架空の建造物をつくる「前田建設ファンタジー営業部」!生みの親・岩坂さんにインタビュー(後編)
なるほど!と思う話題、エネルギーにまつわる雑学、ちょっと誰かにシェアしたくなるエネルギーの話をあらゆる方向からご紹介するこの企画。
今回は前回のつづき、「エネルギーד建設”」をテーマに、「前田建設ファンタジー営業部」の発起人の一人・岩坂さんのインタビューをお届けします。
後編となるこの記事では、アニメとエネルギーの意外な関係をご紹介。岩坂さんが総合センター長を務めるICI総合センターでの取り組みについてもお聞きしました。
会社の反応は「ぽかーん」
ファンタジー営業部を立ち上げるにあたり、岩坂さんは仲のよい同僚に声をかけ、企画の具体的な詳細を詰めていったそう。当然、トントン拍子とはいかず、社内からはさまざまな反応があったようです。
無事、社内の承認を得ることができたファンタジー営業部。とはいえ、たとえ架空の建造物であっても具体的な設計図や見積もりを公開することには社内の抵抗がありました。そのため、ファンタジー営業部の存在は、サイトが公開されてなお社内にほとんど告知されず、ひっそりと進んでいったのです。
熱意と具体性が人を動かす
マジンガーZの格納庫を作るためには、機械メーカーや鉄鋼メーカーなど他社からの協力も欠かせません。ただ、相手からしてみれば、実際につくらないわけですから1円にもならない仕事です。
そこで岩坂さん率いるファンタジー営業部がとったのは「ラブレター作戦」。すでに取引している会社であっても正規の営業ルートを使わず、手紙やメールで企画の趣旨や熱意を伝えました。
すると企画をおもしろがってくれる会社が現れ、各方面からの協力が徐々に得られていったそうです。
人を動かすためには「熱意」と「具体性」が必要、と岩坂さんはそのときの教訓を語ります。格納庫づくりに多くの時間をかけてサイトを公開しても、もしかするとほとんどアクセスが集まらないかもしれない。それでも熱意と誠意をもって相手と向き合い、ファンタジー営業部のコンセプトや依頼作業をより具体的に伝える。それこそが、他社から無償でも協力を得られたポイントだったのです。
最終的には、コンテンツが公開されてほどなくサイトがYahoo!に掲載され、一時サーバーがダウンするほどアクセスが急増。その後、メディアでも取り上げられるようになり、ファンタジー営業部の名は世に知られるようになりました。
なぜ、マジンガーZの格納庫を選んだの?
アニメやゲームに登場する建物を現実世界でつくるとしたらどうなるか、を真剣に考えるウェブコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」。
営業部が最初に取り組んだのが「マジンガーZの格納庫」です。なぜ、格納庫という題材を選んだのか、発起人である岩坂さんにズバリ聞いてみました。
当時の30代が幼少期を過ごした1970年代は、まさに日本アニメ成長期。あしたのジョー、ガッチャマン、デビルマン、エースをねらえ、キューティーハニーなど、誰もが知っているような人気アニメが数多く誕生した時期です。
マジンガーZもそのなかのひとつに数えられ、当時の最高視聴率は30%超。その後、続編も制作されており、2022年には50周年を迎え、いまなお日本を代表するアニメとして国内外から高い人気を博しています。
ロボットアニメと実は関係が深いエネルギー
マジンガーZは「光子力」という架空のエネルギーを原動力としています。また、「鉄腕アトム→原子力」「機動戦士ガンダム→核融合」「エヴァンゲリオン→電力」など、実はほかのロボットアニメでもそれぞれのエネルギー描写がされています。
ちなみに、ハリウッドのアクション映画でもエネルギーの設定がちゃんとなされています。トランスフォーマーは「エネルゴン」アイアンマンは「アーク・リアクター」、ターミネーターは「水素燃料電池」などなど。
劇中のエネルギー描写は見落としがちですが、エネルギーという観点からアニメや映画を観てみるとまた違った楽しみ方ができるかもしれません。
まとめ
岩坂さんのお話をうかがって、ファンタジー営業部の取り組みにはいろいろな教訓が詰まっていると感じました。
岩坂さんは現在、茨城県取手市にある「ICI総合センター」の総合センター長を務めています。同センターは、さまざまな企業や公的機関が協力し、社会課題解決につながるイノベーションを生むための中核拠点に位置づけられます。その取り組みは、まさにリアル・ファンタジー営業部です。
最後に、将来実現してみたいことをうかがうと、「アイアンマンに登場するAIを作りたい」というなんとも岩坂さんらしい野望を語ってくれました。
ファンタジー営業部がそうであったように、ICI総合センターでも各方面の協力を集めながら日々新たな技術開発をされているそう。そう遠くない未来、空想が現実になる日が来るかもしれません。
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