見出し画像

安全な内視鏡室にするために!転倒事故防止!


こんにちは、看護師・内視鏡技師エンドーです

そこそこ件数の多い内視鏡室で、内視鏡の管理だったり、スタッフ教育だったり、内視鏡介助についたりしています

安全な内視鏡検査をするために、環境を整えるのも私の仕事です


今日は、内視鏡で起こりやすい事故(インシデント)と、当院の対応策を紹介したいと思います

検査を受けられる方も、内視鏡スタッフの方にも参考になるように書いています


内視鏡で起こりやすい事故(インシデント)の内容


1、転倒
2、鎮痙剤の投与間違い
3、検査時の歯の欠損
4、抗凝固剤、血栓剤2剤内服中の生検、コールドポリペクトミー

が多いのでは、ないでしょうか?

それぞれ、患者さんに実害が及ぶ事故なので、慎重に対応しなければいけません


今回は、この中の転倒についてです



そもそもなぜ、内視鏡で転倒事故が多いのか?

内視鏡では、鎮静剤を使用します

当院は、基本的に8割くらいの患者さんに鎮静剤を投与して、検査を行います

当院で使用している鎮静剤は、ミダゾラムです。投与後、30秒程度で効果が出現します。しかし、2時間程度効果が持続するので、ふらつきが残ります

お酒をたくさん飲んで、千鳥足になっている感覚です

さらに、副作用として、健忘症状が出ます

健忘症状は、鎮静剤投与後から、一定の時間を忘れてしまう症状のことです

検査中のことを、全く覚えていない。どうやって、回復室まで移動したのか覚えていない経験をお持ちの方は多いと思います。

それも原因の1つですが、検査後に普通に立って、いつも通り歩ける感覚になります。1人で歩くと、ほとんどの方が、強くふらつきます。それが、転倒の原因になります。



転倒事故を予防するために

転倒事故が、どんな時に起こるのかを、過去の事故報告から考えました

そのほとんどが、大腸内視鏡検査後の着替えの時でした

当院は、回復室が区切られていないため、先に検査着から、ご自身の服に着替えてから、案内します

それが、一番、危ないんですね。
でも、検査パンツのままで、回復室に案内するのは、恥ずかしい。しかも、後で着替える場所も確保できないのが現状です

対策としては、

・更衣室に着替えるときに必要な位置に手すりをつけました

・患者さんが着替える正面に、「必ず、座って着替えてください!転倒の原因になります」と書いたポスターで注意喚起をしています

・更衣室に案内するときは、転倒の危険性があるので、必ず座って着替えるように説明しています。うるさいくらいに(笑)

・患者さんが、座るときに躊躇しないように、椅子に使い捨てのシーツを敷いています

・さらに、患者さんが着替え中、看護師は、検査室から離れず、次の検査の準備をするように徹底しています。更衣室から音がしたら、必ず声をかけます。
(当院は、検査室の中に小さな更衣室があります)

・検査後、検査台から更衣室までの数歩で、フラつくようなら、更衣室で着替えの介助をするか、検査台で看護師介助で着替えて、車椅子で回復室に案内するようにしています

・着替えの介助をするときは、転倒の危険性が高い状態にあることを、患者さんにしっかり説明して、介助が必要な理由を了承してもらいます

・内視鏡経験が浅い看護師には、鎮静剤を注射した後の「大丈夫、大丈夫」は、大丈夫じゃないから、必ず、患者さんに付き添って、回復室に移動することを徹底して!と指導しています


胃カメラでも、転倒事故が起こりやすいので、当院では「日本消化器内視鏡技師学会看護委員会」が提唱する「麻酔回復スコア」を使用しています

必ず、スコアが10点満点になることを確認して、帰宅としています


麻酔回復スコアとは、意識、運動(ふらつき)、呼吸状態、血圧(循環)、酸素飽和度の5項目を0〜2点で点数下します

10点満点になると、鎮静剤から回復していると評価できるスコアのことです

ふらつきが強くでたときは、記録に残して、次回の検査で、鎮静剤の量の調整の参考にしています



病院によって検査室の環境も、確保できるスタッフの人数も異なるので、他の病院の対策も参考にしながら、安全対策をしないといけないですね

この記事が、参考になれば嬉しいです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?