【胃カメラ】上手な介助の方法/上手な受け方
こんにちは、内視鏡技師エンドーです
総合病院の内視鏡室で検査・治療の介助をしたり、スタッフの教育をしています
今回は、胃カメラの介助について、私が気をつけているポイント、声かけの方法を解説しています。
受診者さんにとっては、上手に検査を受ける方法がわかります。
内視鏡スタッフにとっては、気をつけるポイントがわかる、
新人さんの指導に使えます。
少しでも、内視鏡介助の技術を磨くための参考になれば嬉しいです。
検査準備
問診
基礎疾患(心疾患・緑内障・前立腺肥大・糖尿病)の有無
アレルギーの有無
抗血栓剤の内服の有無・薬剤名と休薬期間
入れ歯
最終飲食
内視鏡歴(絶対ではないですが、確認しておくと前回検査の苦痛の有無が確認できて、鎮静剤の調整ができる)
ピロリ菌除菌歴(クリニックでは特に)
施設によって、もっと項目が多くなりますが、これらのことは必ず確認します。
スコープチェック
吸引
送気、送水
外観(凹みの有無)
ランプ、ホワイトバランス
内視鏡画面が綺麗に写っているか(画面の欠損、レンズのヒビがないか)
検査毎のスコープチェックは必須です。
他にも、
酸素
口腔内用吸引の準備
も検査毎に確認しています。
咽頭麻酔
ガスコンを内服後、8%キシロカインポンプスプレーを使って咽頭麻酔をします。
ポイントは、喉頭蓋の上の方に向けて、受診者に「あー」と声を出してもらいながら、5プッシュ程度噴霧します。声を出してもらうのは、キシロカインでむせにくくするためです。味の苦い薬であることも説明します。
数秒、口の中にためてもらって、飲み込みます。
ここで、しっかり咽頭麻酔をかけていくことが、嘔吐反射を軽減させます。
舌の上にスプレーしても効果はないですよ。
声かけも交えると、こんな感じでしています。
「今から、喉を痺れさせる薬をスプレーします」
「軽く上を向いて『あー』って声を出してください。少し苦いですよー。」
「3秒くらい口の中にためてから飲み込んでください。
いきますよー。」(スプレーする)
「1、2、3。はい、飲み込んでください」
「飲み込めました?苦いでしょ?」
(受診者さんの反応を見ながら、左側臥位になってもらう)
もちろん、咽頭麻酔前にキシロカインアレルギーの有無の確認を忘れずに!!
検査介助
実際の介助
左側臥位になってもらう(背中は枕で固定。膝を曲げてもらうと体が安定する)
ルート確保
バイタル測定
防水シーツで顔の周囲を覆う(受診者の服が汚れないように配慮する)
マウスピースをくわえる(スコープが噛まれないようベルトでしっかり固定)
鎮静剤投与
匂いを嗅ぐ体勢をとる(顎を少し上げて、顔を正面に突き出す。この体勢をとることで、咽頭部が広くなり、オエっとなりにくくなる。)
うまく体勢を取れているか確認するために、医師が、綺麗に下咽頭の写真を取れているか、毎回見ておく。(私的に、この作業は大切!)
基本は左梨状窩からスコープを挿入する
検査中の声かけ
検査中は、楽に検査が受けられるように誘導するように声をかけます
梨状窩を越える時「ごくっとカメラを飲んでください」
食道が見えたら「もう、しんどいところは、こえてますよ。ここで、ハーッと息を吐いてー」(息を吐くことで、喉の力が緩む。「喉の力を抜いてください」は、なかなかできないんですよね。)
肩に手を添えて「肩の力も抜いてくださいねー」
「それでは、今から唾を飲むと、むせるので、全部前に出してくださいねー。」と
声をかけながら、顔を、少し前に傾ける。
「そうそう、その調子ですよー。とっても上手に受けてもらっていますよ」
十二指腸に挿入する時「カメラが奥に入るので、お腹の中が押されますよ」
胃内観察「今から、お腹に空気が溜まるのでゲップを我慢してくださいね」と言いながら、顎を少し下に向ける
胃内の空気を抜き始めたら「カメラを抜く作業をしてますから、もうすぐ検査終わりますよ。」
スコープ抜去後、「お疲れ様でした」
「ちょっとしんどかった?」「思ったより楽でした?」みたいな声かけをして、反応を記録に残す。
反応を記録に残すメリットは、鎮静剤投与量の参考になる、次回検査に前の検査の様子を話すと、受診者さんは、「わかってもらえる」安心感が得られることです。
最後に
今回は、内視鏡介助歴8年の私が、胃カメラの介助で気をつけていること、こんな感じで声かけしていることを中心に書いてみました。
声かけ、タイミング、声色は、受診者さんの緊張度合いだったり、検査歴によって変えています。
内視鏡検査は、介助者からすると同じことの繰り返しに感じるかもしれません。でも、受診者にとっては、久しぶりだったり、初めてだったり、緊張を伴うイベントです。その気持ちを汲んで、目の前の受診者さんが、できるだけ楽に検査が受けられるサポートをできる介助者を目指したいです。
医師が、内視鏡の腕を磨くように、私も介助技術を磨いていきます!