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【宇宙心理学】宇宙環境にいる人間に活かされる心理学

株式会社エモスタの研究開発パートナーである酒井です。みなさんは、宇宙に興味があるでしょうか?世間では、宇宙ビジネスが盛んに行われており、近い将来、誰もが宇宙に行ける日が来るかもしれませんね。

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今回の内容は、株式会社エモスタのCEOである小川修平さんからのご要望があったもので、宇宙環境にいる人間の心理についての内容になります。私なりに調べてみた結果、「宇宙医学(宇宙精神医学)という分野で、心理学の知見が活かされているそうです。「宇宙医学という分野では、宇宙環境にいる人間の心理が研究されていることがわかりました

今回の記事では、宇宙環境にいる人間の心理を研究したJAXAの研究結果をご紹介し、その研究結果で、心理学のどのような知見が活かされているのかををお伝えしたいと思います。


JAXAが行った閉鎖環境に関するストレス実験

宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)では、長期間、宇宙に滞在する宇宙飛行士の心理的な健康状態を評価する手法を開発するために、閉鎖環境で実験を実施していすそうです。

JAXAでは、閉鎖環境にいる宇宙飛行士のメンタルヘルスを良好に維持することを目的に、心理学が活かされています。

出典:https://psych.or.jp/wp-content/uploads/2017/10/57-43.pdf

閉鎖環境に置かれた宇宙飛行士のメンタルヘルスについて、JAXAと資生堂が共同で行った興味深い研究を紹介します。

この共同研究では、閉鎖環境で滞在した場合の、「唾液中のストレスホルモンの日内リズム」と、「表情のゆがみ度」の変化について検討しています。この研究では、閉鎖環境を宇宙環境だと仮定しているのだと思います。

【唾液中のストレスホルモンの日内リズムについて】
ストレスホルモンと言われている「コルチゾール」には、起床時に増加し、夜にかけて減少するという「日内変動リズム」があります。実験では、1日4回(朝、昼、午後、夜)に唾液を採取したそうです。過去3回の実験結果から、閉鎖設備で滞在した直後および退出前日に、日内変動リズムが乱れ、ストレスが高まったことが示されました。これらの変化は、閉鎖環境を退室した後には、閉鎖環境での滞在前の状態に戻りました。

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【表情のゆがみ度について】
表情のゆがみ度を評価する指標として、表情の左右対称性を用いて実験が行われました。その結果,閉鎖環境での滞在中に、表情のゆがみ度が増すことが明らかになりました。

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以上の結果から、唾液および表情の変化を調べることで、閉鎖環境でのストレスを簡単に評価できる可能性を見出しました。


JAXAの研究結果は、コロナ渦にいる人のストレス状態にも当てはまるのではないか?

閉鎖環境と聞いて、皆さんは、どんな状況を思い浮かべますか?私は、JAXAの研究結果を拝見して、閉鎖環境とコロナ禍にいる状況を重ね合わせました。

現在、新型コロナウイルスの蔓延により、外出が自粛され自宅で滞在させられる生活を要請されています。これは、まさに「閉鎖環境」に滞在させられていると言えるのではないでしょうか?

このように考えると、JAXAの研究結果は、現在の私たちの状況にも当てはまる研究結果かもしれません。コロナ禍にいる人々は、閉鎖環境にいる人間のように、ストレスが高まっていることが推察されます。

そこで以下では、最後に「ストレスの心理学」についてお話ししたいと思います。


ストレスの心理学について理解する

一般的に「ストレス」と言っても、心理学では、ストレスは、「ストレッサー」と「ストレス反応」の2つを含んだ概念として説明されています。ストレッサーとは「外界からの刺激」です。ストレス反応とは「ストレッサーにより,心身のバランスが崩れた際に生じる防衛反応」です。一般的な感覚では、ストレス反応のことを「ストレス」と言っていると思います。そして、ストレス(反応)は、悪いものと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、身体が危険な状態にあることを知らせてくれるものなのです。

ストレスについて、Lazarus & Folkman(1984)は「ストレス相互作用モデル」を提唱しています。「ストレス相互作用モデル」では、以下のような因果関係を仮定します。

状況→評価→ストレス

状況とは、ある出来事です。ストレッサーと言い換えることができます。
評価とは、ある出来事に対する見方や解釈です。
ストレスとは、ある出来事に対する見方や解釈によって生じた感情です。ストレス反応を指します。

出典:Lazarus, R. S., & Folkman, S. (1984). Stress, appraisal, and coping. New York: Springer.

「ストレス相互作用モデル」では、自分のストレスは、ある出来事に対する見方次第でマネジメントできると考えられます。コロナ禍にいる私たちは、自分で自分自身のストレスをマネジメントする必要があるかもしれません。ストレスをマネジメントするスキルを身につけるのには、下記の書籍などがおすすめですので、ご参考までに!

なお、ストレスは,田中・脇田(2011)によれば以下のような方法で測定できるそうです。

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出典:田中 喜秀・脇田 慎一 (2011). ストレスと疲労のバイオマーカー 日本薬理学雑誌, 137, 185-188.


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