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更に神格化されていく藤本タツキへ。『さよなら絵梨』を読了し考察。

おことわり

この考察は情動の向くままに、読了後5分で書き始めた文章です。
が、根拠の無い自信と共に捻り出される、私の言の葉に偽りはありません。
ご安心して続きをお読み下さい。敬具。


⚠この先、ネタバレ有り⚠
「さよなら絵梨」読了後、この先を読まれたし。


さて、何から話そうか。
きっと今頃の皆は「さよなら絵梨」の200ページの長編読み切りを読破し、脳の奥の部分がヤケにスッキリとした様な、そんな読了感に襲われている事だろうと思う。
もしくは頭に疑問符だらけで、誰かが出した考察という答えと、自分の疑問を擦り合わせたい、と思っている事だろう。
どちらでもいいんだ。本著を読み進めていく上ではね。

01.読み切りの簡易概要を述べつつ考察を
深めて行こうと思う。


「さよなら絵梨」は基本的に4コマで物語は進んで行く。
冒頭から、誕生日に買ってもらったスマホで撮影する主人公「優太」
どうやらこの間、中学生になったばかりの様だ。
録画中のスマホに映し出されるのはピースサインをした母と父。
それと生クリームのホールケーキ。
当然、スマホは手持ちで録画をしている。被写体はブレている。
母は病気で余命が殆ど無いらしい、死ぬまでを撮って欲しいそうだ。
日常的なシーンが撮られていく、が母が映るシーンでは手ブレが無い。
段々と容体が悪くなり、入院する母。それを撮る「優太」。
優太が作ったご飯は「2点」。父のは「50点」。
自宅、鏡の前で母の死に対する吐露。
「僕は、僕はまだなんも考えられないです……」
「だから悲しくもない……」
「いや……悲しいです」「悲しい」
ブレる画面で、キリギリスの死骸を運ぶアリを撮影する優太は、父に母の最期を告げられる。
車内、病院、入り口から父が呼ぶ、遠ざかる入口、優太は駆けだした。
駆ける優太の背後には病院。そして爆発。
「さよなら母さァーん!」

脈絡の無い爆発に、体育館に集まった学生はあ然としていた。
『デットエクスプローションマザー』
それがこのドキュメンタリー映画の主題であることが明かされ、次に登壇した軽音楽部のボーカルに映画が揶揄される。
「糞映画」その弄りによって集団の行き場の無い感情は嘲笑に変化した。
先生に呼び出される「優太」。倫理観を疑われ、死を冒涜していると詰られる。なぜラストを爆発にしたか問われ「……最高だったでしょ?」
人の死を最高とはなんだあァ!「おわっ」
クラスメイトに感想を聞く。
糞映画。胸糞が悪い。最悪。嘲笑。敵意。無関心。
去年母が死んだクラスメイトは許せないと語る。
……どうして最後爆発させたの?

02.ラストは爆発に決まってるだろ。


中学生になったばかりの優太は、母の死なんて受け入れられる筈も無い。
母はテレビのプロデューサーであり、闘病生活のドキュメンタリーを撮らせる。なんて目的がある事はこの展開の先、127ページに載っている。
母は普段からネグレクト気味であり、DVやモラルハラスメントを優太にしていた事が分かる描写が126ページに載っている。
でも母だ、思い返した時には綺麗な母であって欲しい。
冒頭の映画では、母は美しい場面ばかりで、手ブレは殆ど無かった。
そして母の死から逃げた。病院から逃げた。
現実ではそこで終わり、ここから映画的演出が入る。
明らかに後から差し込まれたであろう映像。
優太が駆けて、病院が爆破。

優太は恐らく、気付いていなくとも体感していた筈だ。
どうにもならない死という呪縛、残された側に残る傷跡。
母との別離は優太の内側を爛れさせた。

病院が大爆発。
それは全てを吹っ飛ばす奇跡的な演出だ。
鬱々とした、遺族の思いを全て吹き飛ばして、心の靄を爆風でぶっ飛ばして、優太が求めていた母親像すら、母親ごと爆散させて。
その稚拙とすら言える表現を肯定してくれる、そんな民衆を「優太」は望んだ。
伝えたいものはハッキリしていた。
きっとあそこに俺が居たら立ち上がって拍手していた事だろう。
マジでね。いや俺って最低かな。……ここカットね。

03.考察って言うか感想になってきたけど、
どうする、まだ読む?


うーん、なんだか文章を書くのが急に面倒くさくなって来たぞ。
それもそのはず、現在時刻は午前8時30分を回っている。
通常の社会人であれば既にタイムカードを切って出社している時刻なのだが、生憎と俺はそういう労働的な物に縁がなくってね。
無職の素人の癖に衝動に任せて考察紛いの事を書き連ねてしまった。
ここまでの考察に「絵梨」は登場していない。本題に入っていない。
これは考察とは言えないよね、……いやホント。

藤本タツキさんの描く漫画、ルックバックってのあったでしょ?
あれのnote考察が面白くってねぇ、俺も真似してみようって思ってたんだよ。Twitterとかで話題だったしね。
で、面白い短編が出たから早速やってみようみたいな感じかな?
正直、批評家なんてサルでもなれると思ってたし、適当にそれっぽい事言ってれば俺だってできるって思い込んでたんだよね。
やっぱ無理だったわ、なんだろう。これ。
いやぁ読了した時はこのカタルシスを言語化できるって思ってたんだけどねぇ~。
「そう簡単に全てを理解させないぞ」そういうタツキの漫画だからみんなこぞって考察するし、的を得た記事は何万人にも見られるんだろうね。
きっと優太が見る映画の乳首出たシーンで
「よっしゃあ……」
って言うのも意味を落とし込んで、なんなら本来の倍くらいエモーショナル作り出すんだろうなって思うけど、それってホンモノ?

