は乗り越えられてきているのではないか、という感覚でした。
ただ、2022年1月にシリーズAラウンドで20億円の資金調達を行い、事業も計画以上に前進している中、組織は20人から1年で80人規模となり、今もなお毎月社員数の純増が進んでおり2年後には150人を超える見通しです。

カルチャーという点においては、小さな違和感が生じ始めているのも事実であり、たとえば一つひとつの課題解決のスピード感や、目標へのコミットメントレベルなど、メンバーによって目線の違いやバリューの認識にバラつきが散見されました。

一言で「バリュー」とはいっても、バリューをイチから策定に携わったメンバーと直近に入社したメンバーとでは、理解度や解釈レベルが異なって当然です。働く場所や国籍、バックグラウンドも多様化し、社員の半分以上が入社半年以内に入社している事実もあります。
これからさらに組織がスケールしていく中で、カルチャーにおける小さな歪みも比例して膨らんでいくのは明白です。

「全社員が同じ方向を向き、自立した判断・行動をできるように、もう一度足元を固めよう」

2年後150人へと成長した組織の姿から逆算して、今向き合っておくべき課題であり、早ければ早いほど複利が効く投資と考え、創業3年のこのタイミングでカルチャー浸透を経営の最優先テーマとして掲げました。

カルチャー浸透への優先度を大きく引き上げたもう1つの理由は、リードインベスターであるDCM Venturesの本多さん・原さんから頂いた助言です。
enechainの現状を深く理解された上で、米中日でのグローバルな投資経験とホームラン級の成功を後押しされてきた知見から、これからの成長に不可欠なヒントをいつもご提案いただいております。
(シリーズAラウンドで総額 約20億円の資金調達した際の記事はこちらです)

その中で、「大きくなる会社には強いカルチャーがある」と幾度となくカルチャーの重要性を教えていただき、実際に投資先企業のケース、その事業成長との相関性を詳しく紹介いただきました。
それによって自社のカルチャーに対する投資の甘さを実感するとともに、一気に目線も上がったのです。

DCM Ventures 原さんをオフィスにお招きし、
カルチャー投資の意義や事例をお話しいただきました

投資額・費やす時間・本気度、いずれを取っても最前線の取り組みをしているかと言えば、まだ理想にはほど遠い。
現状のまま組織がスケールすることで起きうるリスクや、成長のボトルネックになりうる要素を洗い出した結果、やはり今この瞬間で本腰を入れてカルチャー浸透を推し進めるべきだという結論に至りました。

カルチャーはバリューと異なり、その企業が理念を基に「どう行動するか」

enechainがカルチャー浸透を推進するにあたり、DCMのアドバイスと共に教訓にしたのは、Ben Horowitz氏の言葉です。(著書"Hard Things" や "Who You Are" で有名な、世界的VC "a16z" の共同創業者です)

バリューだけを掲げてもアクションには繋がらないので、企業文化の形成という観点でははっきり言って意味がない。カルチャーはバリューではなく、その企業が理念を基にどう行動するかである。カルチャーは “一連の行動” にほかならない

Ben Horowitz

著書によれば、アクションに繋がるとは具体的に、
・この電話は、今日折り返した方がいいほど緊急なものか?明日まで待っても良いものか?
・この資料は外に出せる品質か?それとももう少し手を入れた方がいいのか?
・ライバル会社について、どのくらい必死に研究すればいいか?
など、「正しい答えがない問い」に対して一貫した答え (行動) を出せることです。

つまり、トップや経営層がいようがいまいが、正しい答えがない中でenechainの大切にする行動を “自然に” 起こせることがポイントです。

そのため、今回のカルチャー浸透においては、これまでのミッション・バリューの再検討と具体化、社員の記憶に強烈に残るようなショッキングルールの設定など、あくまで「どう行動するか」にフォーカスを当てて取り組んできました。

全社タスクフォース、マジでカルチャーをつくり隊「マジカル隊」を立ち上げる

企業の理念を基に「どう行動するか」に焦点を当てるとなれば、大事になってくるのが実際に働く社員の納得感です。
そのため全部署横断のプロジェクトとして、極めてボトムアップにカルチャーを育む意識やプロセスを重んじました。

プロジェクトチーム名は「マジカル隊
「マジでカルチャーをつくり隊」の略です。ダイレクトなネーミング!笑

正解がない議論だからこそ、あえて公募制でメンバーを募り、かつ半年という長い時間をかけて毎週のように議論を重ねてきました。
ベテラン・新人も一切関係なく、今後組織を拡大していく上での「核」とは何かを、それぞれの切り口からぶつけ合ってきました。

カルチャーづくりのためにマジカル隊が行ったこと

ミッション、バリューとカルチャーの関係性

enechainにとって、カルチャーとは「チームとして自然に滲み出る雰囲気や状態」です。成し遂げるべき存在意義 (ミッション) と大切にする価値観 (バリュー) に共感して集まったメンバーから、自然と生まれるenechain “らしさ” や “ぽさ”、これこそenechainだよねと実感できる空気感のこと。

これまで創業2年半をかけて築かれてきたカルチャーは確実にある一方で、それが「今のミッション・バリューに正しく組み込まれているか?」「メンバー全員の認識が揃っているか?」という観点で見れば、答えはノーでした。
組織拡大に伴って浮き彫りになった社員間での行動の違いは、カルチャーの言語化の精度・全員の納得感にあると考え、まずは全社員で「enechainらしさとは?」をできるだけ広く幅出しすることにしました。

全社員で部署横断のシャッフルランチ!

