胃カメラってこんな感じ
内視鏡クリニックの看護師・内視鏡技師です。
今回は、胃カメラの受け方について解説します。
胃カメラを初めて受ける方
昔、胃カメラをしたけど、しんどかった記憶がある方
に読んでいただきたい内容です。
クリニックで働くスタッフの方も、患者さんへの説明の参考にしていただければ嬉しいです。
胃カメラを受ける時って、
・どんな準備が必要?
・検査は、どんな感じ?
・胃カメラの麻酔ってどうゆう感じ?
という疑問にお答えします。
胃カメラって受けたことがない方は、イメージが湧きにくいし、受けたことがある方も、昔に受けて、しんどかった!経験があると、受診を躊躇してしまいますよね。
最近は、鎮静剤を使った胃カメラを受けれるクリニックが多くなりました。
胃カメラに対して恐怖感が強い方は、鎮静剤を使えるクリニックで検査を受けてみてください。
ほとんどの場合、いつの間にか終わっていた!ってなります。
1)検査前日の準備
胃カメラを受ける日程が決まったら、検査説明を受けます。
クリニックによって多少異なるかもしませんが、多くの場合は、前日の夜9時までに夕食を済ませます。そのあとは、水分のみです。
水、お茶、スポーツドリンクなどの透明な水分にしてください。
夕食も海藻、きのこ、揚げもの類などの消化に悪いものは、避けてください。
飲酒も、胃の粘膜に影響することがあるので、控えていただく方が無難です。
胃カメラの同意書にサインをします。
問診表に記入します。
問診の項目としては、以下のことがよく聞かれる内容です。
1、食事は、前日の夜9時までに済ませたか
2、車、バイク、自転車を運転して来院していないか
3、心臓病または、不整脈と言われたことはないか
4、緑内障と言われたことはないか
5、前立腺肥大はないか(頻尿、残尿感はないか)
6、入れ歯はないか
7、薬のアレルギーはないか
8、血液を固まりにくくする薬は内服していないか
9、人工透析はしていないか(人工透析をしている場合は、シャントは左右どちらにあるか)
10、女性は、妊娠、授乳をしていないか
内容の解説をすると、
1、食事は、前日の夜9時までに済ませたか
胃カメラは、胃の中を直接見る検査なので、食事が残っていると十分な観察ができません。
必ず、指定された食事の時間を守ってください。
2、車、バイク、自転車を運転して来院していないか
→鎮静剤を使用するときは、基本的に当日の運転はできません。
鎮静剤は、醒めていると思っても、とっさの判断が鈍るため、事故に繋がりやすいです。
工場などでの、精密な仕事、危険を伴う作業(プレス作業など)も禁止です。
3〜5の心臓病などの既往歴の項目
→これらの既往症がある人には、検査中に使用する一部の鎮痙剤の使用を避けなければいけません。
鎮痙剤とは、食道、胃、十二指腸の動きを抑える薬です。検査中に、消化管の動きが活発になると、観察しにくくなるため、このような薬を使うことがあります。
これらの既往症があると薬が使えないため、他の薬を代用します。
6、入れ歯はないか
→基本的に、検査のときは、入れ歯は外します
検査中は、マウスピースをくわえていただくのですが、時々、入れ歯ごとマウスピースがずれる時があります。
また、ブリッジなどの、一部の入れ歯の場合、検査中に外れて、飲み込んでしまう恐れがあるので、必ず外していただいています。
7、薬のアレルギーはないか
→胃カメラでは、喉の局所麻酔、鎮静剤や鎮痙剤などの薬を使用します。
特に、喉の局所麻酔は、キシロカインという薬を使います。強いアレルギー反応が起きることがあるため、使用する前には、アレルギーを起こしたことがないかを必ず確認します。
私は、「歯医者さんの歯茎に打つ麻酔で、気分が悪くなったことはないですか?」と聞いています。
8、血液を固まりにくくする薬は内服していないか
→これは、抗凝固剤、抗血栓剤のことを言います。コレステロールの薬とは、また違う薬です。
主に、心臓、頸動脈、脳に血栓を作らないように内服する薬のことです。
これらの、薬は、出血のリスクが高くなるため、組織をとる検査の時には注意が必要です。また、患者さんによっては複数個内服されている方も、いらっしゃいます。
これらの薬は、自己判断で中止してしまうと、血栓を作るリスクが高くなるため、必ず、医師に報告してください。
また、薬によって、休薬が必要な期間が異なるので、前日に中止するだけでは、意味はありません。医師の指示のもと、内服、休薬をしてください。
9、人工透析はしていないか(シャントの左右)
→腎機能の悪い方は、使用する鎮静剤の醒めが悪くなるときがあるので、薬の調整をすることがあります。
また、シャントを作っている方の場合、シャント側での、注射、血圧測定はできないので、必す確認します。
10、妊娠、授乳はしていないか
→妊娠、授乳中は、胃カメラに限らず、薬の投与を慎重にします。
薬によっては、胎児、授乳中の赤ちゃんに影響が出る可能性は否定できません。
その期間に検査が必要な場合は、出来るだけ、楽に検査を受けていただけるような方法を考えます。
鎮静剤なしで、鼻から胃カメラを挿入する方法をとることが多いと思います。
2)検査当日の準備
検査当日は、朝から食事は取れません。