いやさぁ、ホンモノはきっとタツキ先生の中にしか無いんだよねぇ。
いくら考察してもタツキ先生の作り出す世界そのものは超えられないって言うかさぁ?いくら和風で味付けしてもパスタはパスタじゃん?
日本の郷土料理にはならないって話だよ。

てな感じで反考察厨は作り出されるんだろうねぇ。
やっぱ考察できずに負けてる自分って認めたくないじゃん?
考察ってのは望遠鏡みたいなモノで、月とかさぁ、星空って肉眼で見たら
ボヤけてるけど光ってて綺麗じゃん?それも好きだわ。
理解はできなくても、やっぱ雰囲気とかさぁ?何?エモなワケよ。
でも、たまには別の視点っていうの?同じものでも鮮明に見えたいじゃん?
望遠鏡とか覗き込んでみてさぁ。
鮮明な月面を見せてくれる、考察はクレーターってワケよ。お分かり?

04.藤本タツキって漫画に映画設定入れ過ぎ
じゃない?

ファイアパンチのトガタは映画好きキャラで出てるし、
チェンソ―マンのマキマとデンジは映画見てるシーンあるし、
今作のさよなら絵梨でもテーマが糞映画だし、絵梨が重度の映画好きだし。
なんだろう、漫画家で稼いだ金で映画撮り始めそうだよね、この人。
浮遊する俺って動画ニコニコにアップしてたし、長門は俺だし。

なんだ?この糞動画。……どうして最後ジャンプしたの?
分からない、常人以下の大脳皮質しか持たない俺には、何も。
ジャンプ+の新人発掘?の動画で声だけ出演してた時のタツキは、何か自分の感性に合わない漫画は徹底的に粗探ししてやるぞって感じの天才肌だと思っていたけど、ただの奇人だったのか?いや、それも含めて天才か?

05.持ち上げられ過ぎなんだよ藤本タツキ!


そりゃあお前、才能もあるし、構図が決定的に最高だよ。
そうさ、俺は認めてる。お前の短編は質のいい映画だし、長編はアニメーションみたいだよ。それでいて漫画の枠に収まり切ってて、それがお前!
あぁ……最高だろ?分かってるさ。
分かってる。分かってるんだけど、どうにも納得が行ってない。
持ち上げられ方が神輿的と言うか、十字架に磔にされたイエスって感じだ。
お前は経典を垂れ流すのみで、解釈は信者に委ねてる。
創作者なら最高だが、宗教家なら最低だ!
まるでお前はイエス・キリストだ!
これから近い未来、100年以内にルック・バックは聖典になって、タツキ教が樹立して、中世カトリックのそれと同じように、タツキ派になるか、死か選ばなければならない世の中が迫ってきている。
それを俺は肌で感じている。恐怖だ、恐怖でしかない。
それならば予言のナユタの初版本を持つ奴は、最高司祭になるんだろうか。

06.こんなことはもうやめにしよう。

俺が悪かった。俺が驕ってたんだよ。
俺みたいな高卒無職で、昼夜逆転しているウジムシが、良き視点から作品を考察はできないんだよ。やっぱり言葉は何を言うかじゃなく、誰が言うかだな。
責任の無い人間の言葉は幼稚で矮小で、どこか見下しながら読み進めてしまう物だ。今だってそうだろう?
だから小説家は大体、有名大学中退だし、タツキだって美大を出てる。
俺達、考察もできないのに考察を読んで分かった気になってる人間、努力は人前でしかしたことの無い人間には、土台無理な話だったのだ。

いや、ゴメンな。お前らは違うよな。
どうも自虐する時は周りを巻き込んでしまいがちなんだよ。
一緒に地獄に堕ちてくれるか?……そうか、ダメか。

こんな下らない記事はやめにしよう。
ここまで読んだお前は、人生で最も無駄な時間をnotoで過ごし、
ここまで書かされた俺は、人生で最も虚無な時間をnotoに費やした。
もうそれでいいじゃないか、もう終わりにさせてくれよ。
これ以上粘ったって誰もここまで読んじゃいないさ。
なんなら冒頭の01.で才能の無さを看破されて、俺の考察に飽きて他の考察に移っているさ。
その方がいい、救われていたヤツは居たんだ。それだけでいい。
もう終わりだ。
これを読む時間があるなら、もう一度「さよなら絵梨」を読んでくれ。
いや、もう手遅れだが。

07.僕はもう一度さよなら絵梨を読んで、
笑顔で眠る事にする。

もう午前10時だ。どうも頭がぼうっとして、モヤがかっている。
別に考察も腑も落ちていないが、ここらへんで筆を置くことにする。
話題性は、時に人を狂わせる。そんな恐怖を理解って頂けただろうか。

まぁ、なんというか。言語化できない感情をくれる。でも感動はしてる。
そんな感じの短編漫画だった。
すごく浅い様に見えて、本質なんだなぁこれが。

絵梨は吸血鬼だったし、主人公はなんだかんだ生きてるし、死のドキュメンタリーに囚われていた優太は、現実の死に向き合うことなく、爆発オチでスカっと一発終わらせる。
いろいろ考察してる奴らも、たまには爆発。どうだい?

では、さよなら絵梨に則って。
最後はこれでお別れさせて頂きたいと思う。
また会う事は無いでしょう。さようならだよ。

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