『KREVA CLASS〜新しいラップの教室』 4月26日(金)朝日記
昨日、『KREVA CLASS〜新しいラップの教室』というイベント?ライブ?に行ってきた。
主演というか講師がKREVAで、脚本・演出が小林賢太郎というめちゃ贅沢な座組。
タイトルだけでは一体何をするのか分からない…。
予想では、観客が1人ずつ筆記具を持って、KREVAが手取り足取り韻の踏み方を教えてくれるとかかな?などと思っていた。
そして実際に見た。
ここからはネタバレしたくないので、雰囲気だけを書く。
上記の予想が当たっていたか外れていたかも、ご想像にお任せする。
もし、雰囲気すら知りたくない!という人がいたら、この先は読まないでください。
ギリギリネタバレじゃない範囲で言えることは、KREVAは声がめっちゃ良いということくらいです。
--------
公演全体を通して、KREVAのお客さんへのホスピタリティの高さに感服しまくった。
「俺の作品どやぁ!」ってことよりも、フロアを沸かせることに全振りしていて、ディズニーのアトラクションに乗っているような感覚で、90分間ずっとワクワクしていた。
それは、KREVAだけではなく、演出家の小林賢太郎の精神性とも呼応しているんだろうなと、節々から感じた。
ラップというものをまっっったく知らない人にも分かる内容を意識しながらも、「絶対説明的になってたまるか!!!」という気概を感じるエンタメ度の高さだった。
この内容なら、小学生でも楽しめる。
私が小学校の先生だったら団体鑑賞させてもらう。
むしろ低年齢の人こそお客さんになって欲しい内容だなと感じたぐらい。
普通のライブじゃ飽き足らず、こんなことを企画してしまうKREVAは、ヒップホップ界の任天堂なんだと思う。
任天堂がゲーム人口の拡大を掲げて、初心者にもゲーム好きにもとっつきやすいゲームを開発してきたように、KREVAも「俺のヒップホップ」ではなく、ヒップホップそのものを楽しむ人口を増やそうとしているような動きだ。
さすがの自負!
きっとKREVAの中では自然な流れで立ち上がった企画なんだろうけど、それが世間では新しいもので、その積み重ねが自然と彼を最前線にしていくんだろう。
--------
公演を見て胸いっぱいになった帰り、なんのきなしに中古レコード屋さんに寄った。
POPに「冨田勲がシンセサイザーと出会う前に書いた、子どものための交響詩」とあり、『ジャングル大帝』のサントラを衝動買いしてしまった。
聞いてびっくり。
冒頭、おじさんの声で挨拶が始まった。
「オーケストレーションというのは、一つ一つの楽器の音が重なり合うことでメロディーを奏でるのです」みたいな説明が入る。
「ハープくん?出ておいで」と言うと、「ポロロン」みたいな感じで、楽器が意志を持って返事をしてくれる。
その調子で、このレコードに出てくる全ての楽器の紹介が終わったら、「さて、それでは演奏を始めましょう。これは、ジャングルの奥深くの物語です。」と、いきなり壮大な音楽が始まる。
監修が手塚治虫となっていたので、きっと脚本は手塚治虫なんじゃないだろうか…。
これは、KREVAの公演とテーマが一緒じゃないか!!!
『新しいラップの教室』がKREVAと小林賢太郎のタッグ、
『ジャングル大帝』は冨田勲と手塚治虫のタッグだ。
どちらも、この音楽はどうやって楽しめばいいのか、真剣に向き合って、それでいて思いっきり楽しく紹介している。
この運命の出会いは、頭がKREVAモードに入った状態でレコード屋に寄ったから生まれたものだと思う。
頭の中を一方向に尖らせて「モード」に入れてから散歩に出かけるのって大事かもしれない。