(51) マジックハンド

はっしゃまで  まだ １０分 あります。かっちゃんは  プラットホームを        スキップ して  いました。信くんと  パパは、でんしゃ  の中で   せきを         みつけて  すわり、なぞなぞを  といて   いました。

「あー、パパぁ、ぼくの  くつが・・」

かっちゃんの  ぶかぶかぐつが、かたっぽ、でんしゃと  ホームの すきまに おちて  しまいました。信くんが  とびだして  きて、ホームに  はらばいに なって  つかもうと   しました。

「だめだ、とどかないよ」

かっちゃんは  なきました。かって  もらった  ばかりだもの。

パパが、えきいんさんを  よんで   きました。

えきいんさんは  なれた  ようすで、ホームの  はしらの  とびらを  あけました。かっちゃんは  目を  みはりました。

〈まほう〉みたいに、しろい  ながい  ものが、でて きたのです。

えきいんさんは  それを  ホームの  すきまに  さしこんで、てもとを  すこし うごかしました。
すると、かっちゃんの  くつは、さきっぽに  くわえられて、ホームに  あがって きました。

「マジックハンド って  いうんだよ」

えきいんさんに  おそわって、かっちゃんは  とじられた  はしらの　 とびらを、あこがれの  目で  みつめました。  

それからは、ふたりで  マジックハンド  ごっこを  やっています。

信くんに  みみを  ひっぱって  もらって、かっちゃんが   りょうあしで、     パクッと  ものを  はさむのです。