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祈り

心臓には穴が空いて、私を象徴する表面の穴は塞がってしまったし君にはもっと触れられなくなった。自分で作った落とし穴に見事にはまってしまった。遠くで誰かが笑っている。きみは耳を塞ぎ、君は口を塞ぎ、キミは目を閉じた。全てが0になった空間は22本の蝋燭を1本ずつ消すくらいでは無くならなかった。虫かごの蝶はただ壁にぶつかるだけ。ぼろぼろになった身体中の小さな愛たちを撫でる。君ときみがくれた傷と生きる。連れてこられた夜がわざとらしく笑って、私を眠くするとき「どうか皆が無事でありますように」の無責任な祈りは嫌悪感と共に悪夢となる。大袈裟だよと微笑んでいる少女は未来で、涙を流しながら掌に無数の彼岸花を咲かせたというのにね。転がり落ちた絶望は私の足元を黒く染めて、目を細める眩しさで23本、24本…と循環する。これも、君には内緒にしたいね。

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