「頑張ってる人」の判断基準とは?
突然ですが皆さんは汗かきですか??
私は割と汗かきの方だと思うのです。
友達に「溶岩ホットヨガ」なるものに誘われて行ってみたことがありました。
たしか、密室の床が溶岩石になっており遠赤外線が出ているとのことで、通常のガンガンにエアコン(暖)を入れただけのただの暖かすぎる部屋でやるホットヨガより汗をたっぷりかけますというのがウリでした。
その「溶岩ホットヨガ」体験中に発覚したことがあり
私はどうやら平均より発汗量が多いらしく、各々の持ち場(?)の床を見ればその人がどれだけ汗を流したかが一目瞭然なのですが
私の場合どう見積もってもまわりの数名のお客さんの約三倍以上の汗をかいていました。
これは、私が他の皆さんよりも
ヨガのポーズを頑張っていたとか、大げさに動いていたとか
決してそんなことではなく、ただ単に汗をかきやすい「体質」の一言で片付けられることなのではと思います。
このように、世の中には汗を「かきやすい人」と「かきにくい人」がいるようなのですが(中間という人もいるでしょうが、発汗量の平均値がわかりません・・)、その昔、“人より汗をかきにくい”ことで圧倒的不利に追い込まれている人を見た事があり、体質に左右されるもので人を判断するのやめない??と思った経験があるのでちょっと紹介します。
時は(だいぶ)遡り、高校生時代。
我が校には、体育祭の時のみ臨時に募集がかかる応援団
通称「援団」
というものがありました。
かなり特殊な集団でして、基本的には生徒仕切りで運営されるのですが
目的はあくまで「体育祭で競技をしている最中に選手(生徒)たちを応援すること」なのに、なぜか練習が異常に過激で厳しいことで知られています。
体育祭は5月なので、入学して結構すぐの段階で三年生が一年生のクラスに勧誘にやってきます。
我が校は私服もOKで髪型も自由だったのですが、援団の三年生は大抵おしゃれでなぜか美男美女が多くそれはそれは陽キャの集い、学園カースト最上級に位置してるように見えるので、何も知らない一年生は「なんだか楽しそうだ」とか「入ったらモテそうだ」とか「イケメン・美女の先輩と仲良くなれそう」とか「援団に入ったら学校内でマウントとれそう」とかいう感じで
うっかり入団してしまうパターンが多いと思います。
そして、うっかり入団を果たしたピカピカの一年生たちは初めての援団の集会(なんか呼び方あったけど忘れた)に参加するために柔道場に呼ばれます。
ぞろぞろと大勢の生徒たちが集まってきて最初は2・3年生も談笑していますが、時が経つにつれ自然と話し声も減り、徐々に緊張感が漂い始めます。
そして開始時刻になると
つい最近、ニっコニコで勧誘に来てくれていた3年生男女数名が
眉間にシワ寄せスタイルの鬼のような面構えで、肩をシャナリシャナリと大きく揺らしてゆっくりと柔道場に入ってきて、整列するその他生徒の前面に並びます。
高校生とは思えない威圧感を纏う彼らに気を取られて気付きませんでしたが
1年生以外の生徒たちに異変が起きていました。
仁王立ちしながら「休め」の姿勢のように腕を後ろで組んでいるのですが、
その組まれた腕が極限まで上に上がっているのです。
肩甲骨と腕がくっついちゃいそうです。ちなみにこの肩がつりそうな姿勢を
「基本形」と呼びます。
一般生徒は基本形の姿勢をとり、先ほどの3年生の男女数名はその他生徒たちを威嚇するかのように睨みつけています。ハブvsマングースを彷彿とさせるにらみ合いの中、柔道場は異様な静けさと緊張感に満ちていきます。
そしてその場の緊張感がピークに達したころ、3年生の男女数人のうち一番偉そうなヤツが天に向かって顎を付きあげ、こう叫ぶのです。
「ゔぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
すると、なんと整列した一般生徒たち(2・3年生)も全員で身をよじりこう叫びます。
「ゔぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、さっきまでヘラヘラしていた一年生たちは思うのです。
「やばいところに来てしまった・・・。」
