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名古屋転勤になると何故絶望するのか
定期的にバズる名古屋論
Twitterを見ていたら、「名古屋転勤」というワードがトレンドに入っていた。そしてそのワードをたどると、bizSPAフレッシュのある記事にたどり着いた。
冒頭には次のように書いてある。
「東京の人が名古屋に転勤すると、絶望する。」――この春、こうした内容のブログがSNS上で拡散され、名古屋人のあいだで物議を醸している。
このブログによると、名古屋は「住みづらい」「買い物が不便」「店が少ない」「楽しいところがない」「文化的なものがない」「仕事以外のことをすべてあきらめる人生を強いられる」と、そんな街だという。
https://bizspa.jp/post-467922/
自分も出張がてら、一度だけだが名古屋の街を散策したことがある。正直、一日で街の限界が見えるような場所、という印象だった。
あれ?思ったほど栄えてないぞ…
名古屋駅付近の風景をストリートビューで切り取ってみた。
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これは名鉄山王駅前の風景。これでも何と名古屋から一駅である。特徴としては道が広く、建物はそれほど密集していない。
よく言えば広々とした印象。悪く言うと、東京の下町を更に間引いて水で薄めたような印象だ。そして、一軒家、アパート、マンションが非常に多く、駅前というのに「すき家」が一軒あるのみ。
もう一か所例を挙げてみる。これは太閤通駅前の交差点である。
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この駅は地下鉄桜通線の終点で、名古屋から一駅である。ここも先程と同様に道が広い。そして、ここも山王駅と同様、駅前に店がほとんど無い。上記の画像を拡大すると、かろうじてデニーズと手打ちうどん屋が確認できたが、そのくらいである。
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また、改めて名古屋の街をGoogle Earthで巡ってみると、駐車場が多いことに気付かされる。
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それだけ、名古屋の街は車社会の傾向が強いということになる。つまり、名古屋の街は基本的にロードサイド文化が強いと言えるのではないだろうか。
田舎のロードサイド文化とは
この記事で言う「ロードサイド文化」とは
いわゆるロードサイドとはこんな感じ。
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特徴を箇条書きにすると、こんなところだろうか。
全国展開している店舗が並んでいる
少なくとも生活に必要な店は揃っている
車社会に最適化されている(道路や駐車場が広い)
(車さえあれば)生活に不自由は無い
行けども行けども「名古屋」
ここで、名古屋の街をいくつかピックアップして、ここに挙げてみたい。
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もうこの時点で変わり映えのしない街並みに辟易としてくる。共通する特徴としてはこんなところだろうか。
道路が片側2車線(道が広い)
建物はそれなりに多いが、商業施設は少ない
マンションとオフィスが多い
生活に必要な店はあるが、繁華街などは無い
これが名古屋の街の大きな特徴だと思われる。やはり、ロードサイド文化と共通する要素が多いように感じるのだ。
そして、行けども行けども、同じような景色が延々と続く。どこまで行っても「名古屋」。これが名古屋の街の実態なのだ。
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全体的に「雑」
ここで、栄駅前の交差点付近を例に挙げてみる。奥にテレビ塔が見える。
ルイヴィトンがあると思うと、その隣はコインパーキング。さらにその隣は電機メーカー(brother)と焼肉店のビル、さらに古びた雑居ビルと続き、交差点に面したところにはNIWAKAの宝石店。そして交差点を渡るとドン・キホーテがある、といった調子だ。
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栄の街ですらこんな調子である。店の並び、建物の雰囲気もバラバラだし、こんなんで街の特徴も何もあったもんじゃない。要は何でもありなのだ。
漫画「1日外出録ハンチョウ」の1シーン。名古屋の街は全体的に雑とのこと。これは「言い得て妙」だと感じた。
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「名古屋は何もない」という言葉はよく聞くが、もちろん本当に何も無い訳じゃない。生活に必要なお店や、飲食店だってちゃんと揃っている。しかし上記で書いたとおり、「ロードサイド文化」の特徴と共通する部分が多い。確かに、住むなら全く不自由しないだろう。住む「だけ」であれば。しかし、どこまで行っても、それ以上の何かは得られないのである。
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東京と名古屋は何が違うのか
東京と名古屋では何が違うのだろうか。東京で特徴的な街とそのざっくりしたイメージを、田舎者なりにいくつか挙げてみようと思う。
秋葉原:オタクが多い
神保町:本屋の街
銀座:ブランド物のお店がたくさんある
歌舞伎町:飲み屋がたくさんある
代官山:よくわかんないけどオシャレ
下北沢:いけ好かないお店がたくさんある
・・・
こんな感じで東京には特色ある街が多く存在するのだが、対して名古屋はどうだろうか。
名駅:駅前はまぁ栄えている
栄:商業施設がたくさんある
大須:商店街がある
千種:...住宅街 ?
