#EMONism 38
最期の力を振り絞るかのように、陽射しは空間に影を創る。
夏、あの独特の強い陽射しが青空と呼ばれる空間に、雲や電柱の影を創ることはご存知だろうか。
青空に影。なにもないように見えるその空気、または気体と呼ばれるあらゆる原子の集まり。そこには、そびえ立つ雲の影が創造される。
それらは二度と同じ形は無く、創生だけが繰り返されていく。
創られたそれらの影は雲が大地へと落ちる頃、また寄り添うように何処かへと散っていくのだと思う。消えることもなく。ただ目に止まらぬほどの大きさであったりするために。
なぜそう思うのかというと、全ては角度によって決まるからだ。夏の陽射しには、空間に影を創る力がある。その角度、それこそが夏の陽射しなのだ。
今日、秋めくこの頃に最期の力を振り絞ったのは、夏の角度だった。夏だった。
だから雲は七色にサイケデリック、電柱は黒い煙を帯びたみたいな影をまとって歪んでいたんだ。それは異次元だった。私の水晶体ははこれ以上受け付けられない程の光で満たされ、唯一断片的に記録に残せたのはスマートフォンのデータだけだった。それさえも本物にはかなわない。ただ、私が今見たことを思い出す原料として使えそうだ。だから私は記録に残す。
影とおなじように。
追記 2024-09-28
そうか、この影の一部はきっとうるおいなのだな、よくよく見れたなら、それはきっとキラキラと揺らめき輝いているのだろうな。