Q CPに対する開示請求とAPに対する開示請求の2回の開示請求に成功すれば必ず投稿者を特定できますか?
A 特定できるとは限りません。
解説いたします!
2回の開示請求を行っても、必ず投稿者を特定できるとは限りません。その理由としては、①IPアドレスの保存期間についてルールが存在しないこと、
②なぜかアクセスログが保存されていないことがあること、
③アカウントが削除されることでアクセスログが消えることがあること、
④コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダが保存している情報の組み合わせによって技術的に特定できない場合があること
等が考えられます。
1 IPアドレスの保存期間についてルールが存在しないこと
これについては、Q IPアドレスの保存期間についてルールはありますか?|弁護士遠藤宗孝 (note.com)で解説しましたが、コンテンツプロバイダに対する審理を行っている間に、アクセスプロバイダのログ保存期間が経過してしまい、特定に至らないことがあります。
2 なぜかアクセスログが保存されていないことがあること
アクセスログの保存期間内と思われる場合でも、「なぜか見当たらない」といった回答がされることがあり、こうした場合にも特定に至らないことがあります。
3 アカウントが削除されることがアクセスログが消えることがあること
これについては、Q 私に対する誹謗中傷の投稿を行ったアカウントが削除されました。この場合でも投稿者を特定することができますか?|弁護士遠藤宗孝 (note.com)で解説したとおりです。
4 情報の組み合わせによって技術的に特定できない場合があること
コンテンツプロバイダからIPアドレスの開示を得た後、アクセスプロバイダ段階では、基本的には、IPアドレスを用いて具体的な通信を識別しますが、アクセスプロバイダによっては、IPアドレスに加えて別の情報(たとえばポート番号や非常に細かい単位での通信時刻など)が必要となる場合があります。しかし、コンテンツプロバイダがこうした情報を保有しているとは限りません。そのため、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダの組み合わせによっては、投稿者を特定することが技術的に不可能ということもあり得ます。
このように、2回の開示請求を行った場合でも、必ず投稿者を特定できるとは限りません。非常に悔しいところではありますが、上記の事項に限らず、開示請求には、様々なリスクがありますので、開示請求を検討している場合には、そうしたリスクについて丁寧に説明してくれる弁護士を探し、納得のうえで依頼をするようにしましょう!