後始末の難しさ
夫亡き後の整理は、ほとんど終えられないままでいる。書物類や、雑紙類はほぼ始末したが、困ってしまうのが衣類だ。背広とか燕尾服など、捨てる しかないのだろうか。苗字が入っていることで、値もつかず、買取り業者も 持っていかない。布地は高級なのだけど、ごみに捨てる他ないのかと悩む。1件だけ、背広上下3着を持って行った業者は、3着で200円の値をつけた。値の低さにがっくりしてしまう。
先日、偶然、岐阜県在の90代の知人とTELしているときに、少しやせて きて、ズボンを買わないと・・と言い出したので、ウエスト周りを測って みて、と頼んでみた。87cmと返ってきたので、それなら数着あるから、 待ってて、箱詰めして送るわ、と言うと待ってると喜んでくれた。
夫は、普段は79cmのズボンをはいていたが、大型のコルセット装着と なり、87cmの時期があったのだ。
最初は9月初めの暑い頃だったので、薄手の夏秋用ズボン3着とジャケット2着を入れて送ると、長さまでぴったりだ、ぴったりだ、と喜びの電話が きた。いずれ秋冬ものを送るね、と約束しておいた。
そして先日、今度は冬物の暖かいズボンを3着と、セーターやジャケット など大きな箱に詰めて送った。その方は上半身がしっかりしているそうで、着れないのもひとつあったが、他は大丈夫だった、とまた喜んでくれた。
こんな風にもらってくれる人がいてくれると有り難いのだけど。ウエスト 81cmのズボンが12着もあり、ほとんどが新品に近いのだけど、捨てるに捨てられずの状態だ。
大雨が降って、洪水で浸水したり、家を流されたりしたニュースを見ると、シャツや上着、新品の袋入りのままの肌着類にいたるまで、送ってあげたいと思うが、送り先の手立てがわからず、できないままでいる。
私の黒留め袖の始末に関しては、ツイッターにも載せたのだが、帯を含めて70万の品が、100円の引き取りとわかり、いったん渡したものの、娘に断固反対抗議され、クーリングオフで取り戻して、なんとか手元に戻っている。 娘の言い分は、「お母さんの記念の品を遺しておいてよ、始末は私にさせて。後始末しながら、この着物を着て、私たち兄妹の結婚式を祝ってくれたね、と思い出話をしながら、片付けることで、亡き母を偲び、供養することになり、自分たちも亡くした寂しさが癒やされることになるのよ」と。そう言われれば、なるほどと頷けた。夫の母を見送った後の、私と義姉の姿が、その通りだったから・・。
簡単に、単純に始末してしまえば終りではないのだ、終活は難しい、と痛感させられた。
[『香織の試練』とはまったく別の物語を、明日から載せることにしました。またお目通し頂ければ、有り難いです]