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都市建築家をめざして。

小さい頃から、僕はよくコミュニティの輪から外れることがあった。残念なことに、大人になった今でも、それはつづく。
他人の気持ちを汲めなかったり、深く考えずにつっかかったり。そんな性格だから、輪から外れるのも仕方ないと思う。それでも厄介なのは、コミュニティで生きることが、現代社会では欠かせないという現実だ。一つの輪から外れることは、居場所を一つ失うことと同じだ。

そんなとき、僕は都市に逃げ込む。
すれ違う人や追い越す人、誰も僕を知らない。都市では、僕は特別な存在ではなく、ただの構成要素の一つになり、風景に溶け込んでしまう。

決して肯定するわけではないが、トー横やグリ下に集まる彼らも、地元のコミュニティを抜け出し、都市に逃げ込んだのだろう。都市は、コミュニティの外に溢れた人々にすら、生きる場を提供する最後のセーフティネットなのかもしれない。

僕は、そんな都市が「究極の福祉」だと思っている。

もう一つ、僕には都市に取り憑かれている部分がある。むしろ、これが自分の本質かもしれない。
都市は、誰かのための場所であると同時に、誰の場所でもない。必要とする人には必要な形で応える。そのときの状況、感情によって、風景の印象すら異なってみえる。都市はその人の人生にとって『背景』のような存在になる得ると信じる。

だからこそ、都市をもっと美しく、もっと楽しいものに、そして時には悲しみすら受け入れられる場所にしたいとずっと考えてきた。

10代の頃から、この問いに向き合い続けている。どうすればそれを実現できるのか?
都市という広大な空間と、果てしない時間軸を前にすると、自分の仕事の成果を直接目にする機会はほとんどない。それが、都市を扱う者の悲しい宿命だ。それでも、限られた時間の中で、自分に何ができるのかを考えている。

建築家、ランドスケープデザイナー、ディベロッパー、などなど──都市に関わる仕事は無限にある。僕はそのすべてをやりたいと思ったし、やらなければいけないとも感じた。
おそらく、僕には何か一つに秀でた才能はない。だからこそ、手段を選ぶ余裕もなく、その時々で必要なことを全力でやる。そう決めている。

具体的な話をしたい。
僕が今やっていること。都市に関わる上流から下流まで、運がいいことに携わることができている。

・コンサルティング
国や市の規模の案件に、他の企業さんのチームに加えてもらう機会をいくつかいただいた。その街の何十年後かを決める仕事。

・ブランディング
施設のブランディングをする機会をいただいた。その場所がどうあるべきか、そこで人がどう振る舞うか。コンサルに似てるけど、こちらはデザインの実装までおこなう。

・デザイン(グラフィック.建築.ランドスケープ)
メインの仕事、ブランディングから入らずとも、店舗のロゴだったり、内装デザインをおこなった。

・イベント企画
都市空間をつかったイベントの企画と運営。こちらは仕事というよりは関係作りに近かった。

2024年はバリエーション豊かな様々な仕事ができた。2025年はここに2つ、新たに加えたい。

・事業計画
学生のころから一番関心があった分野、デザインよりも興味があったかもしれない。不動産の活用や都市に関わる事業のサポート。都市を豊かにするために、いちばんの肝だと思っている。都市の表層に使われるお金というのはせいぜい広告費くらいだろう。ここにどのくらい予算を持って来れるか、都市を歩く、都市に滞在する人達のためにどのくらいお金を使えるだろう。

・マーケティング
どんなに素晴らしいデザインをしても、それが経済的に成り立たなかったら続かない。人が来なければ意味がない。マーケティングとはいい場所を持続させる大事な手段である。

これら2つは経済に関することだ。都市に持続性を与えたい。


最後に、自分の肩書きにいつも迷う。自分は何者かなのか。いったん都市建築家とでもしておこう。僕の中で建築家とは、単に建物の設計をする人間を指さない。建築家とは、社会の問題を解決しながら、人々にあらたな価値観を提供する存在だと思う。よく、アーティストはシーズ発想、デザイナーはニーズ発想という話がある。建築家はその間のような存在ではないだろうか。

noteを書いた理由の一つとして、仲間探しの意味合いがある。都市に興味がある人、仕事をしている人、ぜひ、散歩でもしましょう。

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