「言葉は運動神経が悪い」 向いていないことと、どう向き合うか
バトルマンガや、スポーツ漫画で、「頭キレキレのキャラクター」が「対戦中に相手の技や状況を細かく分析し、それに対して適切な行動を選んで勝つ」という描写。最高ですよね。
バスケ漫画で、ホントだったら1-2秒しかないシュートする瞬間のコマに、100文字以上詰め込まれているとか。
バトル漫画だと、ワンピースのナミとか、呪術廻戦の伏黒恵とか、HUNTER x HUNTERのクロロvsヒソカなんか有名です。▼
はなから天才タイプではない凡人の僕は、ああいうキャラクター達にあこがれて生きてきました。
でも、いくら勉強しても、なんかなれない。
現実世界で本当に天才といわれる人たちは、本当は何も考えていないんですよね。あんなキャラクター達、存在しない。
このnoteでは、「人間には向き不向きがある」という話を中心に、人生における「なぜ上手くいかないのか」「なぜあの人はうまく行くのか」という疑問を、「言葉は運動神経が悪い」という抽象的な表現を解釈しながらつづります。
「ゴルフをやめます」
昨晩、ゴルフ道具を譲ってくれた部長に、「申し訳ないのですが、ゴルフをやめます」というメールを送りました。
この半年間、高い月謝を払って、週4回以上はレッスンに通い、YouTubeの解説動画を見漁り、仕事以外のリソースはすべてゴルフに使って練習しました。
それでも、半年ぶりの昨日のラウンドで、結果は何も出せませんでした。
部活動で味わった理不尽
小~中学校でバスケを約7年間やってました。
ミニバス(小学校)時代にレギュラーになれなかった僕は、バスケ経験者の少ない中学校に進み、ここではレギュラーになれると思っていました。
中学時代もずっとBチームでした。練習は休まず取り組んでいましたし、それなりにバスケは好きでした。
でも、周りにいる「運動神経の良い初心者たち」は、考えられないスピードで上達し、中学2年になりレギュラー争いに加わっていきました。
僕はそのとき「人生における理不尽さ」に直面したことで、まじめにやっても馬鹿を見るから、斜に構えることで自衛する生き方を選んで行くようになりました。
中学3年でバスケ部を引退した最後の試合の後、僕含め6人いる3年生が引退の言葉を話す中で、唯一僕の話の時に親御さんたちが涙を流していました。
当時はよく意味が分かりませんでしたが、大人になった今わかることは、僕は「可哀想な子」に映っていたんだろうな、ということです。
中学でバスケをやめ、高校からは例にもれず「けいおん!」の影響でベースを始め、それを大学卒業まで続け、社会人6年目の現在に至ります。
しんどかったゴルフデビュー
普通の文系大学を卒業し、営業職としてサラリーマンになった僕は、4年目の冬に、上司に誘われゴルフを始めました。
初めての部署の大会でのスコアは、いろいろ多めにみてもらって142でしたが、今考えれば180ぐらい行っていたと思います。
※ゴルフのスコアは打った回数でカウントされ、少なければ少ないほどよく、初心者脱出~中級者レベルが「100切り」と呼ばれ90台ぐらい。180というのはどう考えても酷いスコア。
よくわからないままに練習場に行き、蚊に差されながら小さい球を打つけど全く飛ばず、実際にゴルフに行ってもひどいスコア、という事実に、そもそも退屈さを感じていましたが、それよりも「周りの初心者のスコアが120~130ぐらい」という結果が、中学のバスケ部時代を思い出させました。
それでも、営業として取引先からゴルフに誘ってもらえることが嬉しく、上司を含め迷惑をかけたくないという理由から、社会人5年目の終わりからゴルフ教室に通い始めました。
「ゴルフ沼」につかりだした
ゴルフ教室に通いだし、週4回ほど練習する中でゴルフに身が入ってきました。
そもそも自分は明らかに他の人より成長スピードが遅く、しんどくなる日もありました。
でも、(今考えれば間違っているのですが)この頃から、自分の凝り性で頭でっかちな性格は「ゴルフというスポーツに合っている」と感じはじめました。
「ゴルフ沼」とか「スイング沼」という言葉があるのですが、「長い棒を使って小さい球を打つ」という単純な動作の一挙手一投足に理論があり、それを学び練習することで少しづつ自分が成長していくことに中毒性を感じていくさまを指すみたいです。
まさにこの半年間の自分は、「ゴルフ沼」に侵されていました。
YouTubeには「スイングの角度」「左足をどう使うか」「フィニッシュのかたち」など、無料で勉強することができる動画が山ほどあり、「仕事が終わって練習に行っては、帰って動画を見ながら寝る」という生活を半年ほど続けました。
1時間ぐらいある動画も、50本近くは見たと思います。
「言葉は運動神経が悪い」という話
ゴルフ沼につかる中で、YouTubeの動画でひときわ面白かった動画あります。
それが、タイトルにも書いた「言葉は運動神経が悪い」という内容です。
この動画で話されている事を要約します。
人間には右脳と左脳があり、それぞれが別の役割を果たしている
左脳:論理や言語をつかさどる
右脳:運動や感覚をつかさどる
いくら勉強して論理武装しても、それは左脳が発達しているだけ
左脳で言語を働かせているうちは、運動はうまくいかない
(例:熱いストーブを触ったときに手を引っ込める動作は俊敏で、運動神経が良く、左脳が働いていない)そもそも、人間には多くの関節・筋肉があり、運動を意識的にコントロールすることは不可能
