行政書士試験 不合格体験記

令和4年度行政書士試験、不合格。
その懺悔と反省の記録です。

受験のきっかけ

小売業からとあるきっかけで不動産業界に転職した私は、その会社に言われるがまま宅地建物取引士試験の勉強をし、令和元年度の試験に一発合格しました(一発合格というと聞こえはいいですが、合格点ぴったりのギリギリ合格です)。

やがて宅建士証を手にして不動産の仲介、賃貸管理の業務に携わり、少しずつ不動産実務の知識が身についてくるようになり、資格を通してキャリアチェンジできたことへの達成感も芽生えていました。

そこでふと、考えるようになったのです。
「なんかもっと難しい資格に挑戦してみたい。宅建の延長みたいな難易度の資格ないかな?」と。

いわゆる「資格沼」にハマりかけた状態です。

Googleでなんとなく資格予備校のホームページを見ていると、
「宅建士の次は行政書士試験を目指そう!」という文言が目に入りました。
そこで初めて、行政書士ってなんだろう?と疑問を持ちました。

すぐさまGoogleで「行政書士 難易度」というワードを検索すると、「士業資格の中では比較的簡単」「法律資格の入門編」というフレーズが至る所に。

宅建合格で浮かれた頭がお花畑の私はこう思いました。

「私、宅建持ってるし、ちょっとがんばれば取れるんじゃないかな?」
「一発合格って、なんかかっこよくない?」

今思えば、「法律資格の入門編」などというフレーズは、単なる資格予備校の宣伝文句でしかなかったわけです。

予備校における行政書士と司法書士の資格の位置づけについても言えますが、それぞれの資格は専門とする分野が異なるだけで、本来はどちらが上位だとか、どちらが優れているか、という話ではありません。

その点を当時の私は全く理解しておらず、入門編という言葉を安易に信じてしまいました。

断っておきますが、予備校が悪いわけではありません。
ろくに調べもせず、「なんとなく受かったからすごいかも」という理由で短絡的に受験を決めた自分が悪いのです。

「不合格」の最短ルートへまっしぐら

行政書士試験の合格点は、試験全体で300点満点中180点以上。科目別の足切りはありますが、令和4年度受験当時の私は「まあ6割取れれば受かるじゃん」と楽観視していました。
勉強を開始したのは試験の約半年前、5月のGW明け。

その勉強法は、かつて宅建士試験合格時に用いた過去問をひたすら回す方法。宅建受験時に「過去問10年分を7回以上回せば受かるよ」と言われてその通りにしたことを思い出し、ただひたすら過去問の反復演習をしていました。

問題を見て、解説文を見て、答えを見て、言い回しやニュアンスを覚えることで乗り切ろう!としか考えていませんでした。
簡単に言うと「この判例のこの言い回しが出たら、結論はこれ!以上!」みたいな感じです。判旨や法理なんか1ミリもわかっちゃいない。
過去問の内容と、間違えたところだけ暗記すればいいと本気で思っていたので、六法や判例集はほとんど読みませんでした。

私がやっていたのは、なぜその答えになるのかという理由を、平易な言葉で嚙み砕いて理解するだけの「作業」でしかなかったのです。

「根拠条文を読み込み、どの条文のどの部分を当てはめることが適切かを導き出せるようになること」や「判例は概要と結論ではなく争点と判旨を頭の中に入れること」という、法律資格を受験する上で必須となる勉強を、全くしていなかったのです。

当たり前ですが、模試を受けても合格点には遠く及ばず。
筆記もろくに書けやしない。
多少の焦りはあったものの「本番で6割取ればいい」という考えから抜け出せず、勉強法を変えることもなく、試験本番を迎え、見事不合格。
再受験の切符を手にすることになるのです。

敗因:見通しの甘さ

X(Twitter)で受験アカウントを作っている方や、予備校の合格者体験記を読み漁り、その努力量に愕然としました。

条文集や判例集の読み込み、過去問の徹底分析、論述練習、試験日から逆算したインプット・アウトプットのタイムスケジュール管理、継続力。

何もかもが自分に足りませんでした。

試験の難易度を過小評価したこと。
過去問だけで合格できると考えたこと。
条文集、判例集の重要性を認識していなかったこと。

これら全てが、私の不合格の要因であり、「自分の甘さ」以外に他なりませんでした。

自分が間違っていたことを受け入れるのはつらい。
独学とか一発合格とか、私にはできない。でもここまで来たら何が何でも受かってやろう。

そう覚悟して再チャレンジを決め、翌年の試験には210点で合格することができました。

最後に

私の不合格体験記が、行政書士試験を目指す人たちにとって、合格への覚悟を決めるきっかけとなれば幸いです。

行政書士試験は決して簡単ではありません。偉そうなことは何一つ言えませんが、私は身をもって体感しました。

しかし、努力すれば必ず道は開けます。自分との戦いに勝って、合格を勝ち取ってください。



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