【アウェイ遠征 #3】2024.4.17 大宮アルディージャ vs 名古屋グランパス
「2024 JリーグYBCルヴァンカップ」初戦を2日後に控えた4/15(月)の夕方、恒例の試合前々日監督会見を報じる『赤鯱新報』のレポートを、試合前のルーティンの一環として読んでいました。
常日頃、長谷川健太監督は正直で飾らない言葉を紡ぐ勝負師には珍しいタイプであると感じていて、この日の会見も、負けたら終わりのトーナメント初戦の2日前のトレーニング後に行われた会見とは思えない語り口とその内容でした。
しかも、トレーニングそのものに至っては、当初はメディアへと公開する心算だったそう。コーチ陣が健太監督へ進言し、冒頭のみの報道陣への公開となったと、監督自ら語られていました。
そんな健太監督は、取材メディアの皆さんの誘い水の質問をも、そのようには捉えないような実直な方。「若手やなかなか試合経験の少ない選手たちにはどんなことを求めますか?」という質問への答えにおいても、以下のような赤裸々な言葉を発せられたのでした。
一瞬、目を疑いました。何のためにコーチの皆さんが健太監督へ進言し、非公開練習にしたのだったのだろうかと…。
そして 、榊原杏太選手のことを「くん」付けで呼んでいることも新鮮な驚きでした。※『INSIDE GRAMPUS』の記事も「杏太くん」表記でした。
その榊原選手へと続いた言葉は「ラストチャンスだと思ってやってもらうしかないと思うんで、ここで結果残さないと。」というもの。
“勝負師” 長谷川健太は、選手たちへのポジティブな言葉はメディアを通じて発信する傾向にあるので、私はその言葉を目にし、健太監督の榊原選手への期待の高さを感じ、胸の鼓動が高鳴り続けたのでした。
その試合に “杏太くん” こと榊原選手だけでなく、これまでの出場機会の少なかった選手の起用を健太監督が明言されていて、そうとなると未来ある若鯱たちをスタジアムで直接後押ししたいと思うのがサポーターの性というもの。
Xのタイムラインに目を移すと、この監督会見を読んだグラサポの阿鼻叫喚と呼べるようなポストが並んでいました。何故なら、この会見の言及する試合は、平日アウェイ開催のナイトゲームなのですから…。
如何に試合当日の都合をつけようかと悩むサポーターの皆さんによるポストが溢れていて、中には「今から上司の前で咳の練習をしないと」というような呟きもあり、そんな「どのようにしてスタジアムへ駆けつけようか」という大喜利状態の様相を私のタイムラインは呈していたのでした。
サポーターとしての初めてのユニフォームを「28番」に託した私もそのご多分に漏れず、急遽「平日大宮遠征」を決意したのでした。
試合当日4/17(水)の17:30頃、アウェイ決戦の舞台「NACK5スタジアム大宮」に到着しました。
初めて “日本初のサッカー専用スタジアム” のゴール裏から見るピッチは、言葉で表現するのは難しいくらい、それは感動的なものでした。
その時間にはスターティングメンバーも発表されていて、目の前のピッチで若鯱たちが躍動する姿を思い描くと、自分の昂ぶりを抑えることができませんでした。
既に1階の立ち見エリアは満席でしたので、2階席のゴールすぐ左に位置する3列目の席を確保して、来るべき試合に備えました。
初めてのゴール裏での観戦だった先月の横浜F・マリノス戦以来の、立ちながらの声出し応援。試合前のウォーミングアップのために選手たちがピッチへ登場しても、最初はなかなか上手く声を出すことができませんでした。
しかし、周囲の方々が発する声の “波動” に、横浜FM戦の時と同様、徐々に上手く呼応することができたような気がしました。
そして、私の左隣にいた方は、特に大きな声でチャントとコールを繰り出し続けて90分を闘い抜かれていて、試合後に帰られる際は「次もがんばりましょう」と面識の無い私のような新参者に声をかけてくれるような、とても気持ちの良い若者でした。
そのまま試合後の話を続けさせていただきますが、スタジアムを後にした帰路の途中で、面識は無いながらも相互フォローしている方のXのポストが時間差で「おすすめ」タイムラインに流れて来たのでした。
その画像のアングルが、私の席からの眺めとほぼ同じでした。このポストは、先述の左隣の若者によるものではないか?そう感じたのでした。
迷いましたが、このポストへ恐る恐る「右隣にいたのは私かもしれません」とリプライを送らせていただき、そして程なくレスを頂きました。そして、このアカウント主が私の左隣にいた “気持ちの良い若者” YUHIさんであったことが判明したのでした。
相互フォロー同士とは気付かぬまま、90分を共に闘い、パトリック選手の2ゴールをハイタッチで分かち合い、試合後に挨拶して別れ、それぞれの生活にまた戻って行く…。平日にも関わらず、アウェイ遠征して良かったなと、改めて感じた瞬間でした。YUHIさん、昨日はありがとうございました!