先ほどからタダならぬオーラを発していた3年生は「役付き」と呼ばれています。学年問わずクラスごとに紅組・白組・緑組に分けられるのですが、
各組ごとに団長(男)・副団長(男)・チアリーダー(女)・副チアリーダー(女)がいて、紅白緑全ての組を統べる総団長という人物がどうやら先ほど先陣を切って「ゔぉおおおおおおおおお!!!!!」と発した模様。
その後も総団長が大絶叫で何かを言うたび、一般生徒(平団と呼ばれる)はいちいち
「ゔぉおあああああおおおおおおお!!!!!」
で返事をします。
初めはあっけにとられておくちポカンだった一年生も、空気を読んでゔぉーゔぉー言い始めます。こうやって一年生や援団初挑戦の生徒たちは徐々に洗脳されていくのです。
この援団、青春かと言われればそうなのかもしれませんが
悪しき風習もたくさんありまして、その中の一つが
「型抜き」
と呼ばれる練習。
まず「型」というのは三三七拍子とか、野球でおなじみコンバットマーチとかそういった応援音頭みたいなもんなのですが、我が援団がこれを声帯が千切れんばかりの大絶叫で行います。(ちなみに私は異例の3年生からの入団なので衣装作りなどがあったり役付きが同級生なので甘々だったのですが練習二日目で声帯がふっとんでどっかにいってしまって性別が変わったのではというくらい声が低くなりました。)
「抜き」とはなんぞやと言いますと、
まず1〜3年生までの平団が役付きの前に全員並ばされまして、団長が「コォンバットマアアアアアアアアア!!!!!チ!!!!!」と叫ぶと
平団が「ゔぉおおおおおおおおお!!!!パッパパアアアアアア!!!!パラパパッパッパパアアアア!!!!!」とトランペットのパートを大絶叫し始めます。高校の中庭でやったりしていましたが近所迷惑の枠をだいぶはみ出していると思います。
そこからエンドレス絶叫コンバットマーチが始まるのですが、一部役付きが平団のまわりをウロウロしはじめて、
「お、こいつのコンバットマーチ気合入ってんじゃん」
と思わせた平団がいると、その人の肩をポンと叩いて「抜いて」行くのです。
抜かれた平団は型をやめて役付きの並びにやってきます。仁王立ちの基本形で無言で他生徒のコンバットマーチを見守ります。
早めに抜かれた人は体力も声帯も無事ですが、なかなか抜かれない人は大変です。
どんどん声も枯れ、数十分全力大絶叫なので過呼吸になる生徒も大勢いました。
それから最後の方になればなるほど、抜かれない人を大勢の抜かれた生徒が仁王立ちで囲んで見守る構図になるのでメンタルもきつい。
最後の一人に残ろうもんならもう2度と援団いかないってなってもおかしくない。
そんな型抜き練習ですが、援団に熱意を持って入団した一年生のジュンくん(仮)という男の子が
毎回型抜きで最後まで抜かれないでかわいそうだと噂が立っていました。彼は極めて陽キャでスポーツ万能、ムードメーカーなので先輩にも可愛がられるタイプでした。
そして聞くところによるとジュンくんの型は気合も十分、声もよく出ていて一年生なのに立派にやっていると。
(実際にジュンくんは三年生になると紅組の団長を勤めていました。)
ではなぜ、ジュンくんは毎回毎回、型抜きで最後の一人になってしまうのか
その理由はただ一つ。
汗が出ていないから。
えええええ、めっちゃ頑張っても体から汁がでないというだけで
「あいつは頑張っていない」という認識になってしまうのおおお・・
冒頭にも話しましたが、汗の出具合ってほんと体質によるもの。
汗がかけない体質ってだけで苦労しなくてはいけないってどんだけ昭和なの?と困惑した出来事でした。
汗のみならず、人の頑張りやどれだけ一生懸命に取り組んでいるかって必ずしも表面に出ているものだけでは判断できない。
言わなくても、表にでなくてもグッと歯を食いしばって頑張ってる人はたくさんいるから
目に見えるものだけで人を評価するのは危険だよねってそんなお話でした。
ほぼ援団の説明になってしまって言いたいこというまでだいぶ時間かかってごめんなさいw
(あと、あんだけ絶叫で練習したのに体育祭本番だとごくごく普通の声量で応援するのなんなの?)
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