セットアップ講座の前に Part①

こんばんは。Emperor-Dです。
この変なトップ画像一体何…？と思われた方いらっしゃるかも知れませんが、私としては渾身の出来だったので思い切って載せてみました。
（絵心がなくてもエンジニアになれました…）

前回の内容でセットアップがどんなことをすることなのか、どんな目的で行われているのか、理解が深まったのではないかと思います。
今回は、本格的なセットアップの講座に入る前に、基礎的な知識をインプットする必要があるので、その手助けとなるような内容を意識して書かせていただきました。

今回の内容は、自動車はどのように旋回しているのか？ということを概念レベルで説明していきます。高校物理で完結できる内容にしてありますので、少しでもこの分野に自信の無い方は見ていただけると良いかと思います。

では内容に移ります。

1.自動車が旋回する原理(概念)

皆さんは自動車が曲がる(堅苦しい言い方をするならば“旋回“)の原理を知っていますか？

詳しい話はこの講座の後半に書きますが、概念は上図になります。
例えとして、人がヒモに繋がれたボールを回している状況 を使います。
上図はトップ画像を上から見た図です。(わかりやすいでしょ？＾＾)
ボールは等速円運動をしており、外力が働いていないと仮定した場合、ボールは遠心力を受けていて、ヒモはそれに対する反力を発生しています。
これによりボールは人の手を中心とした円軌道を描くことになります。
これを自動車に戻すと、ボールは自動車で、ヒモの反力がタイヤの発生する向心力、つまりコーナリングフォースです。
これが車が旋回出来る理由で、このような軌道を描くことを物理学では公転とも言います。

ただ、この説明だと自動車の質点にタイヤの力が発生していることになっていますが、実際は違うので、もう少し詳しい形にしてみましょう。

2.自動車はなぜ旋回するのか(Part2)

今度はタイヤを2本にして考えていきます。自動車工学では2輪モデルと呼ばれます。こうすることでもう少し深い理解ができるでしょう。

※詳しい方はCFの向きが違うとご指摘されるかもしれませんが、簡略化の都合なので温かく見守ってください。

この図は旋回中の一部分を切り取った状態を表しています。
先程とは違い、向心力が2つになりましたね。
仮にこの状態で力が釣り合っていると仮定しましょう。
そうすると力の釣り合い式は次のように解けます。

F = CFf + CFr ・・・①

F : 遠心力
CFf : フロントタイヤの発生する力
CFr : リアタイヤの発生する力

また、この図ではもうひとつ考えなければならないことがあります。

３つの力が別々の場所にかかっているのでモーメントの計算をしないといけないですね。(モーメントに関しては調べてください)
今回はO点を重心として仮定してO点周りのモーメントを計算してみましょう。

CFf x Lf - CFr x Lr  = 0 ・・・②

Lf : O点からフロントタイヤまでの距離
Lr : O点からリアタイヤまでの距離

となります。この式は簡単に説明するとステアバランスを意味します。
上図は仮に=0としていますが、②式の解は３パターンあります。

CFf x Lf - CFr x Lr  > 0  ・・・②-①  Oversteer
CFf x Lf - CFr x Lr  = 0  ・・・②-②  Neutralsteer
CFf x Lf - CFr x Lr  < 0  ・・・②-③  Understeer

まず、簡単な②-②はフロントとリアのモーメントが釣り合っている状態なので回転は発生しない為、ニュートラルステアと言われます。次に②-①はフロントタイヤ側の力が大きいので反時計周りで回転させるモーメントが働きます。これがオーバーステアです。
逆に②-③はリアタイヤ側の力が大きく、アンダーステアとなります。
これが自動車が回転する理由です。こちらの動きは自転とも言います。
そのため、『自動車の旋回運動は自転しながら公転している』なんて言われれる方もいます。

3.まとめ

今回の講座はいかがでしたでしょうか。旋回とステアバランスに関する概念のお話でした。次は、今回サラッと流したタイヤに焦点を当ててきたいと思います。

※私の説明はレースシムをやるドライバーが事象を理解してセットアップを出来る様になればという考えで書いているので、厳密な物理学や自動車工学で習った内容と説明や定義が異なることがありますが、ご容赦ください。さらに詳しい事を知りたい方や興味がある方はご自身で学ばれることをお勧めします。

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