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ずっと真夜中でいいのに。『やきやきヤンキーツアー2 ~スナネコ建設の磨き仕上げ~』ライブレポ
10月から1月まで全国各地を爆走したやきやき2のライブレポ。北から南まで遠征した想い出深いツアー。複数回参戦した中から愛媛公演をピックアップ。
1.ツアーの模様
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2.ライブセット
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3.セットリスト
JK BOMBER
こんなこと騒動
ヒューマノイド
はゔぁ
馴れ合いサーブ
残機
秒針を噛む
ばかじゃないのに
クズリ念
選択式
1.武流一壽韻座苦労絶斗(Blues in the Closet)
2.出威亞魅壽汰-F (Dear Mr 「F」)
3.苦璃華衛酢襲格(繰り返す収穫)★
海馬成長痛
彷徨い酔い温度
お勉強しといてよ
TAIDADA
あいつら全員同窓会
勘冴えて悔しいわ
ミラーチューン
-アンコール-
虚仮にしてくれ
嘘じゃない
正義
勘ぐれい(ヤンキーver)
4.感想
JK BOMBERからの重厚なスタート。あまりツアーではやっていない印象だったのでいきなりなレア感。「この爆弾みたいな」からのしゃもじを振るリズム感ですでに気分が高揚している。しゃもじを振っているだけなのに謎の一体感と爽快感を味わえるずとまよ魔力。
こんなこと騒動。攻め攻めな序盤。ヤンキーだから仕方ないよねと言わんばかり。Aメロの最高のリズム感に乗って、遮られていくところでゆっくりしゃもじを慣らし始める。そして溜めに溜めたパワーをサビで爆発させる。2番の転調でまたパワーを溜める。この繰り返しが何より心地よくて。まさに音に乗るって感覚。自分に負けたくないけどこの曲には負けてもいいかななんて。
ヒューマノイド。呪文とともにさらにボルテージは上がっていく。早まる心拍数を現すようなスピード感に身を任せて間奏でむちゃくちゃのっかる。電光掲示板に表示される人形も見えないくらい。ここまでの3曲ですでに身体は真夜中に仕上がっている。
はゔぁ。まさかの。やきやきすぎてギターとともにとんでもなくブチ上がる。言葉遊び一級の気持ちよさを感じながらこの場により深く深く馴染んでいく。ACAねの脳内はどうなっているのかいつか覗いてみたくもなるそんな歌詞。でもそこには広い幅があってとか。
馴れ合いサーブ。ベースに乗ってしゃもじをクロスに振る。オープンリール隊のクロスは時期に円に変わる。お馴染みになったアレをかまして喉も慣らしていく。最後の加速。とんでもない速さでしゃもじを振り回す姿はさながら扇風機のよう。
残機。もはや説明不要の鋭利すぎる刃。不穏とも思えるイントロからベースが温度を高めていきACAねのYeahで解き放つ。サビで歌詞に合わせてしゃもじを振りかざすとさながらデビルハンター。ACAねの身体から放たれる高温の高音で身も心もバラバラに切り刻まれ「でした」で消え失せる。この時点でわけわからなくなっている。でもまだまだ前半戦。
秒針を噛む。始まりの曲。この曲を聴かずしてずとまよは語れない。しゃもじでガンガン砕く。ライブという場で声が出せなくなってはや数年。そんな時を乗り越え会場全体で歌える時がやってきた。しゃもじで楽しんだ時代も勿論楽しかったけどやっぱり歌いたい。ACAねのコールに「このまま奪って隠して忘れたい」とレスポンスする。小さくと言われ、大きくと言われ、右から左からと言われ、時には変な声でと言われて、そんな瞬間を忘れるはずもない。