大曾根:...住宅街 ?
・・・
名古屋の観光地は施設ばかり
「名古屋はつまらない」というと、烈火のごとく反論してくる人がいる。
名古屋がつまらないなんてことは無い!観光スポットもたくさんある!名古屋城、テレビ塔、オアシス21、東山動物園、名古屋港水族館、矢場とん、レゴランドジャパン・・・
ここで考えてみると、商業施設やテーマパーク、公園など、名古屋の観光地は「施設」が多いのではないかと感じた。名古屋は、この「施設」があちこちに点在しているのである。
東京は「街歩きをしよう」と思える場所が多い
名古屋に対し、東京はどうか。秋葉原、神保町、銀座、歌舞伎町、代官山、下北沢etc…上記ですでに挙げた地名であるが、いずれもエリアとしての観光地であり、少し考えてみただけでもすぐに挙がる。
東京と比べられても…というのはごもっともかもしれないが、やはりこのエリアの多さが、街を面白くする重要な要素ではないかと考えている。
×名古屋人は魅力をアピールするのが下手 ○本当に魅力が無い
名古屋の魅力の話になると、「名古屋人は魅力をアピールするのが下手だから・・・」という声をよく聞く。しかし、上記を読んでいただければ、名古屋の街は、仕事と生活に特化した、ただそれだけの街であることがお分かりいただけたかと思う。
要は魅力をアピールするのが下手なのではなく、本当に街の魅力が無いのでどうしようも無いのである。
車社会が浸透しすぎた
名古屋は果たして魅力的な街となるのか。Twitter上で「超高層ビル・都市開発研究所の中の人 (きりぼうくん)(@kiribou06341)」のツイートからの引用。
要は何かと言うと、都内や首都圏で電車通勤しているオフィスワーカーからしたら名古屋は魅力がない(というよりも生活に支障をきたす)わけで。観光地はむしろ沢山あるからね。 駅前再開発で微妙なものを建てるよりも商業の寄せ集めフルセット+地域の魅力的なお店+駅直結マンションとかまず生活環境を
整えなければ、そもそもの首都圏と同等レベルの生活水準を名古屋では保てないわけ。 恐らくそこが文化的なと結び付いてくると思うけど、 例えば20時に仕事終わって駅前に牛丼屋とコンビニ弁当しか選択肢が無い都市よりも、大戸屋とんかつ和幸かつやスタバガストサーティ…色々選べる方が良いでしょ。
一連のツイートでも述べられているが、名古屋がつまらないと言われるのは、この「駅前文化が弱い」というのが最大の原因だと思う。言い換えれば、名古屋は中心部まで車社会が浸透しすぎてしまった、ということである。
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文化=生活すること
ここで、小田急線の代々木八幡駅前を例に挙げてみる。
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駅前には富士そば、とんかつ屋に続き、様々な飲食店、個人経営のカフェ等も多く存在する。
会社や学校の帰りに、夕食を食べに立ち寄る、一杯飲んで帰る、馴染みのカフェに寄って帰る、コンビニ、スーパーに寄る・・・地域住民のこういった生活様式の積み重ねが、その街の雰囲気や文化を形成していくものだと思う。
名古屋の鉄道駅にこのような場所があるかというと・・・ちょっと思いつかない。どの駅も車と幹線道路の存在が非常に大きく、人よりも車優先の印象が強い。
名古屋がただの「住むには良い街」から本当に魅力ある街に変貌するのはいつになるのだろうか。