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5章(7) 建築ラッシュ:諦めの境地

我が家の裏の1000坪ほどのススキの原に、この数年で順に家が建ち、今最後の一郭、それが我が家と隣接する部分だけど、そこに、総額 1億円を
超える家ができつつあります。三鷹住まいの親友のイギリス人パムさんが、私の隣の家に住みたいから、値段を聞いてみて、と言われたけど、やっぱりムリでした。1億2千万と言われたから。

そうそう、檜原村の田舎の土地まで、建築ラッシュは押し寄せていて、もう廃校になった小学校の脇に、6階建ての〈老人ホーム〉ができつつあるの。100人収容予定で、もう予約満員とか。

うちの山小屋のすぐ下にも、今建築中で、うちの左手と右手の両方が、近々とりかかるそうです。うちが1軒だけぽつんと立っていたのに、まるで別荘地帯になりつつあるみたい。

6月に山小屋の庭の茶摘みに出かけて、そういうニュースを手に入れて来ました。お茶は取り切れなくて、4キロぐらいできるかな。

夕べ遅く、私の『寮物語・1』の本の荷物が届きました。開けてすぐに、 ミスタ・Mに進呈したら「思ったほど、ひどい絵じゃないじゃないか」と 言われ、その前にあなたからも、慰めの言葉をいただいていたので、幻滅は多少は薄らぎましたけど、これはむしろ〈諦めの境地〉ね。このノートに 愚痴をぶちまけた瞬間から、悲しみの塊は少しずつ崩れて、溶け出していたのです。

大石真先生にTELしてみたら、同じ時刻に本は到着していて、「いい本が できたじゃないか。上品で、きれいでさすがですよ」と言われて、ひとまずほっとしました。〈さすが〉というのは、講談社だからなのか、K女史担当だから、という意味なのかもしれないけど。大石先生は、厳しい時もあってコテンパンに言われる時もあるから、ちょっと気にしていたのです。

本を出すのって、1度に周辺がざわつく感じで、私は神経が参って、ストレスいっぱい、心を静めるのに苦労してます。

学校のクラスで、ちょっと話したのね。「高校生の時の夢を、追い続けて いたら、ほら、15冊目のこれ」と、新本を見せたら、皆が拍手してくれてレッスンのあと、教卓に押し寄せて、のぞき込んだり、廊下を歩けば、見せて、先生、と寄ってくる。嬉しい反応ではあるけれど、やっぱりかなり興奮材料になって、あとで疲れ果てるの。

15人ほどの人たちに、本を送ったけど、思った通り、男性からは、なしのつぶてでした。あの表紙絵のメルヘンタッチに辟易してるんだ、と邪推したりして、また胸が痛くなる。それに、いつもなら、打てば響くように反応してくれる、吉田タキノさんと菊地澄子さんが、まるで無言状態というのも気にかかる。

私の作品が、以前とはあまりに変化していて、顔をしかめてるのかな、それともご病気中で、返事も書けない状態なのかな、と思えてね。精神的には、私はいかにひ弱で、神経が細いかよくわかったわ。

武川さんがとっても褒めて下さって、支えになりました。手紙をもらうのって、繰り返し読めて、よい方に受けとめてくれたのだな、と思えて、じんとする感じ。

『あじさい寮・2』は、今半分くらいまで書いてる。明日から、また期末テストの採点と、5段階評価を出さなくてはならず、3,4日はつぶれそうです。 

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