話を試合に戻し、榊原杏太選手のプレーは、プロデビュー戦という気負いを感じさせない躍動感に満ちたもので、交代した「90’」まで、私の心を打ち続けるものでした。
同じくプロデビュー戦となったピサノ アレクサンドレ 幸冬堀尾選手も、先月まで高校生だったとは思えないほどの冷静なプレーを続け、特に大宮アルディージャのサポーターを背負っての後半は、反対側のゴール裏から見ても堂々とした佇まいで、その姿は「名古屋の守護神」に相応しい君臨ぶりでした。
そして同じくスターティングメンバーを飾った、アカデミー出身の井上詩音選手(この日はゲームキャプテン!)、倍井謙選手、吉田温紀選手、グランパスみよしFC出身の久保藤次郎選手、といったそれぞれの選手も、自分のプレーを表現しながらチームの勝利へと貢献し、後半アディショナルタイムには今季トップ昇格した鈴木陽人選手もプロデビューを果たすという、グランパスアカデミーのサポーターにとっても堪らない試合となったのでした。
試合後、Xなどで皆さんの榊原杏太選手のプレー評を拝見し、決して私の贔屓目ではなく、やはり上々のプロデビュー戦だったのだなと感じました。
しかし、健太監督が試合後会見で仰られた「良い意味で想定内」という榊原選手への言葉は、幾多の歴戦を潜り抜けて来た熟練者ならではの叱咤激励と感じました。
前半のペナルティエリアに走り込んだ倍井謙選手へのパスがズレていなかったら、逆に後半の倍井選手から貰ったパスを決め切ることができていたのなら、健太監督の言葉も変わったものになっていたのかもしれません。
前々日会見で「ラストチャンスだと思ってやってもらうしかないと思うんで、ここで結果残さないと。」と言葉を送った健太監督の目に、榊原選手のプレーが本当のところどのように映ったのかは、次の出場機会が来ることで初めて分かるのかもしれません。
しかし、そのきっと来るチャンスへと、榊原選手が既に気持ちを切り替えているであろうことは、容易に想像ができる気がします。榊原選手、本当にグッドプレーでした!これからもサポートします!
そして昨日の試合に関しては、試合後に訪れた出来事に言及しないわけにはいきません。
シュヴィルツォク選手、貴方と共に闘ったあの3ヶ月間と、そしてその後の移籍リリースまでの約15ヶ月間のことを、忘れることはありませんでした。
しかし、貴方がその間、名古屋での日々をどう感じていたのか、そのあと自問自答され苦闘していたのではないか、それ故にグランパスサポーターへどのような感情をお持ちであるのか、パンデミックの影響もあり、SNSでのメッセージ等もなく、なかなか推し量ることはできませんでした。
そのような中で迎えた昨晩の試合後挨拶の場において 、再び貴方と心を通い合わせることができたのではないか、そう感じています。
これまで伝えることができなかった「ありがとう」と、貴方の目に溢れた涙、決して忘れることのない夜になりました。
クバとピッチで闘う日がまた来ることを願って、この文章を終わらせていただきます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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