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★Access Racing Simulator Cup分析

こんばんは。Emperor-Dです。

今回の内容はAccess Racing Simulator Cup 2020で使用される車両の特性を分析しちゃおう!という内容です。
実は昨年もこの大会が行われており、仕事の合間を縫ってコソっと本大会にも参加したのですが、最終順位は6位でした。(9割が棚ぼたですが…)

今年もこの大会に参加予定である私が、この車両の特性を分析し、ドライビングに対してフィードバックが出来ればいいなという目的で走行データ分析をしてみます。
これを見ればきっとみんなもタイムが上がることは間違いないでしょう。
※私より速くなってはいけませんよ(笑)

では内容に入ります。

1.第1戦概要

先ずは第1戦の情報を簡単に紹介していきます。

ソフト :rFactor2
大会形式:1Lapベストタイム順位
大会期間:2020年 6月19日(金)~2020年6月21日(日)
開催時間:18:00から23:00

車両  :専用MOD(プロトタイプ系)
コース :DUAL ATTACK2018年コース
Lap time :約44秒前後 / 1Lap
Set up     :共通(ABS ,TC 等は変更可)

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1周は短いので、覚えるのは比較的スムーズにいくと思いますが、タイムを詰めようとすると奥が深いサーキットです。

2.車両特性

まずは、走行車両のスペックを調べたのでそちらをご覧ください。
※MoTeCのデータからなので公式情報ではありません。

  車両質量  : 1008kg(燃料込み)
  重量配分  : 43.8%Front
ダウンフォース1  : 300kg/450kg (Front/Rear@200km/h)
ダウンフォース2  : 400kg/600kg (Front/Rear@230km/h)
エアロバランス : 40.0%Front
荷重比(DF/質量)   : 0.99@230km/h

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上図は横軸が車速で縦軸がダウンフォースです。単位は[N]

ポイントは重量配分がリア寄りであることと、ダウンフォースの総量が多いことでしょうか。 DFと質量の関係を見てみると、230km/hでは "0.99" と、ほぼ質量と同じだけのダウンフォースを発生しています。ということは、この車は230km/hを超えればトンネルを逆さの状態で走行可能ということです!流石プロトタイプカーですね。

この情報からドライビングで気を付けるべきポイントは2つです。

1.重量配分がリア寄りのため、力学的にはオーバーステアになりやすい
2.ダウンフォースが多いのでコーナーボトムスピードを上げる走行が必要


1.については、タイヤの非線形特性と前輪側より後輪側の荷重移動が多いということから言えることですが、荷重移動はロール剛性にも依存しますし、タイヤの特性にもよるので難しい所ですが、頭の片隅に置いておいてもらえると良いかと思います。
2.についてですが、ダウンフォースは車速に対して2乗で変化するという特性がありますので、少しでもコーナーのボトムスピードを上げるような走り方をすることで多くのグリップを得られてタイムアップが見込めます。よく雑誌とかではヨーロッパ式(?)なんて取り上げられてたような気がしますが、コーナーにアプローチするときは、前後方向より横方向を使って走るイメージでしょうか。

車両の特性について理解した所で次はコース特性を見ていきましょう。

3.コース特性

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コーナーはいくつもありますが、ロガーデータを見る限り、ブレーキを使うコーナー自体は3ヶ所です。なので、タイム差はここから発生しそうです。そして、内2つはコーナーのボトムスピードが80km/hと比較的車速の低いコーナーで、もう1つは130km/h程度で中速くらいでしょうか。

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ここで、スロットルポジションのヒストグラムを見てみましょう。ヒストグラムを使うことで、指定範囲の中に、そのデータの値がどれくらい存在しているのかがわかります。ここでは、1周の間にスロットルポジションはどの領域が多いかを割合で表しています。注目すべきはスロットルポジションの90~100%が全体の70%を超えており、1周44秒の内、30秒以上がほぼ全開ということです。私が今まで実際に走らせてきたサーキットの中でもこれだけ長い時間をほぼ全開にしているのは珍しいです。このことから言えるのは、如何にコーナーの脱出速度を上げられるかが重要になるということです。
1.と合わせると、コーナーのボトムスピードを稼ぎつつ、脱出速度を上げる走り方という考え方になると思います。

実際この考えは、『言うは易し、行うは難し』の典型ですが、後は考えながら走っていくしかないでしょうね...

少しでも走り方の参考になるように次に失敗例を挙げておきます。

EX_002_05 - コピー

上図は車輪回転速度と横加速度、ステアリング、ブレーキを示しています。
このデータはタイムを更に上げようとしてコーナーエントリーの減速Gを増やしてみた状況を表しています。ABSをOFFで走行していた影響もありますが、コーナーエントリーでフロント内輪のロックが起こりそうな状況が見て取れます。これが悪化すると結果的に止まり切れず、曲がらないという状況になってしまいます。そのためエントリーは頑張りすぎないほうがいいでしょう。

参考までにオンボードを上げておきます。


4.まとめ

いかがだったでしょうか。この大会の車両特性とコース特性から走らせ方のヒントをお伝えしました。実際には私よりもっと速い人がいますし、あくまでエンジニアがデータからそのように考える、という程度に留めておいてくださればと思います。

時間があれば足回りの細かい分析をしたいところですが、もっと練習もしないといけないので、やらないかもしれません。需要があれば考えます(笑)!







もし内容が参考になったらサポートして貰えると嬉しいです。 継続的に活動を続けるモチベーションになります🥺