
2024年の根室線富良野・東鹿越間廃止に際する増結とダイヤ改正日を跨ぐ車両運用について
序文
JR北海道の営業する根室線の一部、富良野・新得間が、2024(令和6)年4月1日を以て廃止される。
2024(令和6)年3月16日ダイヤ改正から3月31日の営業最終日までの車両運用についてはこの記事で分析を行ったが、
1.3月15日以前の列車の増結について
2.3月16日ダイヤ改正にあたっての移り替わり運用
については触れなかった。本記事はこの2点についての記録である。
凡例
区別の便利のため、2024年3月16日改正前(2023年3月18日改正)の運用番号を黒丸数字➊➋……で、改正後の運用番号を白抜き丸数字①②……で表す。
2両以上の列車では、列車番号直後の丸数字で連結位置を示す。左方を滝川(函館)方、右方を東鹿越(根室)・旭川(稚内)方とする。図においても同様である。
文・図中、比較的確度の高い・又は誤差の比較的小さいであろう推測は「?」を付す。また、比較的確度の低い、又は誤差の比較的大きい推測、或いは見当のついていない箇所は「****」などと表す。
出庫を「○」、入庫を「△」、併合は「●」、分割は「▲」で表す。
2024年3月16日改正前(2023年3月18日改正)
通常運用
先ずは運用表を示す。

➊から➐、➑から➒はそれぞれ一日ずつ順に流れる。➊~➐はキハ40形指定、➑と➒はキハ54形またはキハ150形指定である。
➊と➐、➑と➒はそれぞれ運用時間が重ならないので、車両交換の必要がなければ同一の車両を充当できる。即ち、9運用あるが実質7両で運用できる。
2両編成で運転される列車は、旭川運転所の入出庫を兼ねる(回)928Dと921D、早朝の芦別始発2470Dの送り込みとなる2471Dの滝川・芦別間、朝の通学時間帯にかかる2472Dのみである。これ以外の列車は通常1両編成である。
車両滞泊箇所を下記に整理し、運用の繋がりを図示しておく。
図の時間軸方向は正確な時刻を示しているわけではない。図中➑→➒を省略している。
➊→➋(滝川)
➋→➌(富良野)
➌→➍(富良野)
➍→➎(滝川)
➎→➏(富良野)
➏→➐(滝川)
➑→➒(滝川)
滝川滞泊4両、富良野滞泊3両

特に注意しておきたいのは➏である。➌と➏は富良野出庫時点では連結しており、富良野623発滝川行き2472Dとして走ったあと滝川で➏が切り離される。以降、その日の➏の運用は無い。
2024年1月6日以降の増結
根室線富良野・新得間の廃止を控え、「多くのお客様のご利用が予想されるため」に2024年1月6日以降の一部期日で一部列車の両数が変更された。
具体的には、2024年1月6日~2月25日の土・日・祝日と、2024年3月2日~
3月15日の毎日であった。
これは、根室線下金山駅における掲示を2024年1月7日に筆者自身が確認したものである。
根室本線滝川口。部分廃止までの間は期日指定で午後の東鹿越往復が2両に増結、接続する代行バスも2台口になる pic.twitter.com/FlcPWe5jzv
— ∅ (@empty2061) January 7, 2024
2475D-2477D-2482D が増結される。
2472D滝川着後の➌と➏との分割を行わず、そのまま2両セットで走り続けて2482D滝川着後に分割するよう変更したものであり、運用の変更内容としては単純である。
これは、
当時のダイヤで最も混雑しそうな東鹿越発着の列車は東鹿越1459着の2477Dと東鹿越1512発の2482Dであろうこと
この列車は朝の2両編成の列車2472Dから流れる運用であったこと
2両編成から分割される➏は日中丸きり運用が無かったこと
といった要因が重なることで、増結用の車両を別個に用意することも無く、最小限の運用変更で実にうまく増結を実現できたものである。

※補足
2023年3月18日改正のダイヤでは東鹿越発着の列車は4.5往復あり、具体的には
636発2472D
801着2471D, 916発2478D
1459着2477D, 1512発2482D
1732着2479D, 1742発2484D
1948着3483D(快速狩勝), 1957発3488D(快速)
であった。
2479D以降は(時期によるが)日没が迫っていて、風景を楽しむにはあまり嬉しくない。また、札幌・旭川・帯広のどこを拠点にしようとも2477D, 2482D以外の列車は朝早すぎるか夜遅くなるか(或いはそもそも辿り着けないか)でやはり使いにくい。
旅人がこの区間を列車(と代行バス)で通り抜けるならば15時頃の2477D, 2482D以外の選択肢は採りくかったし、増結を行うとすればこの列車(のみ)で行われるのが自然であろう。
2024年3月16日改正にあたっての移り替わり運用
運用
説明は既に執筆したこの記事に譲り、運用表を下記に掲載する。画像には滝川・富良野間の増結運用と、富良野・東鹿越間の臨時運用を含む。


車両滞泊箇所を下記に整理し、運用の繋がりを図示しておく。
①→②(富良野)
②→③(滝川)
③→増②(富良野)
増②→増③(滝川)
増②→⑤(富良野)
臨①→臨②(富良野)
臨②→臨③(滝川)
臨③→臨④(富良野)
滝川滞泊4両(定期1+増1+臨2)、富良野滞泊7両(定期2+増2+臨4)

