広島城の広報誌『しろうや!広島城 30号』<広島のおしゃれ事情~企画展「江戸のおしゃれ」こぼれ話>(財団法人広島市未来都市創造財団 広島城)に、広島藩の「衣服統制」に関する興味深い記事が掲載されている。抜粋して転載させていただく。
岡山藩の「倹約令」に書かれている「日野紬」をネット検索して辿り着いた記事である。執筆者の前野やよいさんのユーモア溢れる記事に感心した。手描きのイラストもぜひ見てもらいたい。
前野さんの記事からもわかると思うが、すばらしい庶民の知恵である。「倹約令」をそのまま忠実に厳守してはいなかった証左でもある。また、幕府が改革の一環として発布している「倹約令」に準じるように、各藩においても藩の実情に合わせながら、ほぼ踏襲するような内容で出されている。
「倹約令」を庶民の「オシャレ」から考察している視点が斬新でおもしろい。一昔前の(今もかな)学校の校則を掻い潜る生徒みたいである。禁止するから破りたくなる。幕府や藩の取り締まりと庶民の工夫、イタチごっこの様相を想像してみると、圧政とか弾圧とかとはほど遠い世相が見えてくる。
「欲しい人がいれば作って売る人が現れます」は言い得て妙である。売れなければ作るはずもない。町人、しかも裕福な商人、上級武士だけが買っているのだろうか。大庄屋や名主だけが買っていたのだろうか。さらに、「倹約令」を守って誰も買わなければ商人は増えないだろうし、商工業や手工業も発達しないだろう。