「いつか行ける日が来ますように」という祈りのようなもの。
2019年の暮れに、noteマガジン「日刊かきあつめ」を共同で運営する仲間から、ディズニーのペアチケットをもらいました。
「妻がディズニー好きなんです」
なにかの機会に、そんな話をしたのでしょう。2019年に結婚した私たちに、結婚祝いとしてプレゼントしてくれたのでした。
妻にそのことを伝えると、2人してなんだか変なテンションになってしまいました。
ちなみに写真はペアチケットではなく、チケットと一緒にもらった園内で使えるギフトカードです。ペアチケットの写真はなぜか撮っていなかった。
その後ほどなくして、会社員をやめてフリーランスになった私たち夫婦にとって、そのチケットは一種の心の支えになりました。
こちらの、2020年をふりかえるnoteでも少し触れましたが、フリーランスになった直後の私たち夫婦はたいへん困窮しており、お金を借りなければ生活もままならないほどでした。
そんななか、「いつでもディズニーに行ける権利」が手元にあるというのは、非常に心強かったのです。
しかし、2020年2月29日、コロナの影響でディズニーリゾートが臨時休園となってしまいました。
下記は、2020年3月1日時点の公式ホームページのアーカイブです。
3月1日の時点では「3月16日の再開を予定」と告知されていますが、その後何度かの休園期間延長の発表を経て、同年6月30日まで臨時休園は続きました。
運営再開にあたっては、入園者数の制限によるキャパシティコントロール、アトラクション、ショップ、レストラン等の各施設における利用人数の制限、定期的な拭き上げ、ソーシャルディスタンスを確保するための積極的な声かけ等、健康と安全のための対策を徹底し、慎重に運営してまいります。
引用:東京ディズニーランド|東京ディズニーシー再開日および今後のパーク運営方法について(2020年7月17日(金)11:00更新)
7月1日から再開されたディズニーの状況は、「いつでも行ける」とは言い難いものでした。
感染拡大を防ぐため、入園者数に制限が設けられたのです。入園者数の制限にともなって、チケットの販売数も制限されました。
すでに購入済みのチケットの取り扱いについては少しややこしく、抽選を行ったのち、1~2ヶ月後の入園となるようです。
こうして、手元にあった「いつでも行ける権利」は、「行こうと思えば行けなくもない」といった程度の、とても頼りないものになってしまいました。
もともと私たちは、ディズニーに行くなら結婚記念日に行きたいと話していたので、1周年の記念日となる2020年9月8日に行ければよかったのです。
その前に臨時休園が解除となったことは非常に喜ばしかったのですが、しかし「行こうと思えば行けなくもない」状況で、あえて行く気にはなれませんでした。
ディズニーの入園者数制限については、SNSやブログを見る限り「空いていてこれはこれで悪くない」といった声を見かけていたので特に心配はしていなかったのですが、やはり電車などでの移動に不安が残ります。
そんなこんなで「いつか行けたらいいね」と言っているうちに、手元にあるチケットの有効期限、2020年12月は過ぎてしまいました。
ただ、再開前に購入したチケットは、自動的に2022年3月31日まで有効期限が延長されているとのことで、まだもうしばらく悩むことができるみたいです。
【有効期限の延長について】
お手持ちのチケットは特別な手続き不要で、2022年3月31日(木)までの有効期限として取り扱いさせて頂いております。 ※差額と変更手数料は必要ありません。 ※現在は入園者数を制限している為、入園できません。 お手持ちのチケットでの入園開始については本サイトでお知らせいたします。
引用:パーク再開前のチケット(2020年6月24日以前に購入)|東京ディズニーリゾート公式
また、前述の通り抽選に参加すれば、1~2ヶ月後を目処に来場できる可能性もあります。
しかし、それでもやっぱり、「今すぐ行きたい!」とか、「行けるならいつでもいいから行きたい!」とはなりませんでした。これは「周りの目が気になって堂々と行くと言いづらい……」ということではなく、2020年を乗り切ったいま、心境の変化があったためです。
2020年5月に、コロナの影響から早々に引っ越しを済ませた私たちの生活はすでにだいぶ安定しており、前ほどディズニーに行きたい(≒現実逃避したい)という欲求がなくなったのでしょう。
かといって、「無駄にするくらいなら払い戻して何かごちそうでも食べようか」というのもちょっと違う。
手元にあるこのチケットは、「いつでもディズニーに行ける権利」ではなくなってしまったものの、私たち夫婦にとって大切な物には変わりないのです。
もはやこれは、「いつかまた気兼ねなくディズニーに行ける日が来るといいな」という祈りのようなものなのかもしれません。
そうは言っても、「いつか」が来なくて本当に紙切れにしてしまったらさすがにちょっともったいない……。
うーん。とりあえず、2022年3月31日まで悩もうと思います。
執筆:円
編集:アカ ヨシロウ
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