ゴルフも同じで、2秒間のスイング動作の中で左脳を働かせることはできない
右脳モードで「いかに考えずにスイングできるか」がゴルフ上達の秘訣
ハッとしました。
これまでの人生における様々な「うまくいかない理由」を、この動画の内容で説明できる、そんな内容でした。
人生の攻略本を見つけたような、現実を突きつけられたような、そんな複雑な気持ちになりました。
自分は圧倒的「左脳派」
僕は昔から、すべてのことに対して論理的に解釈しようとし、勉強をするタイプでした。
・家電を買ったら、説明書をまず読む
・良いと感じた音楽や小説に対し「なぜ良いのか」を考える
・オンラインゲームでのチームの役割は「司令塔」で、マクロ(有利にゲームを進めるための知識)の勉強をするのが好き
・周囲の人の行動理由はすべて、言葉で説明できると思っている
しかし、論理を運動に移す「右脳」が特に弱いため、シューティングゲームでは打ち合いに勝てないし、作曲ツールは使えても作曲は出来ないし、ゴルフでも学んだことをスイングに活かすことが出来ません。
そういえば人生振り返ると、「右脳派」の人たちにあらがうために「左脳」を鍛えることばかりしていたと思います。
けど、うまくいきませんでした。
考えない練習
この動画を見てから、ゴルフの練習の仕方も、残り2か月ぐらいになってからは「考えずに打つ」という事を始めました。
すると、考えて打っている時と比べて、球が良く飛ぶようになりました。
シュミレーションゴルフの疑似的な最高スコアは「88」で、「180」だった自分からは考えられないほど上達しました。
次のラウンドではいきなり「100切り」し、部長を驚かせてやる、と意気込んで、昨日のゴルフに臨みました。
でも、結果は出なかった
昨日の本番の結果からいうと、スコアは「126」でした。
前から比べるとよくはなっていますが、半年間みっちり練習した人のスコアではありません。
前日にちょろっと練習に行っただけという右脳派っぽい後輩は「120」でした。
「ゴルフ」というスポーツの罠
実際のゴルフ場には、教室の人工芝マットと違って、池があったり、大きい木があったり、バンカーがあったり、そもそも人が自分のスイングを見ていたり、「右脳モード」になるには気になる要素がありすぎました。
結果、スイングの動作中に「考えない、考えない」と念じるように打っても、いつもの教室で打っている状態からは程遠く、球があちこちに飛んで行ってしまいました。
何でうまくいかないのか、と考えれば考えるほど、さらにうまくいかなくなる。
元々ADHD気質なこともあり、「考えない」という事が難しい自分には、ゴルフというスポーツはあまりにも残酷でした。
ゴルフをやめることにした理由
今後、自分がゴルフ場で「右脳モード」になるには、途方もない練習量と、練習するお金がかかると思います。
精神的にも、経済的にも、続けることが出来ませんでした。
左脳派の自分が不利になるフィールドに、27歳の自分のリソースを使い続けるということにも、また左脳的判断でNGを出しました。
この経験から学んだコト
取り組んでいる事に求められるタイプを理解する
職業にしても、趣味にしても、なんとなく本能的に「自分には難しいだろうな」と感じることがあります。
それはなんとなくの経験に裏付けされた理由があると思いますが、今自分が取り組んでいる事、新しく始めることに対して(それで結果を出したいと思うなら)、求められているタイプと自分が合っているかどうかを一つの判断基準にしてみる。
囲碁将棋とかボードゲームとかは左脳10割だと思いますし、筋トレやボディビルディングする人に読書家が多いのも、左脳で論理的に筋肉を大きくすることが必要なんだと思います。
逆にスポーツは多くが右脳派、eスポーツも多くは右脳派で、FPSや格ゲーなんてまさにそう。
職種だと、営業にはどっちのタイプもいると思いますが、経理や法務は多くが左脳派。逆に芸術家や体力仕事は右脳派ですかね。
自分に合っていないことを続けるには、逆の脳を使う事を意識する
今やっていることが自分にとって向いていないとわかっても、それを続けたい、続ける必要があるのであれば、逆の脳を多く使ってみる。
左脳タイプの自分は、まず行動することを心がけてみたり、思い切って情報のインプットを避けてみたり。
右脳タイプの人は、思い切って本を読んでみたり、ツールを使ってみたりするのが良いのかな。
書いていて思いますが、かなり難しいことだとは思います。
それだけ自分が向いていないことを続けることには、いろんな障壁がある。
それでも自分が好きなもの、大切にしているものは、向いている向いていないに関わらず続けるために、取り組み方を変えてみることで、結果が変わってきそうです。
最後に
人間関係を築くうえでも、この教訓は役に立つと考えています。
特に、「相手がどんなタイプなのか」を理解し、それによって使う言葉を選んでいくこと。
そうすることで、論理的に話し過ぎて嫌な気分にさせる、とか、
感覚的な話が伝わらない、という、あるあるが少し解消されると思います。
つらつらと書きましたが、中学時代のバスケ部のキャプテンは、東京でも有数の大学に入学し、今では日本を背負う大企業に勤めています。
右脳も左脳も満点、みたいな人間もこの世にいるわけです。
今度、久しぶりに会って話を聞いてみようかな。