NOMADOによってまかれた「種」。フランスと日本の新たな関係を育む。
前回の記事では、フランスと大分県をつないだNOMADOプロジェクトの実証実験についてお話しました。
ここでは、このプロジェクトがどんなインパクトをもたらしたのか、語りたいと思います。
参加者の中に芽生えた好奇心の種
まず、このプロジェクトは参加した方々にとって間違いなくインパクトがあった、と胸を張って言えます。
フランスの学生にとって、自分の世界が「日本」という海外につながったことで、明らかに興味関心の幅が広がっていきました。
私が滞在した10日間で、日本語を勉強しはじめたり、お茶や書道を始めたり、柔道や空手を始めたりする学生たちが現れ、まるで街全体が日本の友好都市に変わりゆくようでした。学生たちが自ら、日本文化を自分自身の中に取り入れ始めたのです。
この撒かれた「好奇心の種」に水をやり栄養を補給することで、日本との関わりが深くなったり、世界の文化や芸術に興味を持ったりして、その芽がどんどん成長していく。そんな可能性を実感したのです。
人生を変える出会いをつくる
今回の実験では、それまでノルマンディーという箱庭の外に意識を向ける機会が少なかった学生たちに、自分の世界が海外につながっているという自覚が芽生えた瞬間を目の当たりにしました。
すなわち、言語や異文化へのアクセス性の低さといった壁に阻まれていた彼らの世界に穴をあけ、選択肢の幅を広げる機会になったのです。
これが、まさにツナガルがコアバリューとしている「人生を変える出会い」だったんじゃないかと思うんです。
もしかすると、このプロジェクトをきっかけに新しい世界を知った学生たちが、今後、これまでノルマンディーに無かったようなハイブリッドな生活様式や文化・アートを生み出す日が訪れるかもしれません。
NOMADOのインパクトは地域に波紋を起こすか
さらに、学生たちの意識の変化が、波紋のように周囲にも影響を及ぼし、思わぬ副産物もありました。
まず、家族や学校の先生たちの意識の変化。参加した5つの学校がこのプロジェクトをきっかけに連携し、生徒・教師間で交流が生まれ、彼らは早くも次にどんな活動をするかを考え始めています。これまで地域の枠でしか考えることができなかった教育環境を、外とつながることを前提としたカリキュラムや文化教育へ興味関心を持ち始めています。
さらに行政セクターでも、大分との姉妹都市協定に向けた動きが水面下で始まりました。大分の地方と交換留学をしたり、文化交流をしたりしたい!といった新たなニーズが生まれています。私たちがここで作りたいのは、従来の地政学的、軍事的な緊張がもたらす政治的連携ではない、新しい連帯の形です。文化や教育、芸術など、人々の知的好奇心や創造力による連携をつくるきっかけになることを望んでいます。
3つ目の副産物は、日仏のクリエイターの参画です。活動に賛同頂いた国際的なセンスを持ったクリエイターがこのプロジェクトに参加したことで、いまも継続的にアイディアを出し合っています。クリエイターチームによる技術、コミニケーション、体験づくりの面における支援は本プロジェクトを長期的で持続可能なものに成長されてくれると期待しています。
同時に、次回に向けて、さまざまな「宿題」も見つかりました。
それについては、また次の記事でお話しようと思います。
・・・次回に続く・・・
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