文系人間の私が楽しむ「宝石 地球が生み出すキセキ」展
現在国立科学博物館(かはく)で開催中の特別展「宝石 地球が生み出すキセキ」展。根っからの文系で、文系的文脈で物事を理解する癖があり、イマイチ科学に疎い私が楽しみ倒した特別展「宝石」について語ります。当特別展は6月19日まで開催しておりますので、一見の価値あり。どうぞご覧くださいませ!
宝石っていったいなんなんだい?
キラキラと輝く宝石は好きですか?
しかし、宝石にどんな種類があるのか、それはどこでどうやって作られているのか、その成分はなんなのか。翠の石と赤い石の違いはなんなのか。そんなことをどのくらいの方が知っているでしょうか。
私はぜーんぜん知りませんでした。
ところで、私『七つ屋志のぶの宝石箱』(©二ノ宮知子)を愛読しております。この展示をガイドしてくれるのは、『七つ屋~』から飛び出した顕定と志のぶコンビ。あー!ここで言ってたコレの本物がこれなのね〜。読者は必見。
1.地球の奇跡を思う
さて、宝石の探訪はまずどんなところで宝石はできるのかしら…というお話から。宝石っていうのはさ、地球が生きてて活動している産物なんだよね、ということを知ってはいるけど、知らないんだよなあ。(わかります?)
そんな鉱物としての宝石を知ることができます。まあさ、一応知識としては知ってるのよね。アレ(鉱物)がアレ(宝石)になるってことは!
隕石から宝石になるのがあったり、さまざまな「石」を見て、昔の人がこれを見つけてどう思ったんだろーな!と思うともう、ときめきが止まりません。
ただし、宝石はそのままで価値が生まれるわけではありません。人の力で磨き、カットされその魅力を完璧に引き出されるのですね、
2.人間の欲望ってやつは。
第二章はそんな宝石とカットのお話。普段の生活から宝石にぜーんぜん縁が近くない私はダイヤモンドを美しく見せるという、「ブリリアントカット」は知ってましたが、ファセットカット(石の中に入った光をファセットで反射させる方法)などなど。石によってどういうカットがその石を一番効果的に輝かせるのか、という人の想いと工夫を感じますねー。
西洋美術館からの橋本コレクションがまた素晴らしい。
橋本貴志さんが西洋美術館に寄贈した膨大な宝石コレクションは、年代別に揃えられており、最初はエジプトのスカラベから、カルティエまで幅広いコレクションで、中にはミュシャデザインの作品などもあり、ミュッシャ!!!!となること請け合い。
っていうか、18世紀からの研磨技術の向上がヤバすぎる。同じ宝石でも輝きが違いすぎるんです!
3.宝石を科学する
次は宝石の多様性を科学する展示。
たとえばそれは宝石の輝き。(ただそこにあるだけで輝くわけではないのです!考えてみれば当然ですが。)
一緒に言った子どもが一番テンション上がった展示は、この3章の中にある蛍石コーナー。明るくなっているときと全く違う怒りを放つ石、もしくはさらに鮮やかに光る石など、不思議がいっぱい。夢いっぱい。映画やアニメで見た、きらきら光る洞窟とかほんとにあったんじゃ・・・という気分になり。
4.ジュエリー
「宝石」とジュエリーとは違うんだ…作品として昇華する宝石。美しさというものはさ、ただ綺麗な宝石を並べるだけではダメなんだな。
と、しみじみ。春夏秋冬でテーマに分かれて展示してありまして、まあ、なんとなくですが、単純!という展示になった気もしなくもないですが、自然のものをより美しく、あるということが美しく、生きとし生けるものの美しさを感じさせる生命力があるジュエリーの数々でした。
組み合わせ、表現の幅広さ。アートとしての面白さを感じます。
5,歴史に残る宝石たち。
最後の展示は、宝石を文化で掘り下げる展示です。
ロシア大帝エカテリーナ2世がロシア駐在英国大使に贈ったエメラルドに、大使令嬢の婚家である侯爵家がダイヤモンドを加えたネックレスとイヤリングなどの展示があり、エカリテ―――――ナ!!!!(心の叫び)
そして、個人的にミュシャがデザインしたジュエリーの右から見ても左から見てもミュシャ。(アールヌーヴォーの一番花開いた時代に作られた作品で、ジョルジュブーケと共同制作したものです)ドレスの胸かざりとのことですが、真ん中にはミュシャのいつもの乙女が描かれ、その周りには花冠が飾っています。花冠の真ん中を貫くようにキューピットの矢がデザインされていて、なんていうか、本当にロマンチック!!(重たそう)
絵に描かれたジュエリーの本物が見られるなんて、ほんとうに素敵な経験でありました。
全般を通しての感想は「THE眼福」。
博物館の役割のひとつは「実際に本物を見ること」とは言われますが、今回の展示は「本物」。地球が生み出した奇跡を、人間がどのように美しさや、本来そのものが持っている輝きを映し出そうと努力してきたか、というひとが思う「美」の本質を考える展示でした。
ありがとうございました。本展示は6月19日まで。