全社員から抽出した300以上のenechainらしさ

enechainを今まさにつくっている人たちが、日常どんなことにこだわって仕事をし、どんな行動をステキと感じるかを幅広く出した上で、強調すべきエッセンスを絞り出していきます。
そして現在のバリューと照らし合わせ、一つひとつ整合性を確かめながら、今のバリューだけでは表し切れていない核となるカルチャーを浮き彫りにしていきました。

今後バリューに加えるべき内容 (What) が明確になった上で、次はどのようにバリューへと組み入れるべきか (How) を二度目のシャッフルランチで話し合います。

enechainには、「コンクリ (constructive criticism = 建設的な批判の略) を奨励する風土があります。ミッション志向で、コトに向かって議論し、より良いアウトプットを出すためにコンクリするのですが、カルチャーの内容・決め方いずれも全社として関心度が高い議題がゆえに、非常に多くのコンクリが寄せられました。その数、300以上。

バリュー新設という大きな経営判断を下す

当初マジカル隊内の議論では、無暗にバリューを増やしたくないという考えから、現在の4つのバリューに新たな説明書きを加える方向で進めていました。しかし全社から異なる意見が出ました。

・新たに抽出した強調すべきカルチャーを、現行のバリューにまぶすのには無理があるのではないか?
無理を許容することで、現行のバリュー一つひとつで本当に伝えたいことも曖昧になるのではないか?

たしかに「バリューを増やすことによって生まれるコストもある」一方で、「あえて増やすことで得られるリターンも大きい」と判断し、独立した5つ目のバリューを加えることを意思決定しました。

これまでの4つのバリューでは表現しきれない、しかしenechainとして大切にしている “チームとして取り組む姿勢 に特化にした "Rainbow is beautiful" が5つ目として加わるバリューです。
多様性に伴うさまざまな意見・コンクリと、互いへの感謝・賞賛を推奨する姿勢・チーム志向を内包するバリューで、これは後日noteでリリースいたします!

全社を巻き込んで議論とコンクリを重ねたからこそ、5つ目のバリューをつくるという大きな判断についても納得感をもって推し進めることができました。

※次回投稿では、5つ目のバリューである "Rainbow is beautiful" と併せて、バリュー毎の行動指針や、ショッキングルールについてもご紹介する予定です!
→7月13日にリリースしました!合わせてご覧ください!

バリューをアップデート | 5つ目の “Rainbow is beautiful” に込めた意味
https://note.com/enechain/n/n03742c05b8a0 

カルチャー浸透の旅は始まったばかり

Ben Horowitz 氏の言葉にもある通り、カルチャーを創るためには、理念だけではなく社員一人一人の「具体的な行動」が重要となるため、バリューに沿ったショッキングルールを設定します。

3度目の全社シャッフルランチを行い、各バリューに紐づく行動指針や、思わず記憶に強く残るようなショッキングルール、それらをいかに楽しみながら運用していくかを議論し、最終的なアウトプットを沖縄スリル合宿で発表しました!

スリル合宿でのマジカル隊の発表の様子

なお、自社のカルチャー浸透を設計する上で、enechain同様にDCM投資先でもある atama plus さんからのアドバイスが非常に参考になりました。

カルチャーは建築物のように一度作ったら永いこと壊れないものではなく、作るのに時間はかかるし、手入れし続けないとすぐに壊れる「庭」のようなものです。種を植えたり雑草を抜いたりしながら、ずっと丁寧に磨き続けるものだと思います。
毎日の地道な積み重ねの結果が企業のカルチャーとなります。

atama plus 2020.07.15 note記事より

「カルチャーづくりはガーデニングである」という言葉の通り、カルチャーはつくって終わり、ではなくこれから育み続けるものです。

組織としてもさらなる成長を遂げるうえで、変わるべきことは多分にありながらも、マジカル隊のアクションによって「変わらずにいるべき核」がシェアできたと実感しています。
全社を巻きこみながら、カルチャーとして重んじるべきエッセンスを抽出し、一つひとつ丁寧に言語化することで、納得感をもったディスカッションができたのも大きな成果でした。結果として、メンバーがバリューを体現した場面が増えつつあり、たしかな変化を感じています。

enechainのメンバー

enechainの採用について

最後に、カルチャー発信に力を入れる理由の一つは、これから一緒に働く仲間に向けても情報をオープンにすることで、共にカルチャーつくり上げたいという思いがあるからです。

カルチャーフィットするかどうかは、ご自身が活躍できる場を選ぶうえで大切なエッセンス。事実、採用選考の場でもカルチャーや働く仲間に関する質問はとても多く、ぜひ面談の場でディスカッションさせて頂きたいと思っています。

enechainは、この7月から4期目を迎える創業「ド」初期のスタートアップ。
強い組織づくりに向けてのカルチャーにご興味お持ちいただいた方、そしてミッションであるエネルギーマーケットの創造に共感いただける仲間をお待ちしております!


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