『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』
2023の展覧会納めはこちら。
圧倒的に心を奪っていく展示でした。というのが全体を見ての感想。
確かに「地上200メートルの桃源郷」
でありました。
入って最初は真っ暗な世界に花が緑が降ってくる世界からスタート。
写真展ではなかった。
(写真展だと思って行った)
映像とデジタルのインスタレーションはチームラボを想起させるなと思ったのですが、(チームラボをそんなに知らないけど)ちょっと違う感じがするのはなんだろう。
見る人がシャシンを撮りたくなる作品なんだな~「ここが撮り所ですよ!!」て感じだもんな。
携帯で写真を撮りあっていたお嬢さんたちが「今年イチかわいい!!」と言い合っていてすごくよかった。(年末だったので、最後に一番カワイイ写真が撮れてよかったね)
何気ないというか割となんということもない風景の写真なんだけど、これだけ瞬間を「どうだ!これが美しいじゃないか!!」と見せられると、生きているその風景一瞬一瞬が美しいのだ!と感じる。
というか、感じるだろ?!ということを圧倒的なパワーを持って説得されている感。
エネルギッシュな展示だな。と思いました。
ちょっと話が逸れるかもしれませんが、この年の振り返りであちこちで話したことなんだけど、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの本に『九年目の魔法』という本があって、ここで女の子がお邸のお庭に二つならんだ壺を回す姿が描かれています。
壺にはどちらも「NOWHERE」と書いてあります。壺を回すとその文字が回転して、「NOW」「HERE」(今・ここ)と読めたり「HERE」「NOW」(ここ・今)と読めたり、「NO」「WHERE」(どこでもない)「WHERE」「NO」(どこにもない)と読めるわけです。それが魔法ってことだと思うんだよね、と主人公が言うんだけど、私の2023年はそういうことだ、って総括していたのですね。(つまり、私自身で壺を回しているから起こった出来事に対して私が物事のとらえ方を変えるのだ、というようなことを考えていた)
で、話を蜷川実花展に戻すと、これこそ「NOWHERE」である!!!と思ったんだ。
現実を写した写真が幽玄を映し出す。そこで私たちは夢幻を遊ぶ。リアルだけれど、リアルではない。生きとしいけるものそのすべての姿が美しい。と展覧会の花や金魚やちょうちょはひとつひとつが叫んでいて、そのなかでぼうっと回遊しているのは人間だった。
だが、それすら美しいとこの展覧会は包括してくれていた。
美しいと写真をとる人すべての美しさ、醜さすら美しいと言っているように感じました。
ああ、みんなに見てほしい。