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「兄妹」

 

 私には、9才上の兄と7才上の姉がいます。親にとって私は、忘れた頃にぼつんと出来た子供のはずで、祖父母がいて、両親がいて、年の離れた兄と姉がいる環境で育っていますから、甘やかされた面もあるでしょうが、私一人に、手を出す、口を出す年長者に囲まれた環境ですから、気が削がれて育った面もあるのかなと、私自身は考えています。

 姉は幼少の頃から同性でもあり、多分に姉の世話好き体質と私の、年長者には逆らわない従順な性質がマッチしたのか、互いに他所の人が聞くと、かなりキツイことを言い合っているようですが、ぶつかったことは無いのです。一度もありません。仲良し姉妹です。姉は姉らしく、私は妹らしくあります。
少なくとも、現在も姉には大変お世話頂いてます。例えば、普段の仕事以外に、父の代わりに、母の代わりに、祖父の代理で、祖母に頼まれてと、パーティーや式典など公の場所に、正装ないしは、ドレスアップして出席しなければならないことが多く、その際の衣装や小物などは、全て姉任せにしています。
また、実家に現在は姉の一家が同居してくれているので、人の出入りの激しい家の管理を姉が引き受けて、絶妙に処理してくれていますから、両親も私も、姉には実際のところ、頭が上がりません。

 問題は兄です。兄とは、ぶつかります。
業種的には同じ仕事ですが、私は地元の父の会社を手伝い、兄はグローバルに力をつけたいと、大学を卒業した時点で家を出て、日本ではその業種ではトップクラスの会社に勤めています。

私は、父が倒れて、父が心配で研究室を去り、父の元に戻ったのですが、知らぬ間に、父は元気になり、私は父の片腕として手伝うようになったのですが。

こと、仕事に関することは、兄は先輩でもあり、本来ならば自分がするべきことを私がしているのですから、なにくれと助言をしてくれ、知恵をも授けてくれるので、感謝し、また頼りになる兄です。が、いざ、仕事以外のこと事では、どうも、反りが合わないのか、私のことを、いつまでたっても、自分が9才の時に生まれてきた、チビスケくらいにしか思えないようで。

兄の口癖、常套句は、

「しかし、えなには困る、」

「甘えがあるんだな、男社会だ、そこでやってくには、自分が女であることを忘れなきゃダメだ!」

「可愛いとか、素敵とか、、いざ仕事となったら関係ないんだぞ!」

「~へ行って、~さんを見て来い! 現場で働く女性を見て来い!」

「今言わなきゃ、いつ言う?! 屁理屈で誤魔化すな!!」

姉は、私が怒り狂って、兄に襲いかかっては大変と、赤ちゃんを抱きながら、ひやひやしながら私達の話を聞いていて。

私と兄の間を丸くおさめてくれているのも、姉の存在のようで。

私達、3人兄妹には、姉はなくてはならない人なのだなぁと。そして、ミスコンに多くの人から推薦されても、目立つことはイヤですと頑として自己を通した姉は、多分、私が生まれたその時から、自分のするべきことを予見してしまったのではと、私は考えています。

姉の口癖は、

「家には、家にいて、家を管理する人がいなければならない。」

その言葉通りに生きている姉です。

雪まつりの時期に、こちらにいることがなかった兄ですが、今年は、一家揃って実家に顔を出し、、、名前を呼ぶのならまだしも、

「おーっ、チビスケ、、頑張ってるようだな!」

そこから、ムムーッの始まり、始まり・・・