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漫画『裏バイト:逃亡禁止』のススメ(R61109)

皆様こんばんは。

本日は好きな漫画の話です。
以前『阿武ノーマル』をオススメしましたがその延長線です。今回は『裏バイト:逃亡禁止』について書きます。

本題に入る前にふとここのところ書いた文章を振り返ると何かをオススメしてばかりです。「誰に読んでもらいたいとかない」と言っていたのですがかなり軸がブレブレになっています。
まあ元々信念なんてないよ的な人間なのでその辺もどうでも良いかということで、その方が身軽で楽しいですし。

とはいえ少し前の記事で人のススメに慎重になっているとか言っておきながらお前はどうなんだと言われれば何も言い返す言葉はありませんが…


1.あらすじとか

『裏バイト:逃亡禁止』は2020年から小学館で連載が始まった田口翔太郎先生の執筆されているホラー漫画です。既刊は13巻。

お化けとかサイコパスな人間とか超常現象とかそういった類のものが関わってくる曰くつきだけど報酬が法外に高額なバイト、いわゆる裏バイトに主人公の2人が挑んでいく漫画です。

主人公の2人にはそれぞれ多額のお金が必要な理由があって、黒髪ロングの黒領ユメは失踪した親の借金と残された家族を養うため、金髪短めの白浜和美は世界一周旅行をするため。(なんか和美だけ軽くない?と思うかもしれませんが現在進行形で絶賛謎明かされ中です)

ユメは黒い(危険)ニオイと白い(安全)ニオイを感じることができて、この能力を使って危険満載の裏バイトを乗り越えていきます。和美はかなりの怖いものなしで勢いで大抵のことを何とかしてしまうので(凄い力があるとかではないです)、失敗することが当たり前の裏バイト界隈(失敗すると結構4にます)では「不死身の白浜」と呼ばれている存在です。

基本的にこの2人のコンビが難攻不落というか摩訶不思議というか奇想天外というか(ドラえもん的な)、そんな高額報酬必至の裏バイトを重ねていくお話しです。

2.魅力

ホラー漫画だから怖いのは当然なのですが、絵面の怖さだけではなく、どこか得体の知れない背筋よりも足元あたりからじわじわ全身を飲み込んでくるようなそんな怖さがあります。

都市伝説の派生だったり、UMAだったり、人間の狂気だったり、幽霊だったり、怖さの種類が豊富で理解したくとも理解できないものもあれば、そりゃそうだよねとすとんと腑に落ちるものもあって、数話完結の漫画だと前にも同じような話がなかったかな?みたいなことがありますけど、この漫画にそれを感じたことはないです。

わからないものはわからないで終わるところもよくて、そもそも仕組みや答えがわかってしまったら、お化けも超常現象も形無しですし、人の狂気もただの癇癪になってしまいますから、あえて最後まで作者側から明確な解答を提示せず読者側が想像膨らますことのできる状況を作り出しているのでしょう。

解答が提示されていない手探り状態の答え合わせによって勝手に納得するのはホラーの醍醐味だと思います。その納得を読者同士で共有することも面白いですよね。

あと1つ『裏バイト:逃亡禁止』をオススメする上で欠かせない要素として、ユメと和美の信頼関係があります。
命の危険がある裏バイトを何回も乗り越えてきたわけですから、そりゃ2人の間の信頼性も深まっていきます。ユメは危機察知には長けていますけど勢いはないので和美がそこを補っていて、でも和美の勢いだけじゃ危険な所にも突っ込んでしまいますから、そこはユメが補っていて、ホームズとワトソン的な感じです。(ユメも和美も全然頭脳派ではないですけど)

お互い片方が4ぬのであれば私も4ぬなんてことを言っているシーンがあるのですが、何回も命を救いあっている同士だからこその言葉でこの2人の間の関係性を象徴していると思います。

3.お気に入り

13巻も出てますからお気に入りの話ももちろんあるということで7大エピソードをあげてみます。細かいあらすじとかは書いているとキリがないので一言コメントくらいで。

①ビル警備員 第1巻(第2話〜第5話)
社会人として謎の共感。読み始めたきっかけの話。

②ブライダルスタッフ 第4巻(第37話〜第39話)
意味のわからなさも結局何も解決していなくて余計に酷くなるところもいい。

③海の家スタッフ 第5巻(第48話〜第50話)
宇宙の意思とかそんな感じの大きな話。理解できそうでしたらまずそうなのでしない。

④映像編集 第6巻(第65話)
寝れなくなる。絵面で怖いランキング多分1位。

⑤特殊清掃員 第8巻(第93話〜第95話)
裏バイトの先に裏バイト。最後の瞬間2人はどんな気持ちだったのだろうか。

⑥コンビニ店員 第9巻(第102話〜第104話)
エゴの塊。怖いじゃなくて恐い。

⑦警備保障会社スタッフ 第13巻(第153話〜第155話)弱肉強食。オチは怖いを通り越して感心した。

4.おわりに

『裏バイト:逃亡禁止』は既にヒット作といえる人気ですから今更紹介するものでもないかもしれません。
ですけどホラーというジャンルの都合上刺さらない人にはとことん刺さらないでしょうから、ホラーだけじゃないんだよということを知ってもらえると嬉しいです。

お気に入りであげた⑥コンビニ店員はその最たる例で、結局生きている人間が一番理解できなくて(したくなくて)ホラーだと気付かせてくれます。最後のコマとかもはやどっちが化け物やねんって思います。

今回は紹介しませんでしたがギャク要素として篠月橙というキャラがいて、橙登場回は大抵笑える内容になっています。(無敵の人みたいな子です)

この漫画は基本的に数話完結で次のバイトに移っていく方式ですが、話の大筋もしっかりあって合間合間で徐々に謎が解き明かされていきます。

最終的にはこの謎の回答に辿り着いておしまいということになるのでしょうが、先日YouTubeで公開されていた田口先生の特集動画では既に半分までは来ているとのことでしたから25巻くらいで完結でしょうか?

これだけヒットしているのだからメディアミックスもと思ってしまいますが、題材と作風的に難しいのでしょうか?映像化されたらとんでもない恐怖映像が量産されるでしょうし血まみれとか結構ありますから…淡く期待しておきます。それこそ映像編集とかアニメ化したらトラウマ回必至です。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

『裏バイト:逃亡禁止』は『ホラー時々ギャグのち友情漫画』の傑作です。

それではまた。


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