ばかじゃないのに。ここまでの流れを一旦鎮めてくれるような優しさであり熱との一時の分かれでもある。しゃもじを振ることを忘れ心地の良いリズムに身を任せる。比喩が少ないストレートな歌詞はより真っ直ぐに突き刺さってくる。「何処へゆくの」からの間奏、そして「君の普段着」から始まるラスサビまでの間がどうしようもなく好き。
クズリ念。ACAねらしさと問われればクズリ念だと言いたくなるような曲。クズリは小さい肉食動物。言霊なんてものを信じてはいなかったけど、クズリ念の歌詞にはそんな力があると思わされる。言葉遊びや比喩満載にも関わらず何故かストレートに響いてくる不思議な曲。この2曲の流れで序盤の熱は融和され落ち着きすらも感じる。セトリの妙とはまさにこのことなのだろう。
恒例の選択式。愛媛ではミラー機関銃は繰り返す収穫を撃ち抜いた。電光掲示板に夜露死苦風に表示された曲名は読み取れるような読み取れないような。結局全部聴けたけどBlues in the Closetが1番難読だった。愛媛で収穫だったのはみかんの導きだと思う。オープンリールの2人の掛け合いから始まるのが今回のツアーのお約束で剪定用のハサミを持った2人が小芝居を披露。ツアーを重ねるごとにそのクオリティは高まっていて昔はセリフなんてなかったはずなのにいつの間にか演技派になっていた。ACAねの無茶振りも質問に答える気が全くないところも安心の恒例で素晴らしいアレンジと少しの休憩タイムを堪能。
海馬成長痛。小休止後なんだから「やれんの?」なんて煽りが聞こえてきそうな成長痛。踊り明かす勢いで後半戦に挑む。電光掲示板の人形もひたすら踊れ!みたいにビカビカ光っている。謎の楽器が鳴り響き「乱雑に」のところの極上のリズム感に酔いしれて、ラスサビでも踊り明かし灰になり葬。
彷徨い酔い温度。いつの間にかしゃもじをクロスにするようにモデルチェンジしていた。前のクラップも良かったけどクロスの方が個人的には好き。ただ高速になるところは速すぎて最後ついていけなかった。ゆっくりとはやいを繰り返して難しいことこの上なくて、ACAねの手のひらの上で遊ばれているような気もして。唐突に終わるところも新しくて。遊び心に溢れた時間。
お勉強しといてよ。真ヤンキータイム到来。ここからはノンストップだと言わんばかりのパラリラパラリラ。「乾かないや」「ヤンキーヤンキーだ」の応酬。楽器隊のボルテージもさらに上がっていき、当たり前にホールの熱量もマグマみたいにドロドロしてくる。声出し部分がどんどんと増えていきライブの一部になっている感覚が高まっていく。数年前にヤンキーだった彼らは定職についたらしいが今は勉強してる場合じゃない。
TAIDADA。応援ソング。ここにきていつのまにか跳ぶようになっていた曲。「ちゃんとせい↑ what's your pain?↑ 感情戦↑を君と練っていきたいんだよ」↑のところで跳ぶととんでもなくトんでいける。すっかりキラーチューンになっていてとんでもない回数聞いていて、しゃもじを振り乱して跳んだり跳ねたり。そういう妖怪なのかもしれない。この曲でトぶためだけにライブへいく必要性があると言っても過言ではない。キラーチューンが過ぎる。
あいつら全員同窓会。まさかの2連跳び。でもこの跳びは溜めてからの跳び。電光掲示板すらも跳ぶことを煽るようになっていた。同窓会と言えばラストみたいなところもあったけど最近はそうでもなくてそれくらいに外せない曲が増えているということで、でもやっぱり盛り上がるし楽しい。最後のラップパートでもずっとしゃもじを振っているとなんかフワフワしてくる。
勘冴えて悔しいわ。ACAね節炸裂な曲の再来。サビでリズムにノッてしゃもじを振る。緩急のついた振りを勝手にやって楽しむ。ここにきて一段と鋭さを増す歌唱に終わりが近いことに気づかない。毒苺前のピアノに毎回惚れてガンガンに冴える。遺影もイエイでいえいしたい。
