【弁護士が解説】フリーランスが契約書を締結する時に知っておくべきこととは?
こんにちは!
フリーランスの皆さんは、契約書の読み方ってご存知ですか?
お仕事を受注するときに、発注書やメールなどで条件を決めてしまうことが多いかもしれませんが、大きめの案件など契約書を取り交わすこともあると思います。
「企業が作っている雛形だからちゃんとしているはずでしょ」と思っている方もいるかもしれません。もしかしたら、「契約書って何が書いてあるかよくわからないからチェックしない」という方も。
でも、発注側から送られてくる雛形は、発注企業に有利な内容になっています。一旦契約書を締結してしまったら、「ちゃんと読んでいなかった」は通用しません。
契約書を締結する前に、チェックするポイントを知っておくことで、不利な内容での契約締結を避けることができます。
今回は、そのポイントを紹介します!
契約書締結の目的とその重要性
そもそも契約書の締結は、なぜ重要なのでしょうか?仕事の条件決めであれば、それこそ口約束でも出来ます。それをわざわざ契約書にすることには、下記の意味があります。
①仕事の内容をはっきりと定める
口約束だけの場合、なんとなくふわっと仕事の条件が決められる可能性があります。いつまでに何をすることで、いくらの報酬がもらえるのか、報酬の支払いはいつかなど、決めておくべきことは意外に多くあります。そのような内容を書面にすることで、仕事内容が明確になります。
②トラブルになったときにどうするかをあらかじめ決めておく
仕事をする間に、何が起こるかわかりません。最近だと、予定していたイベントがコロナで中止になることもあります。そのようなトラブル発生時に、報酬はどうなるかなど、あらかじめ決めておくことで無用の争いを避けることができます。
③裁判の時など、第三者に契約の内容を証明する証拠になる
当事者で紛争を解決できなかった場合には、裁判をしないといけない時もあります。その際には、裁判官などの第三者に、契約が成立していたことやその内容を、証拠で説明しなければなりません。そのときに、契約書があるとないとでは大きな違いがあるのです。
チェックポイント(1)仕事の条件を確認しよう
そもそも契約書を締結するのは、仕事の受発注を明確にするためです。
今回受注する仕事の内容が、しっかり契約書に書かれているかどうか、まずは確認しましょう。具体的には、以下がポイントになります。
①契約の種類
例えば、よくある契約書のタイトルに、「業務委託契約書」というものがあります。
実は、法律には「業務委託契約」という契約の種類はありません。
実際には、イラストやウェブサイトを受託者が作り、成果物を納品する形の請負契約(民法632条)か、コンサルティングや管理業務を行う場合など、成果物を伴わず、業務を遂行すること自体が仕事の内容である準委任契約(民法643条や656条)のどちらかに該当することが多いです。
そのどちらかによって、契約として求められる内容が違うため、この違いをしっかり理解することが必要です。
②仕事の成果
特に請負契約の場合は、なんらかの成果物の納品までが仕事の内容になっています。その成果物の内容が、事前の打ち合わせ通りのものであるかはよく確認する必要があります。想定以上の内容を盛り込まれていても、一度契約書にサインしてしまえば、それが仕事の内容になってしまいます。
③アウトプットした成果物の権利処理
成果物としてイラストを納品する場合、その著作権を発注者に譲るかどうかなどは、条件としてとても重要です。自分の望んだ条件になっているのか、しっかり確認しましょう。
④仕事や、報酬支払いの期限
いつまでに仕事を終わらせる必要があるのか、また、報酬がいつ支払われるのは、とても重要です。報酬の支払いが、仕事が終わってから3ヶ月以上先になっているなど、不利な条件になっていないでしょうか。場合によっては、下請法などの法律により、支払期限を早められる可能性もあります。
チェックポイント(2)要注意表現の確認をしよう
契約書には、独特の言い回しがあり、最初は読み慣れないかもしれません。しかし、以下のような表現は、仕事をする側に不利な条件を押し付けている場合があるので注意が必要です。
①「〜しなくてはならない」などの義務付け条項
仕事を受ける側であれば、仕事の遂行自体は「しなくてはならない」ことですが、本来義務ではないことまで、この表現で義務付けられていないかはチェックしましょう。
例えば、仕事上のミスがあった場合に、一方的にフリーランス側が損害賠償を負う形になっていないかなど、「〜しなければならない」と書かれている条項は確認が必要です。
②一方当事者のみに権利を与える表現
一旦締結した契約を、勝手に解除されたら困りますよね?
発注側の一方的な意思表示で契約を解除できるなどの条件が定められている場合があるので、このような条件がないかは要チェックです。
チェックポイント(3)トラブル発生時の対処方法を確認しよう
すでに述べたように、契約書を締結する目的の1つがトラブル時の対応をあらかじめ定めておくことです。
しかし、発注側から送られてくる雛形には、フリーランス側に不利な条件の対処方法が決められていることがありますので、しっかり確認しましょう。
①成果物の「不適合責任」についての条項
成果物の内容が、予め決めてあった仕様に合致しない場合、受注者は仕様にあった内容に修補するなどの責任があります。これを、契約不適合責任(民法562条など)と言います。
納品後3年間などあまりに長期にわたって、この責任を負っていないかなど責任の内容を確認しましょう。
②損害賠償の条項
仕事上のミスで、発注者に損害を負わせてしまった場合など、損害賠償責任を負う場合があります。その場合でも、あまりに広範囲の損害まで責任を負う規定になっていないかなど、内容の確認が必要です。
③紛争解決条項
紛争が生じた場合に、裁判をする場所をあらかじめ決めておくことがあります。自分が住んでいる場所からあまりに遠い場所の裁判所になっていないか、確認しましょう。
まとめ
今回は、フリーランスが契約を締結するときのチェックポイントを解説しました。
契約は、仕事の内容をはっきりさせ、トラブルが起こった際に重要な証拠になります。
上記のチェックポイントを使って、不利な内容での契約締結を避けましょう。
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