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きこえない人のためのカラオケ講座

半年ぶりに、聴覚支援学校の音楽の先生をお招きして、きこえない人のための音楽講座を開催した。
今回はジャンカラ近鉄八尾店でカラオケ講座。
音楽気分を盛り上げるために、ドラムセットや複数のモニターがある広々としたスタジオルームを借りた。
参加者は10名。
カラオケボックスは20年以上ぶりの方、よく通っている方、半々に分かれた。

私は学生以来二回目で、ほとんど初心者。
当時は電話帳みたいな冊子をめくり、曲名と選曲番号を確認してリモコンに入力していた。
「番号を間違えて、別の曲が出たりしたんだよね。」
今はタッチパネル「デンモク」(電子目次本)で多くのメニューから選ぶことができる。
モニターの映像は鮮明で、字幕はもちろんのこと、声を出すと声の高低が色で表示される。
「こぶし」「しゃくり」「ビブラート」も瞬時に採点されて映される。
今回のスタジオルームのように空間が演出されたコンセプトルームなど、雰囲気で部屋を選ぶこともできる。
会計は自動精算機。
ドリンクバーもあり、快適。
進化したなあ…。

前半はカラオケボックス初心者向けの解説。入店して受付できかれることは、
「何名様ですか?」「何時間ご利用ですか?」
とりあえず2時間という人が多く、空きがあれば延長できるとのこと。
それから「ダムとジョイサウンドどちらにされますか?」
きいたことのない言葉が出てくる。
カラオケの機種名だった。
DAM(ダム)とJOYSOUND(ジョイサウンド)の2種類があり、マイクの返りの良し悪しや映像コンテンツの量、採点コンテンツの精度などが異なるそう。
曲全体の速さ(テンポ)を調節したり、間奏(歌詞のないところ)を早送りしたりできる便利機能も紹介していただいた。

ここで質問。
「マイクの返りとは何のこと?」
(マイクを通した自分の声のこと)
「ジョイサウンドはバックコーラスが爆音とのことだが、バックコーラスと伴奏はどう違う?」
(バックコーラスは主役を引き立てるために背後で合唱すること。伴奏は他の楽器で補助的に演奏すること。)
カラオケ経験が豊富な方もノートを出して、メモを取り始める。
「ダムのほうが口の動きがわかりやすいよ。」
自分が歌った内容を記録するアプリがあり、スマホに入れて使っているそう。

後半は順番に「好きな曲を映して歌おう!」
モニターに映像が流れ、補聴器のイヤホンが響いてくる。
声の高低が表示されるのを見て、この方は声を出して歌っているのだなとわかる。
先生も音楽に合わせて、拍子を打ちながら歌詞を手話や指文字、キュードで表してくださる。
左手で拍子、右手で歌詞を表す驚異的テクニック。(Youtube「なかたひろみ」で観ることができます。)
歌う方が身体を揺らすのに合わせて、周りもマラカスやタンバリンを振り回したり、手話で表現したりした。
一人、映像の中のダンサーのような動きで踊ってくださり、歌を楽しむ心がストレートに伝わってきた。
カラオケをみんなで楽しむというのは、こんな感じなんだなと思った。
カラオケは20年ぶりのスタッフMは、声なし手話表現。
ゆるやかな曲に合わせて、全身の動きが滑らかに変化していくのを見て私の手も動いていた。
「手話歌は手話表現の練習にもなる。今度、独りカラオケもやってみたい。」とのこと。

いつもながら、あっという間の2時間。
個々の指導やワンポイント的なレッスンも受けたいというご要望もあり、またカラオケを企画するなら、3時間はほしい。
参加者の皆さんとおしゃべりしながらの帰り道。
最長24時間カラオケボックスで過ごしたこと、きこえる同窓生と一緒に飲みながら歌い踊ったこと、きこえない仲間だけで声なし手話で歌ったことなど、いつもの楽しみ方や経験談を伺った。
また、「他の人が歌ってる時、同時に拍子や歌詞をやっていて、すごくわかりやすかった。」
「授業で見慣れていたらわかりやすいかもしれないが、拍子の指表示が自分には速くて見づらかった。」
「手話のできる講師だったのでお話も大変わかりやすく、音楽に対する苦手意識も払拭できた。」
「知らない情報もあり、学びがあった。」
などの感想をいただいた。

講座が終わった後、それぞれの思いを話し合う時間をもっと長く持ちたいと、毎回思わされる。
それで連続3回音楽講座の最後、3回目は「音楽座談会」を計画した。(2月22日土曜日)
音楽への思いを語り合ったり、様々な疑問を出し合ったり、音楽教員に質問したりして、互いの音楽の世界を広げることができればと思う。

2回目「声楽講座」(1月18日土曜日)ではプロの声楽家の実演を間近に鑑賞し、オペラについて学ぶ予定。
どんな声の出し方をしているのだろうか?
長時間、広い空間で響き渡るように歌い続けることができるのはなぜだろうか?
オペラの面白さって何?
ぜひ、いろんなことをきいてみよう。

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