3月15日から3月16日にかけての移り替わり
先ず、3月15日の充当車両を示す。
➊ キハ40 1725+キハ40 1778+キハ40 1744(滝川着後富良野へ回送)
➋ キハ40 1714
➌ キハ40 1736
➍ キハ40 1755
➎ キハ40 1747
➏ キハ40 1724(終日➌と連結して富良野△)
➐ キハ40 1725
➑ (後述)
➒ キハ54 528
臨時回送(北旭川→滝川) キハ40 1791
一見して特異であるのは➊と➑である。というより、928Dの組成が特異なのである。通常は➑+➊の(キハ54またはキハ150)+キハ40の2両編成であるが、この日はキハ40の3両編成で運転された。
特異な組成ゆえ➊と➑の区別はあまり意味を為さないと考え、➑の記述を略して➊に集約した。ただし、以下の説明での便利の為に東鹿越(旭川)方2両(キハ40 1778+キハ40 1744)を特に➊増と記すことがある。
この3両は928Dとして滝川に到着した後は入庫とならず、詳細な時刻は不明ながら組成をそのままに富良野へ回送されている。富良野着後にキハ40 1725が編成から解かれたようである。
また、➌と➏の動きも特異であった。
➏は➌と併結して早朝の2472Dで富良野を発つが、通常2472Dの滝川731着後すぐに入庫となるところ、期日を限って(殊に、2024年3月2日以降は毎日)2482Dの滝川1657着まで➌と併結したままとなることは既に述べた。これが、特に3月15日については2489Dの富良野2328着まで➌と併結したまま終日2両編成での運転となり、富良野入庫となった。
ちなみにこの運用は、歴史ある「狩勝」の名を冠する快速3483Dに充当される運用であった。「狩勝」は、それが準急列車として走っていた時代から続く歴史ある列車愛称であったが、この名も3月15日を以て廃されることもあり、狩勝ラストランの為の増結かと俄かに持て囃されたようである。実態はただ車両のやり繰りの都合でたまたま2両編成が快速狩勝に充てられたに過ぎず、狩勝がどうのといったことは別に考えていないように思える。
加えて、3月15日夕方にはキハ40 1791が単行で旭川から札幌方面へ回送される様が目撃されている。状況的に、3月16日以降の増結に備えるための北旭川から滝川への回送である。
快速狩勝の増結用かな?
— 流氷特急オホーツクの風 (@okhotsknokaze) March 15, 2024
紫水単行で回送 pic.twitter.com/26uRhFctRo
これらの事柄を綜合すると、3月15日営業終了時点で滝川に2両、富良野に7両の車両が滞泊することになる。通常は滝川4両、富良野3両であるから、かなり様相が異なる。
3月15日営業終了時点の車両滞泊状況
滝川:キハ40 1755(➍)、キハ40 1791(臨時回送)
富良野:キハ40 1725+キハ40 1778+キハ40 1744(変➊)、キハ40 1714(➋)、キハ40 1736(➌)、キハ40 1747(➎)、キハ40 1724(変➏)
これを踏まえた上で、3月16日の充当車両を示す。富良野・東鹿越間の営業を行う臨運用は2両1組で表す。
① キハ40 1747
② キハ40 1725
③ キハ40 1791
増② キハ40 1714
増③ キハ40 1755
⑤ キハ40 1747
臨① キハ40 1749+キハ40 1758
臨② キハ40 1778+キハ40 1744
臨③ キハ40 1779+キハ40 1761
臨④ キハ40 1724+キハ40 1736
即ち、3月15日から3月16日にかけての運用の移り替わりは下記の通りである。


変➊が富良野入庫となって翌日の②と臨②とに分割される点は、改正後の①+臨①→②、臨②の動きを先取りしているようである。
一方で➎と➋とが併合して翌日の⑤+増②となる点は改正後の運用とは対応付けがしづらい。ただ、運用5日目の➎を2472D-回923Dとなる⑤へ回すことで旭川へ戻しつつ、➋を増結運用の増②へ回すという意図は充分理解できる。
➌は3月15日に限って➏を分割しないまま富良野入庫となったが、そのまま編成を崩さずに翌日の臨④として東鹿越始発列車に充当されている。この列車を2連とするため(或いは、旭川へ返却する車両の数を合わせるにあたって余計な分割併合の手間を削減するためともとれるが)に3月15日の快速狩勝が2両となっていたのだと分かる。
➍は滝川入庫後に、予め回送されていたキハ40 1791と併合して翌日の増③+③となっている。
改めて整理してみると、この一晩のためによく練られた運用計画がされていると感心する。
先に述べたが、通常は滝川4両、富良野3両で夜を明かすところを滝川2両、富良野7両に変更するわけで、かつ仕業検査のために旭川へ戻るまでの日数も考慮する必要があるとなると、それなりに複雑なパズルように感じられる。
北旭川→滝川、滝川→富良野でそれぞれ1列車ずつ回送列車が運転されているが、3月16日以降の所要車両数が一気に増えることを考えると必要最低限で済ませたように思う。
なお、3月16日の昼過ぎ頃までに臨③としてキハ40 1779+キハ40 1761が北旭川→滝川で回送されているはずである。現時点ではこの回送列車の目撃情報が全く確認できていないが、少なくともキハ40 1779は3月15日の石北本線4622Dに充当されていたことが確認できているから、3月15日夕~3月16日昼の間に回送されていることは確実である。
結び
普段は短編成で営業されている廃止されゆく鉄道路線が、最後にささやかに長い編成を組んでその営業を終える例はこれまでにもあった。例えば、先達の記録した深名線の最終日の編成などはただ驚嘆するばかりである。
今回の根室線富良野・東鹿越間の廃止にあたり、2024年に入ってからやはりささやかながら定期列車への増結が行われ、また幸運なことにその状況を調査・記録できる機会に恵まれた。おそらく車両運用状況や増結の方法までを逐一記録したサイトは無いだろうから、これを根室線の記念の一欠片として残し、この時期に根室線を訪れた方々の参考になれば幸いである。