最適な服の選び方って?#左脳的ファッション解説
服を選ぶ基準は人それぞれ。ブランド、デザイン、価格などさまざまな観点で選んでいると思います。服が好きな人にとって、それは当たり前のことですが、そうでない人からは「どう服を選べばいいのかわからない」という悩みを聞くことも。
こういった悩み相談をされることが多いことから、「感覚的ではなく左脳的でロジカルな考えによる服の選び方」について、いくつか図解してみたところ、たくさんの方々から反響をいただきました。ということで今回は、それらをまとめて紹介してみたいと思います。
いくつかの考え方に基づいて提案していますので、自分に合った方法を見つけて、服選びに役立ててみてください。
1.「自分がどうありたいか」で考える服の選び方
自分に合う服や選び方がわからない人は、「何を着るか」の前に「自分がどうありたいか」という生き方のスタイルから考えるのが大切です。その観点からの服の選び方を簡単にまとめました。
ただ単に「自分に似合う服を着る」ということであれば、いつも流行や人の目をなどを意識していなければならず、ファッションが好きでない人にとっては苦痛になることがあります。しかし、「どういう自分でありたいか」という考え方を軸にすれば、そのスタンスに沿った素材やカラー、シルエットの服を選ぶことができるでしょう。
生き方のスタイルが明確ならば、流行や価格という価値観だけに振り回されることがなくなる。長く愛着を持てる自分に相応しい服を選ぶことができるということなのです。
2.【国別】着る服の歴史と考え方で見る、人に与えるイメージ
服を選ぶ際、前項のように「自分がどうありたいか」を基準に考えるのに加えて、「その服が作られた意味」を理解すれば、自分のイメージにより近付けることができます。
私たちが普段見ている服には必ずルーツがあり、そこには何らかの思想や意味があります。一つひとつのデザインやディテールもそういった考えの基に出来上がっているのです。
イギリス、イタリア、アメリカという、日本も大きな影響を受けている国々をルーツに持つ服の発祥や考え方、人に与える印象を知ることで、新たな服選びの視点が加わるでしょう。
こちらのnoteでも国ごとに詳しく解説しているので、気になった人はチェックしてみてください。
3.【トラッドスタイル別】人に与えるイメージの違い
ビジネスで着る服の基本はトラッドにあります。続いては、ビジネスシーンに特化して、イギリス・イタリア・アメリカの「トラッド(スーツ)スタイル」から見る、人に与えるイメージの違いも紹介してみました。
店頭で販売されているスーツやジャケットといったドレスアイテムの源流は、イギリス、イタリア、アメリカの古くからあるトラッドスタイル。この3ヵ国のスタイルそれぞれが与えるイメージと、自分が伝えたい内面の姿を認識しておくことが、ビジネス上でのコミュニケーションをとる上で大変重要です。
メラビアンの法則(※)でも、初対面の人から受ける印象の55%が外見によるものというデータがあります。ビジネスでのより良い成果を求めるのであれば、自分視点の着こなしではなく「他者目線」に立って、自分をプロデュースすることが大事になるのです。
※メラビアンの法則…アメリカUCLA大学の心理学者/アルバート・メラビアンが1971年に提唱した概念。人物の第一印象は初めて会ったときの3〜5秒で決まり、その情報のほとんどを「視覚情報」から得ているというもの。
4.【思考パターン別】服の選び方
服の選び方は十人十色ですが、服を買う際に無意識に働かせている思考パターンは大体3つに分けられると思います。
a. 感覚的選択
いわゆる服好きの人はこちら。ファッションに関心があり、理屈よりも感覚的に優れた目を持っているので、デザインやブランドから「好きか嫌いか」「カッコイイかダサイか」など、自分なりの基準で服を選ぶことができます。
b. 知的選択
ブランドの知名度やデザイン性などの表面的な部分ではなく、ブランドの理念や思想などを重視して、「その考え方に共感できるか」を選ぶ基準にしている人です。流行に流されず、自分に軸があり、「自分の価値観に合うかどうか」を重視します。
c. 物理的選択
費用対効果にシビアで、それなりのブランド知名度とコストパフォーマンスを重視する人です。個性的デザインの物よりも、イージーケア性や耐久性など現実的な部分を重視します。
「クローゼットに同じような服しかない」「いつも似た服を選んでしまう」という人は、服を選ぶ際に自身があてはまる思考パターンとは別の思考パターンを意識して選んでみると、それまでとは違うイメージの服を選ぶことができるでしょう。
例えば、服の機能性は意識せず、デザイン優先で選んでいるような思考パターンaの人は、あえてbの「着て快適かどうか」を優先して選んでみる…といった風にしてみては?
5. センスを磨いていく左脳的方法論
「自分はファッションセンスがない」と思う人は、客観的分析ができる人。そんな人こそ、ファッションセンスは生まれ持ったものではなく、自分の考え方を明確にして、知識を得ていくことで磨かれることを理解してほしいと思っています。センスについての段階的な考え方を図にしてみました。
しっかりと自分の考えや生き方を明確にし、自分を客観的に見る視点を持つことで、「どんな服装をするべきなのか」が見えてきます。重要なのはこの「客観性」なのです。
例えば、服の知識があっても自分の体型、個性、雰囲気という客観的な情報を認識していなければ、似合わない服を選んでしまうでしょう。 客観的に自分を分析することもセンスを良くする大切な方法なのです。
6.【番外編】アパレルデザインのアプローチ方法の違い
これまでに紹介した「服の選び方」とは話は異なりますが、デザイナーズ/ファッションブランドと、アウトドア/スポーツブランドとでは、服のデザインにおけるアプローチが違う…ということで、その違いを比較してみました。
デザイナーズ/ファッションブランドであれば、デザイナー個人の感性やブランドイメージによって感覚的に服が表現されていきますが、アウトドア/スポーツブランドでは、デザインにも「意味」が必要になります。過酷な状況の中で命を守ったり、競技を行うことを想定する服には、論理的な考え方も必要になるのです。
最近、ノースフェイスやワークマンが人気なのは、服の「機能」という左脳的な要素に、「ファッション性」という右脳的な要素が加わり、購買層が広がったことが理由だと考えられます。
こういった服のデザインのアプローチを理解することで、自分の考え方やスタイルに合った物を選びやすくなるでしょう。
新しい服選びがあなたの人生を豊かにする
私たちは、他者により良く評価されたり、承認されたりするのを心地良く思うもの。自分にとっても他者にとっても心地良い服を着ていれば、自然に周囲からの賞賛も集まります。他者から賞賛を受けることで自己肯定感が高まり、思考が変わり、行動も変わっていきます。そんな自分に相応しくなるように服もより洗練されていくのです。
まずは、あなた自身がどうあるべきかをじっくり考えてみてください。自分の生き方や考え方に合った服を着ることで自信がつき、人生がより豊かになるはずですよ。
イベントの動画です。
2月12日のトークイベントの動画が販売されています。センスの磨き方や服の歴史や思想についてトークしています。もしイベントの内容にご興味のある方、よろしければご購入してみて下さい。よろしくお願い致します。
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