引っ越して変わったこと【猫編】
「猫ヘルパー~猫のしつけ教えます~」というアメリカのテレビ番組をご存じだろうか。
猫のしつけに四苦八苦する飼い主の元へ、コワモテ猫ヘルパーがおもむき、たちまち猫をしつけてしまうというシリーズだ。
英語版では、飼い主の視点から「My Cat From Hell」という番組名になっていて、本編でも飼い主たちはしばしば「うちの猫は地獄からきたのよ」と嘆くように言う。
しかし「それは違う」と、猫ヘルパーことジャクソン・ギャラクシーは語る。猫が問題行動を起こすのには理由がある。そしてその多くは、居住環境とか、猫に対する飼い主の誤った姿勢とかが原因で、それさえ取り除けばほとんどの問題行動は収まる、とジャクソンは言うのだ。(だから彼は、"猫から飼い主を助ける"のではなく、"飼い主から猫を助ける"猫ヘルパーなのである)
番組を見ていると、ジャクソンの経験に裏打ちされた的確なアドバイスに舌を巻く一方で、猫を無自覚に冷遇する飼い主に憤りを覚えることも多い。猫たちが、自分の居場所を守るために、必死になって飼い主を攻撃する様は、見ていてとても悲しくなる。
しかし、よく考えるとまったく他人事ではなかった。
我が家は1年ほど前にワンルームから1LDKに引っ越したのだが、我が家の猫も、引っ越す前はしばしばベッドの上でおしっこしていたのだ。今回引っ越しをテーマに記事を書こうとするまで、それをすっかり忘れていた。
結構な頻度でおしっこをしていたから、外出するときは常にベッドにビニールシートをかけていたほどだ。会社へ行く前、朝の忙しい時間にベッドにシートをかけるのは、なかなかめんどうだったことを思い出す。
思い出すと同時に、「これじゃあ猫ヘルパーに登場する飼い主と同じじゃないか」と衝撃を受けた。
ベッドにおしっこをしていた理由は、たぶん大きく2つある。部屋の狭さによるフラストレーションと、孤独による寂しさだ。
夫婦で会社勤めをしていたころは、残業を理由に遅くまで帰らない日もしばしばあった。その間、家に一人残された猫は、走り回るスペースもあまりない部屋で、寂しさを紛らわせる方法がほかになかったのかもしれない。
その証拠に、今の部屋に引っ越してからは、十分に運動できるからか、働き方が変わって1日中いっしょにいられるからか、トイレ以外の場所でおしっこをすることはなくなった。
猫ヘルパーを観て、「My Cat From Hell」と嘆く飼い主に憤っている場合じゃなかったのだ。彼らは以前の私たちとそう変わらない。
引っ越しに限ったことではない。住環境の整備は、人のためだけにするもんじゃあないのだ。次に引っ越すときも、猫にとっての快適を忘れないよう肝に銘じておこう。
おまけ
猫ヘルパーは、アニマルプラネットのYouTubeチャンネルで見られます。興味のある方はぜひ。
さらにおまけ
どうすれば猫にとって快適な部屋がつくれるか、に興味がある方にはこちらの本も勧めたい。
猫ヘルパーことジャクソン・ギャラクシーが執筆に関わっている本。筆者もまだ読んでいないが、サンプルやレビューに目を通す限り、猫も人も満足できる部屋づくりを専門家の視点から実践的に解説してくれているらしい。
ただ、メインはリフォームのようなので、どちらかというと持ち家のある方向きかも。我が家も、家を買う前には読んでおきたいと思います。
さらにさらにおまけ
作業机(パソコンの横)でくつろぐ猫。
手を怪我したのでカラーを着けさせられたが釈然としない猫。
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