ただし、夕方からの検査は、朝ごはんを食べて、昼ごはんを禁止にします。
水分は、水かお茶です。
特に、乳製品は、胃粘膜にへばりついてしまうので、十分な観察ができなくなります。
水分に関しては、基本的に時間の制限はありません(クリニックによっては、2時間前までと、制限しているところもあります)
胃カメラには、吸引機能が付いており、検査中に胃の中の水分を吸引することができます。
普段、飲んでいる薬は、午前中の検査のときは、6時または、7時くらいまでには内服してください。
このとき、糖尿病の薬(血糖を下げる)は内服しないでください。
インシュリンも打たないでください。
食事を取らないので、血糖が下がりすぎるお恐れがあります。
指定された検査時間にクリニックに行き、受付を済ませます
3)胃カメラの検査準備
まず、胃カメラの同意書と問診票を確認します
検査室に案内されると、消泡剤を飲んでいただきます。
うっすら甘い味のする白い液体ですが、これは、胃の中にある泡を飛ばす薬です。
次に喉の局所麻酔をします。クリニックによって方法は異なるかもしれませんが、最近は、多くのクリニックが、スプレー状の薬を喉に直接かける方法をとっていると思います。
歯医者さんで歯茎に注射する麻酔と同じもので、苦味の強い味がします。
鼻からの検査のときは、鼻の中に鼻腔を広げる薬を吹きかけます。
そのあとに、局所麻酔のゼリーを鼻の中に入れます。
ある程度、痺れたら、今度は、鼻の中に鼻用の細い胃カメラと同じくらいの太さの、スティックを鼻に挿入し、2〜5分ほど待ちます。
喉の局所麻酔が終わったら、検査台に左向きで横になります。
服が汚れないように、紙のシーツなどで、首回りを覆います。
血圧測定をし、指先に体に酸素が行き渡っているかを見るための機械をつけます。
鎮静剤を使用するときは、血管に注射をします。
この鎮静剤は、全身麻酔とは異なります。睡眠薬を血管から投与するため、即効性があり、注射すると、すぐに眠くなってきます。
普段から、睡眠薬を長期間、毎日内服している方、アルコールを多飲されている方は、効きにくい傾向にありますが、完全に眠ってしまわなくても、検査自体がしんどくなければ問題ありません。
鼻から胃カメラをするときは、鎮静剤を使用せず、内視鏡画面を医師と一緒に見ながら検査できるクリニックもあります。
鎮静剤を使用すると、ほとんどの方が、いつの間にか検査が終わっていたという状態だと思います。
完全に眠ってしまう前に、マウスピースをくわえます。
通常、鎮静剤を使用すると、ここからの記憶がないことが多いです。
鎮静剤が効いたことを確認してから、口から胃カメラを挿入します。
鼻からの検査のときは、マウスピースは使用せず、スティックを挿入した方の鼻からカメラを入れていきます。
通常は、喉元を通過するときに嘔気反射が起こります。
一度、喉元を通過した後は、わざと大きなため息をついてもらいます。
今、実際に、ため息をついてみてください。喉に力を入れられなくなります。胃カメラの時は、喉をこの状態にすると、力が抜けて、嘔吐反射が軽減します。
また、喉元を胃カメラが通過しているときに、口の中の唾液を飲むと、むせやすくなります。口の中の、唾液は全てタラタラと外に出してきてください。
胃カメラの観察は、喉元、食道、胃、十二指腸の入り口まで観察します。
途中、十二指腸に胃カメラが入るときは、お腹の中が押される感じがします。
また、胃内の観察をするときは、胃カメラから空気を送って、胃を膨らませて観察するので、お腹の張りを感じ、ゲップが出る感じがします。
このときは、ゲップを我慢してください。胃に空気を入れないと、全体を観察できません。
検査中に必要であれば、生検(組織検査)をします。
特に痛みは感じません。
このときの解析結果は、1週間ほどかかります。
検査終了時にマウスピースをとります。
車椅子や、看護師の介助で、回復室に移動します。
鎮静剤は、起きているようでも、一人で立って歩くことができません。
30分から60分、回復室で休憩すると、多少のふらつきが残ることはありますが、自宅に帰れるようになります。
4)検査後の注意点
検査後は、1時間ほどで、水分を取ることができるようになります。
食事は、組織検査をしなかったときは、1時間後から可能です。
組織検査をしたときは、3時間後からになります。
まずは、消化の良い粥などから開始します。
組織検査をしたときは、香辛料の効いたものを避けること、検査当日の飲酒も控えてください。飲酒によって、血流が良くなるので、出血のリスクが高くなります。
また、鎮静剤を使用したときは、車、バイク、自転車の運転はやめてください。
薬が醒めているようでも、とっさの判断が鈍くなるので、事故につながります。
昔に胃カメラを受けたことがある方や、鎮静剤なしで検査をした方は、「胃カメラはしんどいもの」というイメージがあるかもしれません。
最近は、鎮静剤を使用するクリニックが多く、思うよりも簡単で楽に検査を受けることができるようになりました。
病気は、早期の発見と対応が大切です。
早期発見ができるかどうかで、そのあとの生活にも大きく関わってきます。
40歳を過ぎたら、一度ご検討ください。
この記事が、皆さんのお役に立てば嬉しいです。