ミラーチューン。というなのキラーチューン。ミラーボールが出てきた会場もあってヤンキーつうかギャルじゃんとか。こっちのyeyは遺影じゃなくてレインボーなyey。昔のありえんむずいしゃもじは過去のものになっていて随分優しくなっている。だからこそyeyは逃さず決めていく。ゆっくり振るしゃもじもそれはそれでよくてACAねのミラー機関銃捌きも年を重ねるごとに様になっていて扇風琴を甲高く掻き鳴らす。yeyのレベルアップも挟みミラミラミラチューンで一旦の終わりを迎えた。
虚仮にしてくれ。最初に聞いた時衝撃を受けた曲。今回のツアーを通して1番好きになった曲。言葉遊び、リズム感、音の優しさ全てが心地よくてすっと体に入ってくるような感覚。こういう曲があるからこそよりずとまよの事を好きになる。レア曲にはならないで欲しいと願いつつ。
嘘じゃない。ライブだと音源より100倍攻撃力が高まる曲。しゃもじを振るのを忘れてじっとステージを見つめていた。Kアリーナで聴いた嘘じゃない。で本物を見てやっぱり今回のツアーでも本物で。結局ツアーを通してこの時はしゃもじを振らずただただ聴くことに集中していた。たぶんライブだと少し走っていてそれが余計に良さを引き出していて、だからこそ嘘じゃない。を聴くときは音源よりもライブ音源を聴いてしまうのかもしれない。
正義。懐メロなピアニカの戯れから始まる。「近づいて遠のいて」のしゃもじはやっぱり前後であの時の会場が一つになる感覚は正義の特権。アヒルを目印に右左。そして大合唱。少し前は考えられなかった光景。やっぱり声が出せることは素晴らしい。一緒に歌える日常が戻ってきたことを実感する。お決まりのACAねの叫びもあって、分かり合い、探り合い、笑い合い、巡り合い。
勘ぐれい。最後にヤンキーverとして重厚なグレい。昔のヤンキーを彷彿とさせる旗。尖り散らかしたサウンド。やきやきヤンキーを締めるのに相応しい曲。そして最後ACAねが渾身の一振り。ここにスナネコ建設の磨き仕上げが完成し、ACAねはデコチャリで次の現場へと颯爽と去っていったのであった。
5.おわりに
愛媛に行ったのはもう2ヶ月以上も前のことだがつい先日の事のように思い出せる。それくらいに熱い夜だった。ずとまよのライブはこれまで20回近く参戦しているが随一の熱量の高さだったのは疑いようもない。セトリも新曲から定番曲、そしてお久しぶりな曲まで網羅したとても考えられたものになっていて、しっかりと落ち着ける所も用意されているのがずとまよクオリティ。
ずとまよはライブだけじゃなくツアーごとに発売されるグッズも魅力の1つ。アパレルはとんでもない種類があってどれにするか迷うくらいだし、ドライバーみたいな謎めいたものまである。過去にはラーメンどんぶり(愛用している)や木製のしゃもじなんかもあった。
ACAねのMCは毎度毎度明るいところも暗いところもあって、それが人間味を感じさせるところでもあって、生み出させれる曲から感じる魅力はそういうところに由来するのかもしれない。
なによりもずとまよの魅力だと感じるACAねが書く歌詞には様々な解釈ができて、もしかしたら正解みたいなものもあるのかもしれないけど、別にそれがわからなくとも聴き込んでいるうちに自分の中で腑に落ちる答えはいつの間にか見つかっていてその度に得られるものがある。わかりやすさとか正しい言葉遣いとかそういうものだけでは測れないパワーがある。そしてそのパワーが爆発する時こそがライブであって、であるならそれに行かないなんて選択肢はないわけで。
次回はアリーナ公演。すでに切符は持っている。目指すは十六夜月の塔。新曲も発表されて間もない。今年も真夜中はずっと続く。
— ACAね a.k.a ネス湖のてっぺん (@zutomayo) January 24, 2025