パラダイスティ6
差し出されたお通しはお店で作ったもののようだ。マッシュルームにチーズが乗っていて一口食べてみたらニンニクの味が広がって美味しい。
「これここで作ってるんですか?」
「そうですよ。お通しは全てお店で仕込んでます。」
久々にお酒を飲むお店で料理を美味しいと思えた。少しだけ大人になったような気分を味わえてる気がする。お酒を少しずつ飲みながらお通しを食べているとお店の扉が開いた。
「こんばんは。」
ドアの方を見るとどこかで見たことあるような人がいた。
「いらっしゃいませ。」
バーテンダーはそう言って男性の荷物を預かってカウンターまで案内した。
「いつもの貰おうかな。」
「かしこまりました。」
男性はそう言うとビールが出された。私は自分の記憶を一生懸命探った。何年も前に深く関わったような…でも違うような…。そんな風に考えているといつの間にか男性の事をじっと見ていたようだ。
「あの、何かついてますか?」
男性が私の視線に気づいて私に声をかけてきた。
「あ、いえ……すみません。」
私はお酒に視線を戻した。こんなに恥ずかしい事はない。なにせこの空間にはバーテンダー2人と私と男性しかいないのだ。そう焦っていると
「もしかして、立花?」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?